44号                                                           2001年5月

 

 

書店員はスリップの夢を見るか?

 先日、業界では超有名な往来堂書店に行ってきた。そう、今や青息吐息と言われている町の小さな書店でありながら、増益を更新していると注目の店である。

 千駄木の駅を出た途端、すぐわかった。「ここ、町が生きてる!」小さな商店が道沿いに並んでいるのだが、その店のひとつひとつがすごく元気で活気があるのだ。そして、往来堂もその元気な店の中のひとつであった。

 私が噂に聞いてたのは、「まず雑誌が店の奥にあるのが特徴」とのこと。でも行ってみると、ごくフツーに週刊誌のラックは店先に出ている。中に入ってぐるっと見て納得。なるほど、この書店は、本を判形で分類していないのだ。本の内容別にジャンルで分けてる。ヴィレッジ・ヴァンガードと同じコンセプト。たとえば旅行雑誌の上に、旅行の書籍の棚がある。ビジネス雑誌の上に、ビジネス書の棚がある。その本の中にも、文庫や新書も混じってる。小さい書店の利点をよく活かしてる。

 何より興味深かったのは、文芸や人文、サブカルなどの棚。まるで棚の1段1段がミニフェアやってるようなものだ。ちゃんと棚にテプラでその編集テーマが貼ってある。で、平積みはほとんどなし。文庫や、ご当地本くらい。確かに、この書店の規模なら、どーんと積むよりもこうして棚の面白さで勝負したほうが利口だろう。

 とにかく、この書店は、方向性がはっきりしてる。どっちに向かってるか、どっちへ行こうとしてるのかがひと目でわかる。お客様の傾向をよく把握してて、ターゲットをちゃんと絞っており、主張がきっぱりしてる。同じ書店員として、とてもいい刺激になった。

 

今月の乱読めった斬り!

『刑事ぶたぶた』☆☆☆☆☆ 矢崎存美(廣済堂出版、00.2月刊)

 kashibaさん他、既読の方絶賛の1冊。いやあ、むちゃくちゃカワイイオカシイ!本を読みながら声をあげて笑った回数としては、おそらく史上最高だったと思います。ホントにタイトルどおり、ぶたのぬいぐるみが刑事なんですよ!?このぶっとびな設定を考えた著者に、心から賞賛の拍手を送りたい。や、やられたねこりゃ!太田忠司氏の帯の言葉が、この物語の全てを一言で言い表しているので引用します。「これは、世界で一番すてきな警察署の物語」。

 初めて刑事となった立川が訪れた、所轄の春日署。そこで紹介された上司が、なななんと、ぬいぐるみのぶただったのだ!いやマジで。「山崎ぶたぶた」という名刺まで持ってる、本物の刑事。山崎ぶたぶたは、そのぬいぐるみであるという特性を活かし(笑)、立川とコンビを組んで、さまざまな事件を解決してゆく。「なにそれ!?」というツッコミはなしだ。これは現代における、とびきり素敵なファンタジーなのだから。

 そのぶたぶたの一挙一動がとにかくおかしい!いやでも想像してしまうのだ、いくら丼を食べるぶたぶた、ティッシュで鼻をぎゅっとかむぶたぶた、黄色いリュックをしょってよちよち歩くぶたぶた、つぶされてシャッターの隙間にぎゅっと突っ込まれるぶたぶた、洗濯機で脱水されて「きゃー……!」とかすかな悲鳴をあげるぶたぶた(笑)。も、もう腹がよじれる!

 しかし、このぶたぶたというキャラの奇天烈さだけでこの話はもってるわけではないのだ。ちゃんとミステリ的にもしっかりと骨が通っているし(解決法はかなり爆笑だが)、彼以外の登場人物たちも思いやりにあふれていて、なんとも全編にあったかさが満ちているのだ。

 ゼッタイにありえないこと、だからこそ素敵なお話。なんとも稀有で幸福なミステリ、いやファンタジーだ。傑作!

『ぶたぶた』☆☆☆☆ 矢崎存美(廣済堂出版、98.9月刊)

 『ぶたぶた』シリーズ(?)第1作(『刑事ぶたぶた』は2作目)。こちらは連作短篇集になっており、ぶたぶたがさまざまな職業に就いている。ある時はベビーシッター、ある時はタクシー運転手、またある時はレストランの腕利きシェフ、しかしてその実体は!?いえ、キューティーハニーじゃありません(笑)、なんとぶたのぬいぐるみなんです!

 登場人物たちは、ぶたぶたに一様にびっくりし(そりゃそうだ)、自分の目や頭を疑うのだが、やがて気がつくと彼のペースに巻き込まれ、傷つき疲れていた心が、いつのまにか癒されているのに気づくのだ。両親が離婚したために父親がいない女の子、毎日残業続きでろくに家族と話もしてないサラリーマン、家出してきた小学生、失踪した兄を探している家族…。そんな、今の世の中にちょっと疲れてしまっている人々。彼らの前に、ぶたぶたはある日突然現れる。

 コミカルな中にも、どこか哀愁漂う切ない話が多い。でも大丈夫。ぶたぶたが、皆をほんわかと幸せな気持ちにしてくれるから。

 『刑事ぶたぶた』同様、とても素敵な現代のファンタジー。もうすぐ(4月21日)徳間デュアル文庫になるそうなので、発売されたらぜひお手に取ってみて欲しい。実にキュートで心あたたまる物語。

『模倣犯(上、下)』☆☆☆☆1/2 宮部みゆき(小学館、01年4月刊)

 週刊ポスト連載3年、加筆改稿2年という渾身の力作。おそらく私の今年前半期のベスト1。期待を裏切らない傑作であった。宮部みゆきはやはりすごい。これだけの長い話を、全く飽きさせることなく、同じテンションでずっと読者を惹きつけて離さないのだから。もはや技術というより、何かを越えてしまっていると思う、彼女は。

 これはとても不幸な物語である。読んでるのがつらくなるくらいに。日本中を騒がせた、とある残虐な犯罪の、その加害者と被害者たちの話。平凡でささやかな生活を営んでいたのに、いきなり不幸のどん底に突き落とされる被害者たち。そして、彼らを陥れその苦しみを見て喜ぶ、悪魔のような加害者。この2方向から、物語は書かれている。

 ここには、善も悪も、とにかくさまざまな人間の感情がそれはもうたっぷり書かれている。読者は彼らにいちいち共鳴してしまうので、もう感情の波が胸の中で荒れ狂う状態になってしまう。特に被害者の苦しみ、悲しみの描き方はすさまじい。こんなにまで、こんなにまで、人は地獄に落とされてしまうのか。無慈悲な犯罪によって。それは、決して癒されることのない傷だ。殺された人間は、どんなに泣いてももう戻ってこないのだから。

 本当につらい話だが、でもこの本をただ「暗いから」と避けてはいけないような気がするのだ。人間の中にある悪とはなんなのか、善とはなんなのか、人間の本当の強さとはなんなのか、正しいものとはなんなのか。著者はこの問題に、まっこうから勝負を挑んでいるから。そして、著者の答えはこの物語の中に明確に書かれている。彼女のポリシーは、いつもぴんと背筋が伸びていて、ゆるがない。迷いがない。混沌としたこの世で、何がまっとうで正しいかを承知している。「犯罪というのは悲しみしか持たらさないものである」という彼女の訴えが、静かに力強く、この物語からは聞こえてくる。

 犯罪は全てを破壊する。そんな当たり前のことを改めて思い知るためにも、全ての人に読んでいただきたい傑作である。本の厚さに臆することなかれ。非常に読みやすいですから、その点はご安心を。むしろ、たっぷり読書の至福に浸れる喜びに酔いしれてくださいませ。

『スタジアム 虹の事件簿』☆☆☆☆ 青井夏海(創元推理文庫、01年4月刊)

 最初は自費出版で発売されたもの。それが新保博久によって「本の雑誌」に紹介され、ミステリサイトで話題になり、ついに創元推理文庫に収録されたという経歴を持つ本。よくぞ文庫にしてくださいました!しかも創元で!これはまさに北村薫、加納朋子、もしくは倉知淳路線のミステリ。つまり、私の好みにどんぴしゃ!(笑)

 私も野球にはかなり疎いほうだが、この東海レインボーズの女性オーナー、虹森多佳子には負ける(笑)。なにしろ、全くの野球オンチ。しかもいつも優雅なロングドレスにヒールで観戦に来るという、相当ユニークなお方。が、ちっとも嫌味がなく、むしろその上品でおっとりした雰囲気にいつのまにか周りが飲まれてしまう。このミステリの安楽椅子探偵は、なんとこの彼女なのだ。

 観戦中にふと小耳にはさんだ話から、その野球の試合の経過をからめつつ、このおっとりした彼女がずばずばと謎を解いてゆくのは実に爽快。周囲の人々同様、読者もあっけにとられる見事な推理。この感じは確かに北村薫の「私」シリーズを彷彿とさせる。

 が、すごいと思うのは、このミステリは野球の試合そのものが非常に重要なキーポイントだというところ。ミステリと野球、これをこんなにうまくひとつに絡めることができるとは!いやあ、この著者の手腕には脱帽。実に、実に面白い。もちろん、野球をあまり知らない方でも大丈夫。著者は非常に親切に解説してくれてますので。野球ファンには…言うまでもないでしょう。東海レインボーズを愛する登場人物たちに共感を覚えること間違いなし。

 実にユニークな、それでいてどこかほのぼのした空気が漂う、読後感爽やかなミステリ。オススメ!

 

 

このコミックがいい!

 『ハチミツとクローバー』1巻(羽海野チカ、宝島社)

 サイトウマサトクさん絶賛の1冊。笑った笑った!めっちゃ元気で明るい、今どきの大学生たちのラブコメ。吉野朔実の『月下の一群』みたいなキャンパスコメディの、21世紀バージョンといったら、30代以上の方はご想像いただけるかと。なるほど、今書くと、こんなカンジになるわけか。2作を読み比べてみるのもまた一興かも。

 とにかく、キャラがオトコもオンナもみんな元気いっぱいで個性的。でも、ただただ脳天気でおバカなだけかと思いきや、実は内面は繊細だったりして、そこがまた胸キュンなのだ。実にカワイイ、キュートな愛すべき人たちです。みんな好きだけど、ワタクシ的には、豪快かつ繊細な山田鉄人(オンナ)が好みのタイプ(笑)。早く続きが読みた〜い。

ハチミツとクローバー

 

特集 SFセミナー2001 本会・合宿編

 2001年5月3日(木)、全電通労働会館ホールにて、SFセミナーの本会が開催されました。

 13:00スタート。オープニングは冬樹蛉さんの超かっこいいナレーションから始まる(笑)。司会は去年と同じく、尾山則子さんと風野満美さん。

 13:10〜14:15、「レキオス、翔ぶ 池上永一インタビュー」。聞き手は鈴木力さん。池上さんは、とてもお若い印象を受けました。70年生まれだそう。

 …が!彼がしゃべりだすや否や、会場は唖然呆然。機関銃のように炸裂する彼のトークに、司会も聴衆も、ただもう圧倒されまくりでした。こんなにパワフルでブッとんだ方だったとは!ああ、でも確かに『レキオス』のむちゃくちゃさとは共通するものがあったかも(笑)。

 『レキオス』執筆時の裏話(トンデモなBGMを聞かせてくれたり、本当はもっとたくさん書いたのだが、泣く泣く500枚(!)削ったという話など。執筆中はほとんど自動書記状態で、次に何を書くのか自分でもわからないという話には仰天)や、取材のときの体験談などのオモシロ話満載!でも、その中にふと見せる、小説を書くことへの真摯な眼差しが印象的でした。「セヂ」についての質問が会場から出たときなどは、一生懸命説明してくださり、とても好感が持てました。「沖縄」という場所のせいでファンタジーが書けるわけではなく、住んでいればそこは現実で、逆にいえば東京にもファンタジーの入り口はあると思う、などという話も聞けて、とてもいいインタビューでした。


 14:25、「アンソロジーの新世紀」。パネリストは左から山岸真さん、中村融さん、河出書房新社の伊藤靖さん、東京創元社の小浜徹也さん(司会兼)。

 2000年に、久しぶりに日本オリジナル編集の海外SFアンソロジーが立て続けに刊行されたということで、その裏話という趣向。河出文庫の『20世紀SF』シリーズ、東京創元社の『影が行く』などを編纂した時のお話をいろいろうかがうことができました。

 ここで会場をうならせたのは、なんといっても中村氏のマニアぶり!(笑)いやあ、こういう方が存在したから、今こうして『20世紀SF』のようなアンソロジーが編まれ、この世に登場することができたのかと思うと、感慨ひとしおでした。彼が短篇博士と呼ばれるに至ったのは、読書記録ノートのおかげだったのです。彼は高1のときから25年間、このノートに、(短篇の)タイトル、原題、著者名、推定枚数(400字原稿用紙で何枚分)、面白かったかの点数をずっとつけてたというのです(しかもこういう記録をつけるのは当たり前だと思っていたそうな)。さらに話の内容は全部覚えているというから、驚くではありませんか!

 山岸氏も、そのマニアぶりにおいては負けてない。海外SF雑誌の〈ローカス〉を読んでいて、そこに紹介されている短篇が読みたいという飢餓感のあまり、原文を読み始め、ついには自分自身がそれを日本に紹介することになってしまったそうな。

 「それっていわゆる“世界を征服したい”っていう願望?」という小浜氏のツッコミが絶妙(笑)。そう、まさに彼らは世界の果てまで突き詰めたい!という野望を持っているのかもしれません。

 ほかにも、具体的な編集手順や、アンソロジーを作ろうという話が出た発端、どういう意図をもって作られたのか、などが披露され、いろいろと興味深い話を伺うことができました。


  16:00より、「SFにおけるトランスジェンダー(性別越境)」。出演は三橋順子さん、聞き手は柏崎玲央奈さん。さすがに2つのパネルを集中して聞いてたので疲れ、この回はパス。


 17:25、「『SF』とのファースト・コンタクト 瀬名秀明、SFに対するアンビバレントな思いを語る」出演は瀬名秀明氏のみ。膨大な資料と40枚ものスライドという裏付けによって、彼の熱い思いが語られました。

 彼はまず「SFファンとコミュニケーションがうまく取れない気がする」とSFに対する違和感を述べました。というのは、『パラサイト・イヴ』でホラー大賞を受賞したときに、SFファンから「これはSFではない」との猛烈な批判を受けたのが発端だそう。

 これに始まって、彼はなんとかしてSFファンとコンタクトを取り、相互理解をはかろうと、まずはSF系日記更新時刻の主だったところを1年分全部読んだ、とおっしゃるではないですか!思わず会場は拍手喝采!(笑)また、SFセミナーサイトからアンケートを募り、筑波大では「どれだけSFを読んでいるか?」というアンケートを取り、さらには方々の文芸編集者からもお話を伺うなど、その熱意と真面目さには会場も驚きの連続でした。

 そして,それらの結果とその分析・考察が述べられました。個人的には、編集者の方々の意見が大変興味深かったです。SFは決して売れてないわけではないのだが、ミステリなどのように突出したベストセラーが出ていないため、どうも売行きが地味だ、売れない、というイメージがある、など。なるほどね。

 それらの結果を踏まえ、瀬名氏からいくつかの提案が出されました。これが実に面白かったので明記しておきます。

1、作家が共同で新聞広告を出したらどうか?
2、「これはSFじゃない」というセリフを今後5年間言わない!(会場爆笑&拍手!)
3、編集者を教育せよ!若いSFファンよ、将来編集者になれ!
4、SF読者は、買い支えよ!出たら必ず買え!そしてもしSFブームがきたら、素直に喜べ!(会場爆笑)

 まあ、実現できるかどうかは別として、とてもユニークかつ興味深いご意見でした。彼の真面目さ、誠実さがよく出ていた、池上永一氏とはまた違う意味で、インパクトのある面白い企画でした。


 合宿は恒例のふたき旅館にて。20:30、大広間にてオープニングスタート。今回は、後進に譲るということで、企画紹介を小浜さん@東京創元社さんが行う。有名人紹介はセミナースタッフの鈴木力さんとみらい子さん。

以下、私の参加した企画のみコメント。 

21:30、「ヨコジュンのハチャハチャ青春記」ライブ版。出演は横田順彌さん、司会は牧眞司さん。

 先日出た『横田順彌のハチャハチャ青春記』(東京書籍)の裏話を聞かせていただく。いわゆる「一の会」(1日、11日、21日、31日、と1のつく日に某喫茶店で開かれていたSFファンのオフ会)のオフレコ話など。めちゃめちゃ面白く、会場は終始爆笑の渦。横田さんの話ぶりは、なんとも味があってよかったです。牧さんの突っ込みも絶妙。まさに青春記、といったお話でした。当時、SFファンなんてのはそりゃあもう奇人変人としか思われていなかったそうな。でも、そう言いながらも実に楽しそうなんだよなあ。当時のSF好きな人々の情熱ぶりが伝わってくるようなお話でした。

 23:00、「こんなSF入門はイヤだ」。出演は巽孝之さん、小谷真理さん。

 SF作家などが集まって作った「日本SF作家クラブ」。彼らの初めての単行本として、去年の12月に、SFアンソロジー『2001』(早川書房)が発行されました。が、もっとほかにも何か活動しようよ、という話になり、じゃあここんとこ「SF入門書」が全く出てないから、これを作ってみようか、という話になったそう。

 で、福島正実が昔作った『SF入門』(早川書房)を参考に、いろんな意見が活発に出されました。この福島さんが作った本は、SFの書き方まで載っており、実に有益なよい本だそう。で、もし今作るなら、SFの歴史(日本、海外含め)はもちろん、映画やアニメ、ゲームについての章も必要だね、という意見が。また、「読者はどういった人間を想定しているのか?全くの初心者か、あるいはSFをよく知っている人間か?」という質問があり、「全くSFを知らない人は手にとらないだろう、ある程度はSFに興味があり、少々は読んでおり、もっと深く知りたいから手にとる人が多いのでは」という意見が出ました。あと、「早川書房から『新・SFハンドブック』が出てしまったので(これは寝耳に水だったらしい)、あれと重複しないように気を使っている」という話も巽さんたちから出ました。というわけで、発売を楽しみに待ちましょう!

 24:30、「海外SFアンソロジーの部屋」。出演は大森望さん、中村融さん、山岸真さん、大野万紀さん、水鏡子さん、牧眞司さん。

 昼企画の続編、といったカンジの企画。もっとくだけた内容で、「でもオレはこれはどうかと思う」「なんであれが入らんのだ!」みたいな喧喧諤諤の発言続々(笑)。

 槍玉に上がったのは例の河出文庫の『20世紀SF』。これの目次が昼企画の資料として配られていたのですが、この紙を見ながら1冊1冊、40年代から水鏡子さんがチェック!(笑)「これが入ってるのが気に食わないなあ〜。○○(著者名)でこれを選ぶってのはないでしょう。どうしてあれを入れなかったのか」と水鏡子さんが言うと、中村さんが「枚数が多すぎ」とぴしゃり(笑)。ほかにも「古すぎ」「あれはこないだのSFマガジンに再録されたからダメ」など、却下発言びしばし。ひ〜、そこまで考えて作ってらしたんですか!改めて、このラインナップを選んだご苦労をひしひしと感じましたよ。他の方々も、「あれはどうよ」「あれは?」と、ぽんぽんと短篇のタイトルが出るところがすごい!彼らの博学ぶりにはもはや言葉を失いましたよ。ここでも中村さんが光ってましたねえ。だからさ、どうしてタイトル聞いて即座に枚数が出るわけ?(笑)この企画のレポは湯川さんのがとても詳しいので、そちらをどうぞ。

 2:00、「ほんとひみつ はりまぜスペシャル」。出演は小浜徹也さん、牧眞司さん、北原尚彦さん、星敬さん、日下三蔵さん、ダイジマン。

 例の東京創元社の限定200部、30万円の『貼雑年譜』が公開され、会場は押すな押すなの大騒ぎ。小浜さんがまるで講談師のように熱弁を奮う。1ページごとに三村美衣さんがめくっていったのだが、仕掛けのあるページに来ると「はいっ!ここです!この裏をめくるとですね、これが書いてあるわけなんですねえ〜」どよめく観客。制作裏話も満載。いやあ、貴重なものを見せていただき、ありがとうございました。

 さて、おあとは恒例の「ほんとひみつ」。要するに古本な方々のお宝自慢(笑)。1番バッターの牧さんは、星新一関係の本。天野さんは、アジア関係の面白本を紹介。北原さんはよくわからないけど、三村美衣さんへのリベンジらしい(笑)。十五少年漂流記でまとめてました。ダイジマンはとっておきのお宝、創元・早川の文庫目録コレクションと、紙魚の手帖をはじめとする挟み込みチラシコレクションファイル!その膨大な量には、古本者の観客一同からも「おおお〜!」とどよめきの声が。ラストは日下三蔵さん。彼の出品は香山滋コレクションから。

 これが終った時点で午前4:00(!)。さあ、これからオークションだぜ!もう皆、ナチュラルハイ状態になってて、ささいなことで笑い転げるというむちゃくちゃなオークションでした。「100円から」って言ってるのに「200円!」って声が飛んだり(笑)。そしていつのまにか、窓の外は朝になっていたのでした。6:15、オークション終了。


8:30、エンディング。スタッフ挨拶。皆様、今年もお疲れさまでした。おかげさまで楽しませていただきましたよ!

 

あとがき

 本を読んでいると乱読が溜まってしまい、ネットをしていると本が読めなくなる。う〜、ジレンマだあ。なにしろ、本を読むのもネット巡回も原稿を書くのも、みんな大好きで楽しくてしょうがないから困ってしまう(笑)。カラダが5つくらい欲しいよう。あと2つは睡眠担当と家事・仕事担当ね。(安田ママ)


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