第21号 1999年6月
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そんなこんなで、SFセミナーがやってきた! 某所放出のSF古本を車に積込み、さわやかに晴れ渡った青空の下、いざ出陣! 舞台設営その他。参加者集まり早し。アッという間に開場10時。こりゃあ、大入り満員御礼だ。
あ、そうそう、会場に入った瞬間、あれっ?と思ったこと。「こんなに舞台近かったっけか?」これが仰ぎ観ていた一般参加者とスタッフの違いなのか(笑)。
今年のセミナーは、いきなりぼくの担当した「文庫SF出版あれやこれや」からスタート。実は二転三転した企画だというのは内緒だよ(笑)。作家系企画が極度の充実振りを示す本会中唯一の出版系プログラムとして、楽しみになさっていた方がきっと多かったに違いない。かどうかは分からないが、とにかく会場はギッシリ! パネリストには、込山博実@ハヤカワ文庫、小浜徹也@創元SF文庫、村松剛@ハルキ文庫の3氏をゲストにお迎えし、SF研究家の高橋良平氏に司会をお願いしました。この豪華布陣をもってすれば、いやがおうでも期待は高まるというもの。でも驚きましたよ。ホントに打ち合わせしないのね、この人たち(笑)。プログラム・ブックにぼくが景気付けで書いた一文(どんな展開になるか分からなかったんだもん)にチラリと目を通しただけで、「打ち合わせ? イイんじゃない、別に。」(高橋さん)ですからね(笑)。それが、いざ舞台に上がれば、ツボを心得たやりとりを繰り広げる役者振り。さすが!
おおむね復刊の話を中心に進み、発掘するに値する作品とは? それらを読者へアピールするプレゼンテーションは?というような、どのように長いスパンで売っていく(読んでもらう)かの戦略的な話題が興味深かったです。欲を言えば、注目のハルキ文庫の話をもう少し聞きたかったかな、ということ。村松さんはSFイベント初登場だそうで、事実、依頼に際して「SFセミナーとは何ぞや?」という所からご説明した位なので、今回は他のタレントたちの出方拝見、という感じでしょうか。って言うか、アノ小浜さんのマシンガン・トークの前ではチト無茶な注文なのかも(笑)。
その小浜さんと共に、込山さんもファンいじり(?)の巧みな方で、大いに盛り上げて下さいました。最近のイベントに顔を出すことは稀なようですが、さすがはベテランSF担当者、ファン心理をよく解っていらっしゃる。聞けば、早川書房の近年のヒット作をほとんど担当しているのでは?と思う程。また、(H・K)というイニシャルの文庫SF解説は、氏が手掛けられたものだそうです。
盛況のうちにパネルは終了し、お昼休みに。すかさず柴野拓美&幸子ご夫妻にご挨拶に伺い、〈宇宙塵〉入会手続きをして会員に加えて頂く。実は、柴野さん(小隅黎)の訳された『造物主の選択』(ジェイムズ・P・ホーガン著 創元SF文庫99年)が、発売数日前に突然送られてきてビックリしたのですが、セミナーの直前にも〈宇宙塵〉最新号(195号)まで届いてしまい、大変恐縮していたのです。97年11月22日の「宇宙塵40周年パーティー」での名簿から送って頂いたようですが、さすがに「あ、こりゃマズイ!」と思ってすぐ入会。その場にいた牧さんには、「ナンダ、まだ入ってなかったのカイ。」と冷やかされましたけど、いや〜、実はそうなんです(笑)。ぼくはSF研出身じゃないので、特定のファングループに所属することにためらいというか、う〜ん、ちょっと敷居が高かったんですね。
ではなぜ40周年パーティーに?と謎に思う方もいようが、こんな歴史的イベントには“当然”行かなければいけないものだと考え、参加したのでした。そんくらい〈宇宙塵〉は別格ってこと。でも〈SFマガジン〉でパーティーの告知を見て来た、という全くのフリの客は、ぼくだけだったみたいです。
閑話休題。プログラムは「スペース・オペラ・ルネサンス」(出演/森岡浩之・大宮信光・堺三保)、「「雪風」また未知なる戦域へ」(出演/神林長平、聞き手/牧眞司)と進み、神林氏の最新作『グッドラック 戦闘妖精・雪風』(早川書房)の先行販売&サイン会へ。ぼくは売り子をしていた成り行きで、サイン会は神林さんの付き人としてお手伝いさせて頂きました。ずらり並んだファンの方のお名前を入れながら、丁寧にサインをなさる姿が印象的でした。
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何かと話題の多かった「篠田節子インタビュウ」(聞き手/山岸真)を観ることなく、合宿準備に直行する。大広間でのオープニングも、ギッシリ埋め尽くされました。
合宿は企画が同時進行の分科会方式で見所はたくさんあるんだけど、ぼくは『グッドラック』を売りつつ(百部完売達成!)、そのまま大広間でダベリモードに突入。なんと3コマ目まで費やしてしまったのだった。えらくモッタイナイ事を…と自分を叱る反面、楽しかったからいいもんね。いや本当言うと、こういうのやってみたかったんだよ。大会ゴロみたいで(笑)。一緒に楽しい時間を過ごした沢山の皆さん、またヨロシク!
そして最後の4コマ目。セミナーに結集した“ださこにすと”はもちろん、多くのファンの関心を集めた「ネットワークのSF者たち」(森太郎@森太郎のサイト、田中香織@東洋大学SF研究会)に後ろ髪を引かれつつ、勇躍ぼくが向かうは「ほんとひみつ‐「つねならぬ本」編‐」(案内役/三村美衣)なのである。
96年以来4回を数える、歴史はあるけど権威の無い(笑)、珍本・稀本乱れ飛ぶ、丁々発止の名物企画。で、ぶっちゃけた話、古本自慢なワケですな。だが、まんまと担当を仰せつかり三村美衣さんに電話するぼくには、開口一番「あんたも出なさい!」との有無を言わさぬ指令が下ることなど知る由もなかったのであった(笑)。
今回の出演者は、SFのみならず「古本で買う絶版ミステリー」特集(〈アミューズ〉98年8/12号)をエスコートした博覧強記、日下三蔵氏を筆頭に、〈本の雑誌〉で古本コラム「神田番外地」を長期連載中の北原尚彦氏、《トーキングヘッズ叢書》に「新・古本あるけおろじい」を連載していた牧眞司氏(SF書誌研究の〈SFビブリオファイル〉主宰の方が分かり易いかも)という、錚々たる豪華レギュラー陣。で、〈銀河通信〉に「SF出たトコ勝負!」を連載中のぼく。いやはや(笑)。
結果としては、ネタはともかく語りの部分がへろへろで要反省!って感じ。芸の道は厳しいっス。
最も注目を集めたブツは、北原さんが当日入手したという隠し玉、“学年誌のふろく”でした。この小冊子は大抵が世界名作や推理小説なのだが、ナントSFばかり50冊! これだけ集まりゃヨダレもの!
引き続き行われたオークションでは、いろんな人の探求書が続々登場するという偶然はさておき、充実の品揃えで白熱。ぼくもSF特集号の雑誌などを落札しました。
個人的にいつもお世話になっている桐山芳男さん(青心社『ピーナツバター作戦』編者)の名言。「君もどんどん深みにハマッていくね(笑)。」なんかホントそんな感じ。ああ、堕ちていく(笑)。
さ〜てと、次回もガンバルぞ。皆さん、またお会いしましょう!
あとがき今回の銀河通信は、非常に更新が遅くなり、まことに申し訳ありませんでした。ひとえに、発行人とコラムニストの怠慢のせいです。しかも、コラムニストはついに原稿を落とすという不始末!こら、ダイジマン、キミもお詫びせよ!ほんっとにのんびり屋なんだから! |