ダイジマンのSF出たトコ勝負!
卯月の一日、4月バカ。ダマすは己れの、懐具合。目指すは大阪、日本橋。ついてゆきます、どこまでも。有言実行、なんとかなるさ。かくしてださこん、西へ行く!
いや、行ったはいいけど、オープニングにちょい遅れ。道頓堀のほとり、讃岐屋へ辿り着くに至る間に、ぼくを襲った驚愕の事態ゆえだが、畏るべし、魔境オオサカ。
案内された地下の大広間では、参加者紹介の真最中。おお、いるいる。あちこちに見知ったださこにすとの面々が。しかし初の関西巡業だけあって、イメージされる程ださこん参加者は固定されていない。血は循環しているのだ。
さっそく始まった昭和37年(1962年)対談バトルロワイアルは、喜多哲士、冬樹蛉、北野勇作、我孫子武丸という、同年生まれ四氏による世代論漫談(?)。発端は週刊誌の「最近の犯罪者に昭和37年生まれが多い」という記事に対する、「そりゃあんまりや」という反論…、そう、反論から始まったハズであった。しかし、おのおのが“万博”や“テレビ”に代表される、各種キーワードを散りばめた昔語りをすればする程、「あの世代には、やはり何かがある!」というイメージアップ(笑)に成功していた事実は、確信犯・愉快犯にこそ成せる業と言えよう。
いや、もうひとつの興味であった、「ジャンルの担い手が60年代前半生まれに集中している」という命題にしても、クリエイターになるべくしてなったこの世代特有の時代背景というものが、おぼろげながら見えたのは気のせいか?
終了後は、もう雑談。これは休憩時間ではないのだ。聞けば次の企画までそーとー余裕があるから、みんなでサイン会タイム。そう、ださこん3は、これまで以上に作家さんの参加が多かったのだ。注目を集めたのはやっぱり、ファンの前に姿を見せるのが20年振り位になる山尾悠子さん。プロの方々がまるっきりファンに戻って挨拶してましたが、20年と考えればそりゃそうだ。ご本人はまわりに騒がれるのが苦手の様子でしたが、これもしかり。といっても、決してファンサービスに応えない訳ではなく、「SF界の吉永小百合」(©大森望)という表現にハタと膝を打つ御方でした。言い得て妙。牧野修さんのサインは、カワイくて個性的。イメージと違ったかも(笑)。そして、大チョンボしちゃったぼくに助け船を出してくださった風野ドクター、ありがとう!
あとは話の輪に、ちょっとづつ顔ツッコんだり。プレス塩澤快浩SFマガジン編集長さんに、SF本の売れ行きを尋問されたり(笑)、溝口さんも交えて、ハヤカワ文庫30周年(復刊)フェアの話題とか。坪井研二さんは、とても大変な事態のなか参加していたらしいぞ。
林哲矢さんには、約束の早川書房/東京創元社文庫解説目録を数冊献上したのだが、その際確認のためページを繰る林さんの手付き鋭く、ただ残像のみがあったことを報告しておきたい。やはり目録落ち研究の第一人者だけあると、改めて感心させられた。すぐさまヒラノマドカさん経由で、ダサシールを進呈させて頂いたことは言うまでもあるまい。
あと、ジョニィたかはしさん相手になにやら熱弁を振う、茅原友貴さんを見物してみる(笑)。彼女の所属するS研(えすけん)が、ファンジン企画のひとつとして行ったという野田大元帥インタビューから得たものを、反省含めてアツく語っていたのでした。早い段階からファンとしての経験値を積み重ね、それを自らの血肉として吸収しているちはらさんの、更なる活躍を期待させるに十分であった。
そうこうしてたら、ダサコン文化セミナー「第4回○○と××ほどちがう」のはじまりはじまり。講師はもちろん、家元冬樹蛉。よく思い付いたなあと奇想に感動するものから、よく送ったなあと勇気に感動するものまで(笑)、ヴァラエティ豊かな作品群が集結。味わい深い講評とあいまって善き哉。
さあ、オークションに突入だ!
今回のぼくの出品は、判形揃えて銀背のみ。これまでは、必ず雑誌を混ぜたりして変化をつけるよう心掛けてきたけど、なかなかそうもいかなくてねぇ。さ〜て、次回からどうしよう?
とりあえず、函にこだわってみたのでヨシとしよう。
語るべきエピソードには事欠かないけれど、あらゆる点でスケールの違いを見せ付けた鉄人kashibaさんの活躍が、皆に強い印象を与えたことは想像に難くない。
予想以上の大接戦を演じてしまい、ぼくが競り落としたのは『光世紀の世界』(石原藤夫著、早川書房1986年)のみ一点買い。なんと定価1万6千円の超ド級天体データ集であり、ダサ史上最高値を記録するのも頷ける逸品である。
後はひたすら自由時間。ホラーかるたの解らなさ振りを楽しもうと参加して、思う存分堪能したり(笑)。ホラーは田舎がよく似合う。ふと見ると、なにやら古本の人達が集まっている。そこでは、溝口哲郎さんが羽鳥一紀さんに対し、「あれは持っているか?これは持っているか!?」と、火花散る熾烈な戦いを繰り広げていた(誇張含む)。オークションの時点で早くも異彩を放っていた羽鳥さんは、あの溝口さん相手に一歩も引かず、年齢差を考慮すれば互角ともいえる戦果を上げていた。おそろしい人材が登場したものである。でもkashibaさんも、さすがに強かった。
話に花を咲かせる作家さんたちを切り崩す隙無くサインを断念したりするうち、中央で恒例の、SF年の差会(?)がスタートする。戦歴あまねく知られるちはらさんと、京大SF研の新鋭しおざきまりこさんという、京フェスでブレイクした若手コンビが再結成。対するは、森太郎さんが席を外していたのは残念だが、大森望さん、野田令子さん、林さんと、その黒さ申し分無しの布陣。この中でのびのびと実力を発揮し、あまつさえ逆襲を計る二人の活躍は清々しい。
しおしお版SF年齢マップでは、小松左京発言、山岸真発言など、実り多い収穫が得られた。そこで、ぼくは31歳に決定。続くミステリ界の若き刺客、松本楽志さんは、過去にストックされたデータから導き出すという、さすがの論法で対処したが、データに登録されていない人物の外見判断に難ありとの指摘もなんのその、ぼくは35歳になることができた。D2のちはら世界では、事前に実年齢を知られていたばっかりに、SOWを味わい損ねていたが、今回の判定はナカナカ満足のいくものであり喜ばしい。あ、みらい子さんはまたショックを受けていました(笑)。
極簡略版日本SF史観を述べてみたり、野田さんから指圧を受けて、kawa.mさんからあやうくヒールホールドを決められそうになったり(笑)したハズだけど、ほどよくリラックスしたダサモード中だったので、前後関係五里霧中。
そして朝来てエンディング。本のPOPコンテスト「サン・ジョルディの日をめざして」の結果発表。ぼくは、副賞の「銀河通信賞」に選ばれた(選んだ)『どすこい(仮)』の安田ママ講評を述べる。第3回ださこん大将には、ちはらさんを押さえ、しおざきさんが実力で勝ち取ったのだった。
外に出ると、お店を探す集団をそそくさと離れ、kashibaさんと古本屋を目指す!
ふたりして、キャリアーをガラガラ引いているのが、いかにもアヤシイ(笑)。コインロッカーに荷物を預け身軽になったのはいいが、kashibaさんの大きなカラのバッグを見ての、「ああ、それがパンパンになる位、本買っちゃうんですね!?」という冗談のつもりの一言が、恐ろしいまでに的確な予言として機能しようとは、その時知る由もなかった…。
限られた時間の中、kashibaさんの案内よろしく効率良くまわれたので、じっくりと物色させていただきました。と、あるお店で、ぼく的超大物を釣り上げる!
これはいずれ機会を見てご紹介します。
そしたらkashibaさん、「いやあ、イイ買いっぷりだなあ、う〜ん、よーし…、買うぞ!」と、前々から目を付けていたというお店へ(銀行へ寄ってから!)突入開始。それって、背中を押してくれるきっかけが欲しかっただけでは(笑)。
泣く子も黙るそのブツは っとと、ぼくまでダマってしまった!とても口には出来ません。すごいよkashibaさん!かっちょいい!!
ただし、オトナの買いっぷりを目撃して、ぼくは将来どうなるんだろう、まだ引き返せるんだろうか?
と、思わず重ね合わせてしまう自分がそこにいた(気がする)。
かくしてD3は成功した。底流を貫く「ダサコンだから」の精神は正しく貴重だが、そのマジックワードに頼り過ぎるのは、魅力と裏腹なあやうさになりかねない。愛するがゆえ、申し添えておきたい。
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