当方出品の基板は1台ごとに測定してRIAA偏差が正確に合っていることを確認しています。そして左右同時測定で左右の偏差にもこだわっています。
フォノイコライザーを自作あるいはいわゆるガレージメーカーでの製品でRIAAのカーブに合致しているか最終的に測定していない方も少なくありません。極端に安価なものをネットで購入して、音がおかしいとか動作が心配ということで何度か測定の依頼を受けたことがあります。RIAAカーブから大きくずれているもの、設計があやしいもの、無駄に両面基板化して信号が交差するものなど、問題のあるものばかりでした。安さ重視の鳴れば良い方はそれで良いと思います。イコライザーの測定は本当に面倒です。基準に対して合っていなければ、作者の好みの音に仕上げているとしか言えません。そこでジャズ向きだのクラシック向きだの言い訳になります。RIAAの基準に合わせてることが重要で、これが守らなければいけない最低限の項目です。何を言いたいのかと言いますのは、音の評判の良い経年劣化のコンデンサーを容量測定なしで5%級10%級を使うのは危険だということです。基準に合致していると言えるのはRIAA偏差0.5%程度までです。それには2%級のコンデンサーが必要になります。これはコンデンサー5%級からの選別測定でも可能な値です。1970年代に多くのオーディオメーカーは高精度にこだわりました。レコードが主流で一番音の良かった時代です。今回出品のフォノイコライザー基板は当時の高音質を蘇らせます。
カートリッジはMM型でも1KHzで3mV程度の起電圧です、これが20Hzになると約-20dBですから約0.3mVの起電圧です。0dBを0.775Vとして-70dBですから普通のミリボルの測定限界です。これを耳だけで判断できますか?ノイズに埋もれるレベルです。このレベルの信号となると扱いは難しくなります。人の頭で考えたプリントパターンが威力を発揮します。
超微弱な信号を増幅するということは、イコライザーアンプがノイズを持っていては、それ以下のカートリッジ信号はノイズに埋もれてしまいます。
| 中央下は被測定フォノイコライザアンプ、右の黒い箱が2チャンネル逆RIAAイコライザボックス。出力はオシロで監視したほうがよい。 正確なRIAA逆のカーブを作ればフォノイコ出力は一定となる。ここでは極めて(微小信号低域側)をあつかうので周辺雑音対策をしないと正しい測定はできない。 逆RIAAは加銅鉄平氏著オーディオ用測定器と測定技術掲載の回路である。低インピーダンス駆動回路を付加している。 下段測定例では3スポットに割愛していますが、実際はステップ連続可変で測定しています。 0.2dB程度の偏差になると、測定器の誤差なのかRIAAカーブの誤差なのか分からない程度の誤差です。 |
|
| 基準の1KHzで0dBに合わせる | |
| 20HzでのRIAA偏差、中央で0dBの電圧計 | |
| 10KHzで左右とも-0.1dB程度と極めて正確である | |
| 20KHzでも左右ともに0dBを示す。 逆RIAAがない場合、相当のレベルに発振器の出力を合わせこむ必要があり大変面倒になる。 このように正確な逆RIAAがあると20Hz〜20KHzの間で発振器の出力が一定であればRIAAイコライザーの出力が変わらない。 逆RIAAがないと1KHz出力を0dBとしてRIAAカーブに合わせた発振器の出力を正確に可変する必要がある。 |
|
| あまりに左右が重なりすぎて信じてもらえないと思うのでレンジを変えてずらしてみた。 |