VUメーターシステムの製作(改良版メーターアンプ基板応用のために)


はじめに
アナログの針式VUメータの製作をしたいという方が、増えていることに驚いています。一時期針式(機械メーター)は古いということでLEDなどのバーグラフ表示が流行った時代もありましたが、視認性の良さは、やはり針式のVUメーターになります。ここで注意頂きたいのが、VUメーターというのは一応+4dBmの入力に対して0VUを示す整流回路を内蔵したメーターを言います。正式には針の応答スピードなどが決められていましたが、今売られているものは、正確にそれに合致していないものも多くあります。値段も1個2千円から3万円と大きな開きがあります。これから紹介します駆動アンプ基板は、+4dB(1.23V)=0VUの規格で動作するVUメーターに幅広く対応するもので改良を重ねて、非常に使い勝手の良いものです。


なぜ駆動アンプが必要なのか

マニア垂涎の業務用VUメーターを中古などで入手したものの、使えなくてお困りの方は今までのお問合せ事例から、相当数に上ります。この専用VUメーターアンプで、ぜひとも自作VUメーターシステムを完成させて、実際に動作させてオーディオシステムに鎮座させてください。

駆動方法で、混乱を招いている理由があります。Web上でVUメーターに関するページが多くありますが数100μA直流ラジケータ駆動回路などを混同して、多くの間違った記載があります。私の述べることは、あくまでも基準+4dBmの入力に対して0VUを示す整流回路を内蔵したメーター(下図参照)に対するものです。(BTS等の規格はとりあえず除外)ラジケーターでは、整流回路は内蔵されていません。規格の不明なラジケーターでは針は振れても本来のVUメーターとしては、目盛も合わず中途半端なものとなってしまいます。ということを前置きした上で、本来のVUメーターに駆動アンプが必要な理由ですが、元々業務用基準であったVU計ですので、民生用のものに使用するには、+4dBの入力で0VUでは、わずかしか針は振れません。これを解決する方法として、メーターアンプの登場となります。回路は簡単ですが、調整用の測定機材がないと正しく合わせられないことが大きなネックとなります。これをそのまま使えるように考えたのがこの基板になります。そのため組み立て調整済みとなっています。

VUメーターの中は左図のような回路になっています3.6Kの抵抗を介するだけで+4dBで0VUとなるようにメーターメーカーで定数を決めて組み立てています。入力の規格が決まっているということです。ここで針の振れ方の規格まで要求すると非常に高価格なメーターになります。一方VUメーター目盛の付いたラジケーターは、左図のAという記号のメーターのみなのです。だから外部に整流回路が必要となるわけです。これで違いをお解りいただけたと思います。

メータアンプの種類

1)、半固定ボリューム1個でレベル調整後固定して使用するもの(卓に付いていたものの例)
固定した基準のみで良い場合(これが本来の業務用での使い方)や、民生用に転用して、とにかくメータの針が振れれば良い場合はこれでも良い。
24dB程度の連続可変のボリュームのついたアンプ回路を付ける方式です(調整して固定して使用するため測定器が必要)写真のものは10回転のポテンショメーター(赤色)が付いている。メータの後ろに直付けする業務用規格の基板に多い方式で基準が0dBや+4dBに調整するもの、さらにバランス入力なので民生使用では少し難しいことに。(半固定抵抗は10回くらいの調整が安定度の点から望ましいので頻繁に回しては良くありません)
この参考写真のものは本格的にインスツルメンテーションアンプ構成となっている。
2)、0VUの基準が多数ほしい場合(この基板の切り替え式)
アンバランス入力(通常のRCAピン)を、切り替えて使う(本機の方式)。民生用ではこれだと使いやすい。バランスも使いたい場合は追加基板で切り替え対応も可能に考えてある。
写真はバランス、アンバランス対応にした例アンバラで製作してバランスも必要な場合あとから対応可能。
+4dB=0VU GAIN0dB
 0dB=0VU GAIN4dB
-10dB=0VU GAIN14dB
-20dB=0VU GAIN24dB

ご注意:VUメーターは平均的な音量を見るもので、鋭いアタック音には反応が遅い場合があります。音声だと反応するが楽器は反応しないメーターなどと勘違いの無いようにお願いいたします。

ここで紹介しますのは、上記2)の民生用に使いやすい4ステップ切り替え方式基板で、今回メーター誤差調整回路も追加してさらに便利になりました。


【これが実用的なメーターアンプ基板】
従来メータアンプの調整には、レベル計と発振器とアッテネッターが必要でした。また使用するVUメーターを基準にするのか、測定するオーディオレベル計を基準にするのか非常に悩ましい問題がありました。この基板には2つのメーターを駆動する回路が入っています。半固定ボリュームが1チャンネル当たり5つも入っていますが面倒な調整は、完了してのご提供です。+4dB、0dB、-10dB、-20dBそれぞれの調整済み(再調整の必要はありません)。使用するメーターの精度に依存するものの、そのまま使えるため大変好評いただいています。さらに改善し追加回路によりVUメーター固有の誤差調整ボリュームが追加されました。左右のメータで、もし、気になる個体差があっても簡単に±2.5dBの範囲で調整できるようになりました。運悪く用意した2個のメーターがプラスに偏差があるものと、マイナスに偏差があっても、それぞれ1個のボリューム調整で、吸収できるようになりました。周波数特性はあえて広くしてあります。帰還抵抗に適宜コンデンサー追加で落とせますがアンプの測定の目安に使うことを考えて付けていません。バランス変換回路用基板(オプション)の電源出力も可能
表面の基板上の部品を見てただのパッシブ回路と思われた方のために裏面の状態です。この基板はトランスをつなげば動作するように、整流回路、定電圧回路、メーターアンプ回路などがすべて搭載されています。線の引き出しはコネクタタイプなので配線も比較的容易です。実用的に使っていただけるものとして設計しています。オーディオ愛好家のみならず、多方面の方にご利用いただいています。
製作中の例、合理的な配置がお解りいただけると思います。
ケースの加工が大変ですが、自分で作れば相当安くメーターシステムが完成します。このクラスで特注すれば10万円から20万程度のものとなるはずです。量産品に無いものは高価になります。そういうものこそ、自作すると割安感があります。尚写真では電源トランス部分は取り付けていません。皆さんの責任でケースから配線まで自作してご使用ください。
信頼のヤマキのVUメーター(中古)を使用。メーターは中古で2個で5千円から1万で、秋葉やヤフオクで入手できます。ヤマキやサイファムはかなり高額で取引されていますが、新品で西澤あたりのメーターが1個3千円前後で、比較的安く入手できるのでそれを使うのも良いかと思います。ただし1KHzAC1.228V=0VUと電圧精度は出ていますが、針の振れは正規のヤマキのものと比較すると目で見て判ります。

あくまでも配線例ですので自分の好みのケースに合わせた配線をしてください。ごらんのとおり合理的な配線ができるように基板は作られています。