去年に引き続き、今年も行ってまいりました、SF大会!今年はなんと、長野県は白馬の山の上にあるホテルを借りきっての合宿形式。なんかここんとこ、ださこんといい、SFセミナーといい、お泊まり形式のコンベンションづいてる私。
7月3日(土)の夕方から始まり、翌日4日(日)のお昼まで、1晩SFにどっぷり浸かろうというスケジュール。私達銀河通信コンビ+お店の先輩一名は、前泊の予定をいれてたので、前日の2日の夜に仕事を終えてから車で船橋を出発しました。夜10時半に出て、けっこう雨の中でも飛ばしたのに、到着したのは朝の4時!もう、うっすら外が明るくなりはじめてました。やはり、白馬は遠かった!ここ、すんごい山の上なんですもの、びっくりしちゃった。スキーには最高でしょうね。
眠い目をこすりながら部屋に入り、とりあえず爆睡。朝食後も爆睡。だって、これから夜通し遊ぶんだもん!(笑)力を蓄えておかねば。もう、企画スタッフの方々は準備に精を出しておられました。時間報新聞の部屋の前に、コピー機が2台あるのを見て「おお!すごい!持ちこんだのか、これを!」と驚く。私はちょっと日記の更新。お昼頃には、だいぶ他の参加メンバーも到着してて、ロビーはざわざわごった返しておりました。昼食時には、知った顔をちらほら見かけました。大森望氏からお声をかけられたのにはびっくり!うれしゅうございました。「ださこん連中はいないの?」と質問されました。何人かはいらしてた模様。
さてさて、いよいよ16:30よりオープニング(やねこん開校式)。ホントなら野外の予定だったのですが、あいにく梅雨時だったので大雨!急遽、B1の和室をどどんとぶちぬいた大広間に。が、もうぎゅうぎゅう!すごい人、人、人!コスプレーヤーは徘徊するわ、赤ちゃんや子供はいるわの大騒ぎ!私達は後ろの方に陣取っていたのであまり舞台の声が聞こえず、せっかくのギャグを聞き逃したのがちょっと残念。きちんと6番まで歌われた、校歌斉唱には笑いました。ここで、星雲賞受賞式。私の入れたのはほとんど入ってなかったな(笑)。『タイム・シップ』くらいだったか。詳しくはどこかのページに出ると思いますので、そちらをご覧下さい。17:40、終了。それぞれ、ぞろぞろと目的の部屋に散りました。
18:00、企画スタート。私達は「SFセミナーオールナイト」の一コマ目、「巽孝之編『日本SF論争史』出版予告編プロモーションスピーチ」を拝聴。これは、今年の10月頃、勁草書房にて刊行予定(予価4000円)の本の、著者本人による内容紹介と解説でした。聞き手は小谷真理氏。(私はこの部屋で、初めて野阿梓氏を拝顔いたしました。)
恥ずかしながら、初めて聞くことばかりで、とても勉強になりました。ホントにSFって、昔から論争の絶えない世界だったのね。「まず、この本のウリは、単行本未収録の阿部公房や小松左京の文が入ってるということと、引用した文章すべてに版権をとってあるということです!」という著者の弁に、おおおっと会場から声があがりました。これ、すごく大変なことなんだそうですね。この本は時代順に1部から5部までの構成になっており、それぞれの章を丁寧に解説してくださいました。きっとこれをお読みのSFものの皆様なら当たり前に知ってらっしゃることだったのでしょうが、私には「へえ〜」「ほお〜」の連続でした。
SFは昔、存在そのものを叩かれまくっていて、SFを書いてる人々が必死でそれに反論していたのだ、とか、SF内部での誰々と誰々との論争とか。政治とSFが近かったというのも初耳。サイバーパンクうんぬんから最近のクズSF論争(海外でも、これあるんですってね。あちらじゃ、「誰がSFを殺したか」という論争が、雑誌の仕掛けで何年かごとに定期的に繰り返されるのだとか)まで、実に詳しく、私のようなド初心者にも楽しめるようにお話してくださいました。4000円は確かに高いけど、その価値はじゅうぶんありそう。ぜひ皆様も、発売の折にはお読みになってみては?あの講座を聞いてしまったら、買わずにはおれない内容です。
19:30、終了。ちろっと「電撃SFの部屋」をのぞく。そう、『ブギーポップは笑わない』の上遠野浩平氏がいらしてるらしいので!でも、この部屋、ほとんど男性ばっかりで、ほとんどファンの集い状態。上遠野氏がどなたかもよくわからなかったので、すぐ出てしまいました。この後、空き時間を利用して夕食。
20:30、私と先輩は「神林さん20周年おめでとう 神CON騒祭スペシャル」に参加。ダイジマンはお隣の部屋の「祝 野田昌宏さんペンネーム30周年 SF美術館から人間大学まで」へ。
神林さんの部屋は、入り口でファンジンやグッズを売っており、さっそく自分のとニムさんの分など買いこむ。おりしも脇にはすでにお酒を飲み始めてる神林さんご本人が!速攻で今買ったファンジンにサインを戴く。『グッドラック』はもう5刷だそう。すごーい!部屋の感じを見ていると、熱心な女性ファン多し。
同じく入り口で販売してたビールを開け、座布団をゲットしてすでにみんな宴会モード。熱烈なファンであるらしい、マンガ家の東城和美さんが司会を務め、神林さんを真中に据えて向かって右に東城さん、左にゲストの方がかわるがわる登場して、それぞれにこの20年にまつわるお話をして下さいました。
しょっぱなのゲストは野阿梓氏。お二人はほぼ同時期にデビューしたそうで、「ハヤカワコンテストの当選通知が、これでも文筆業かと信じられないくらい汚い字だったので、あれがハヤカワ書房の便箋でなかったらゼッタイ友人のイタズラだと思った」などなどの細かくてオカシイ、彼らのみの知るデビュー時のエピソードをいろいろ話してくださいました。神林さんはけっこうお酒がまわっていたようでした(笑)。大蔵氏(字が違ってたらごめんなさい)が次に登場、昔新潟で行われたガタコンのお話などをしてくださいました。「あの頃は若かったね〜、海いったりしたよね〜」などと神林さんはのたまっておられました。他のゲストには、先ほどの巽氏など。
しばらくののち、そっと抜け出して隣の「祝 野田昌宏さんペンネーム30周年 SF美術館から人間大学まで」へ。もうほとんど終わりの方だったのであまり聞けませんでしたが、印象的だったのは「フランスは宝の山だよ、ぼくは今からでもフランス語を習いたいくらいだよ」とおっしゃってらしたこと。ホントに気持ちのお若い方です。だって、今から勉強よお!あのパワーはいったいどこから来るんでしょう?負けてはいられませんわ、私達も!聞き手である牧眞司氏のテンポが絶妙で、おふたりで、インターネットやブラッドベリだとかの話で盛り上がっておられました。本当に楽しそうにSFを語る、野田氏でありました。
22:00、またSFセミナーオールナイトの部屋へ。企画名は「SFコレクターのつくり方」。これ、なんとダイジマンが司会をするというではありませんか!私は当日パンフを見るまで全然知らなかったのでびっくり!なんだよ、教えてくれればいいのに〜水くさいなあ(笑)。
しかし、この部屋に集まった人々って、出る方も聞く方も、SFセミナーの「ほんとひみつ」のメンバーとほとんど同じ(笑)。出演者は牧眞司氏、北原尚彦氏、日下三蔵氏。これ以上のSFコレクターはおそらくいないでしょうってくらいの濃いメンツでスタート。日下さんなんて、ここに来る前に松本の古本屋で段ボールひと箱ぶんも古本買ってきてました。こんな雨の中だってのに、さすがだよ!
ダイジマンが出演者の方々に質問をふって、それに答えていただくという形式だったのですが、彼はつい司会を忘れてふんふんと聞き入ってしまい(彼もコレクターだからね)、牧さんに「キミが聞き入ってどうする(笑)、話をギャラリーに持ってかれてるゾ」などとうまく軌道修正してもらってました(ちょっとひやひやしましたが)。とにかくこの部屋そのものがまさにコレクターの巣窟で皆ライバル同士(笑)。出演者と視聴者の区別がほとんどないような状態で、全員がひとつになって語り合う、といった雰囲気でおおいに盛り上がりました。
まず、「なにがきっかけでコレクターになったのか?」という質問に、牧氏は「SFファンになったと同時にコレクターになった。だって、まずSFマガジンのバックナンバーなんかを集めるのは当然じゃない、あとは資料本ね」と発言。
北原氏は、「中3の頃SFにはまったんだけど、どうもSFベスト100とかって紹介されてる本は新刊本屋にはなさそうだ、ということで古本屋に通うハメに。高2のとき、もうSFから足を洗うのでやる、という友人からハヤカワSFシリーズをどっさりもらって、ホームズもその頃ハマって、ミステリとSFを交互に読んでた」とのこと。
日下氏は、「SFは、文庫が出揃った時期から読み始めた。中学くらいかな。SFからミステリに行き、古本へと道をたどることになった」とのこと。
「どのシリーズを重点的に集めてますか?」という問いには、牧氏は「まず日本。それから海外。SFマガジン→ハヤカワSF→日本版アメージング・ストーリー→洋書、かな。あと資料本をたくさん。海外のペーパーバックなんかは、重版すると装丁が変わるので、そのたびに買う」とコレクター的発言。
北原氏は「コンプリートはわりと少ない。ホームズ本は、とにかく出たら買うようにしてる。今、洋書なんかは月に一度くらいは出るので大変。」
日下氏は「とりとめなく集めてる感じ。都築道夫、山田風太郎とか。穴あき本とか(笑)。」
「お宝本を発見するときの嗅覚ってのはあるんですかね?」という問いには、牧氏「そりゃ、探してた本を見つけたときにはそう言うんだよ(笑)」と前置きして、「とにかく棚を見て、背表紙を覚えること、知識を蓄えること。どんな本なのか、見て覚えておくだけでもずっと探し易くなるから。古本買いのコツは、知識勝負だよ」と発言。目録買いにも、いろいろとコツがあるよう。
「コレクターとそうでない人の境目はどのあたりに?」という質問に、ギャラリーを見渡して「わかった!くやしがる人がコレクターだ!」と叫んだ牧氏の発言に、一同爆笑。
「蔵書がどんどん増えるでしょう、その解決策はどのようにしてらっしゃいますか?」との質問には、牧氏「家を買う」。北原氏「広いところに住む」。つまり、本に合わせて物理的に入れ物のサイズを拡大するしかないようです。カビとかも、湿気対策に気を配るとか、皆さんマメにしてらっしゃるよう。さすがコレクター、本格的でした。電子レンジでダニを殺すってのは初耳。牧氏もさすがに試したことはないそうですが。どなたか、チャレンジしてみません?
最後に、それぞれが思い入れのある一冊を持ち寄って紹介。最後に、ダイジマンが、ハヤカワの銀背の函入り本なのに中身に帯がついてるという謎について発言。他の方々も「ほお〜」と言ってたので、ひょっとしたら、これは大発見かも。これは、いずれダイジマンが自分のコラムに書くでしょう。
23:30、終了。すぐに、「ライブ版SFスキャナー」の部屋に移動。ああ、忙しい。ここは2部構成に分かれてたようで、私達が行ったときは2部目をやってました。題して「初心者のためのSF翻訳Q&A」。途中からだったのでちょろっとのぞいた程度でしたが。小浜氏の司会で、提出された質問に柴野氏や大森氏などの翻訳のプロが解答するという形式でした。やはり皆様、翻訳には実に苦労なさってるようでした。超訳についてや、英語の詩の訳についてとか、さまざまな表記についてなどの話題が出ていました。
お次は0:30より、「SFクイズとビンゴの部屋」。さまざまな難問に、小浜氏、大森氏、塩沢編集長、山岸氏などが解答するのですが、これがむっちゃくちゃ難しい!彼らよりSFに詳しいお方なんておそらく存在しないと思うのですが、そんな彼らでも「う〜〜〜ん」とうなって頭を抱えてしまうようなハードな質問ばかり!私なんてもちろんじぇ〜んじぇんわっかりません(笑)。それでも、答えてしまうんだな、この解答者の方々は!もう尊敬の溜息しか出ませんでした。結果は、山岸氏がダントツトップでした。解答者がギブアップした質問には、ギャラリーのなかからわかる方が挙手。当たるとリポビタンD(かな?)をもらえるというシステム。
第2部からは、ビンゴを組み合わせたクイズ。というのは、視聴者にビンゴをやってもらいつつ質問を出し、ビンゴになった方はその紙を解答者にプレゼントする。その紙が1枚50点で、解答者の点数に加算されるという仕組み。解答者は、その紙とひきかえに、視聴者が喜ぶようなプレゼントを持ってきていて、それをエサにするわけですね(笑)。そのエサがまた面白い。大森氏はなんとこないだスリランカでもらってきたばかりという、クラークのサイン本!塩沢編集長は、大ファンである和久井江見(字あってるかな?)の生写真!小浜氏は刷りあがったばかりの星雲賞受賞の帯(笑)!「これさえあれば、帯つきの本を買いな直さなくて済みます」だそうで。ほかにも東京創元社のレポート用紙とか。
私は偶然にも早めにビンゴとなり、山岸氏の出したプレゼントをもらえることに。8月か9月発売予定の文庫の新刊にサインを入れて送ってくださるそうです。わーい。
2:30、終了。このあたりから、そろそろ体力の限界に。ダイジマンと別れて、私と先輩は睡眠。ダイジマンはこのあと、オークションに行ってた模様。元気だなあ。
あ、移動の合間にディーラーズルームものぞきました。『星界の紋章』のアーヴ語の本があまりにおかしかったので買ってしまいました。あとは、風呂場に行く途中の廊下で、1晩中ぶっ続けでアニソンメドレー1000曲メドレーなどもやってました。真夜中に、大のオトナが「あんまりソワソワしないで〜」とか大合唱してんの。アヤシイよ〜(笑)。あとは、来年のSF大会の実行委員長が、ピンクのスーツに「日本SF党」というたすきをかけて「握手してくださーい」と廊下を練り歩いたり。この方に握手すると、ネームバッジにシールをはってもらえるのです。私ももちろん握手しましたよ。なぜか私の名を知ってらした模様。このサイトのせいか?
7:00起床。ねむ〜い。朝食に行くと、浅暮三文氏が同じテーブルにいらしてくださり、新作の話などに話が咲きました。釣りがお好きとのことで、前泊でいらして野尻抱介氏と近くで釣りをしてらしたとか。風野@サイコドクターさんの奥様もいらして、いろいろお話しました。なんかダレてしまい、8:00のエンディングが始まってもまだいいや、とずるずるそこでダベってました。
8:30、エンディングへ。ダイジマン発見。おお、生きてたか(笑)。寝こけてるかと心配したが。インディーズSF映像大賞、ファンジン大賞、暗黒星雲賞などの発表&授賞式が行われました。ださこんで見知った顔が何人か舞台に出てらして、「おお、あの方が受賞!」といちいち驚く私。ギャグとユーモアを交えつつ、やねこん閉校式。
ホントにSFづくしの濃い1晩でありました。SF界きっての大物から直々にじっくりいろんなお話を聞くことができ、贅沢させていただきました。スタッフの方々、大変お疲れ様でした。こんなアヤシイ集まりに快く協力してくださったホテルの方々、本当にありがとうございました。というわけで皆様、来年の横浜でのZEROCONでまたお会いしましょう!
(もしこのレポートに間違いなどございましたら、ご一報下されば幸いです)