6月 特集 銀河通信オフ会

 6月17日(土)、船橋の某居酒屋にて、10万アクセス記念として、銀河通信初のオフ会が開催されました。この企画として「あなたのオールタイムまたは今現在の布教本、もしくはお宝本を一冊お持ちくださいませ」というお願いをしていました。なにしろ濃いメンツが集まったため、これがなかなかに面白かったのでそのご報告を。

★リウイチさん…『スターウォーズ ローグプラネット』グレッグ・ベア/ソニーマガジンズ…って、これさっき訳者の大森さんご本人からもらった本じゃん!(笑)当店は、今日配本されまして、SFコーナーと映画コーナーに並べましたよん。あとは、『西条秀樹のおかげです』森奈津子/イーストプレス。ってこれもさっき当店で買ってくださった本じゃん!あ、そうか布教本ね。いつもお買い上げありがとうございます。ぺこり。同時発売の『孕む』久美沙織も紹介。

★πRさん…「SFマガジン ’87 10月号」収録「山の上の交響楽」中井紀夫/早川書房、「SFマガジン’92 10月号」収録「デュオ」飛浩隆/早川書房…この時点で、πRさんが年季の入ったSF読みということが判明。「でも高校くらいからですよ」とおっしゃるが、私の100倍はSFくわしいです。マジで。あと『虚業家宣言』康芳夫/双葉社。これは昭和49年の本。

★米田淳一さん…『オカルトの事典』青土社。あと、お父上が自衛隊方面にお勤めだそうで、「波涛」というそちら方面の雑誌。けっこう面白いらしいです。

★大森望さん…『笑う伊右衛門』京極夏彦/中央公論新社。が、なんと、限定100部の私家版和綴じ本!和紙に印刷してあって、表紙も柄のきれいな和紙!(しかも表紙は5バージョンくらいあるらしい)やー、これ京極ファンが見たら鼻血吹くんじゃないかなあ。すっごく素敵な本でした。大森さん、ずるうい(笑)。いいなあ〜。

★松本真人さん…『アッカーマンSF博物館』(ごめんなさい、出版社書き忘れました)、『SFバルーン』みのり書房。「これは新刊で買ったんだけど、1回しか見なかったんですよ」とのこと。大森さんが、「確か4号か5号くらいまでしか出なかったんじゃないかな?」と申しておりました。あと、「創元推理コーナーSF特集号」。ダイジマンはすかさず「あ、持ってます」。さすが(笑)。

★kashibaさん…『忍法相伝73』山田風太郎、講談社。彼の今年の血風!だそう(笑)。あまりにも内容がバカバカしいので、絶対に復刊されないというか本人が復刊を許さないでしょう、とのこと。そ、それはすごい。別の意味で。あと、『知っているのは死体だけ』島久平、久保書店。ミステリ読みなら知ってる、とても有名な本らしい。すみません、違いの分からないオンナで。しかもなんとなんとこれ、「謹呈 横溝正史先生 島久平」のサイン入り!!謹呈本だったのですねえー。びっくり!!kashibaさんも「ひとに言われて気がついた」と申しておりました(笑)。

★川口且真さん…『The Art of Fantastic』。洋書のアートイラスト集。モノトーンの素敵な本でした。ネットで買ったそうです。洋書におくわしいのですね。限定1200部(!)とのこと。それはお宝ですね。あと、「MAXIMUM」という、埼大SF研の同人誌。これは、巻末の児童向けSF図書リストがすばらしいとのこと。この時代にこれだけ調べるとはすごいらしい。でも現物にはあたってないらしい(とおっしゃってた気が。うろ覚えですみません)

★drakenさん…『メタモルフォセス群島』筒井康隆、新潮社。なんとご本人のサイン入り。最初のページの筒井さんの写真が若くてカッコイイ!俳優さんみたい、といったら、彼は当時俳優志望だったと土田さん(でしたよね?)からうかがいました。あと、彼の直筆サイン色紙。drakenさんは昔、筒井康隆のファンクラブに入ってらしたそうです。すごい〜。

★ダイジマン…「SFの手帖」これはファンジン。今、彼はファンジンを集めるという野望に燃えているのです。これはあの福島正実の『SF入門』とほぼ同時期に出ているため、それと内容が重複しないようになっているとのこと。これは非常に価値ある一冊だそうで、神田のカスミ書房で5万円の値をつけて出したら速攻で売れたそう(!)。これは古本屋業界でも驚かれた、めちゃめちゃの高値だそうです。しかしそれで売れちゃうとは。ダイジマンは某所で7000円で売られているのを発見し、「この値段なら買いだ!」と即決したらしい。古本鉄人kashibaさんから、「その値段を見て“安い”と思えるキミがすごい!」とお褒めの言葉を頂戴していました。

★土田裕之さん…『この子の父は宇宙線』新田次郎、講談社ロマンブックス。中身はモロSFだそう。短編集でいいのかな?あと、『三十年後』星一/新報知社。これはダイジマン超感動!なんたって大正7年発行の本ですよ!でもとても綺麗だったなあ。むちゃくちゃ高い本らしいけど、まあそうでしょうなあ。あと、『夜窓鬼談』上下巻。これはなんと漢文のホラー、でいいのかな?伊勢丹で購入したとか。なんとまあ、まさにお宝本ぞろいですねえ。

★アクセルさん…『江戸川乱歩名作集3』春陽堂書店。昭和37年発行。ダブリ本とかで、2冊も持ってきてくださいました。「欲しい方どうぞ」というので、青月さんが頂戴してました。「乱歩って子供の頃こわくて読めなかったんです〜」の声に、大森さんすらうなずく。kashibaさんが「一番最初に読んだ乱歩ってなんですか?」と大森さんに質問。「『人間豹』」とお答えになってた気が(記憶違いだったらごめんなさい)。すかさず「エッチ〜!」とkashibaさんの声が(笑)。

★お給仕犬さん…『VINUS PLUS X』。洋書。彼女の熱愛するスタージョンの未訳本。実は彼女は今日MZTさんがくると思っていて、MZTさん対策として持ってきたとか(爆笑)。なぜかというと、彼はことあるごとに、この本を持ってることをお給仕犬さんに自慢しまくっていたとかで、「もうゲットしたから、自慢しなくていいよ〜」と彼に言うつもりで持っていらしたそうです(笑)。彼がこなくて残念でした。これは復刊なのかな?わざわざロンドンで買ったのに、帰ってきたらアマゾン・コムで売ってたとか(笑)。

★青月にじむさん…『薫の秘話』1,2巻、松田洋子/講談社モーニングkc。今回の宿題に彼女は非常にアセっていたそうで、しかも引越しだか片付けの最中だったのでとりあえず手元にある本を布教本として持ってらしたとのこと。でも内容は非常に面白いらいしです。『リスペクター』よりずっと面白いそう。kashibaさんも絶賛(しかし彼はホントになんでも知ってるよなあ〜)。この2巻はなかなか見つからないそうです。これこれkashibaさん、「えー、では500円から」ってオークションにかけるなっつーの!(笑)あと、『愛の見切り発車』柴田正幸/新潮文庫。ピッカピカの新刊です。これも布教本とのこと。

★やよいさん…島田一男チェイサーとして超有名な彼女。なんたって島田一男全文庫リストをつくるほどの入れ込みようだもんね。で、当然彼女の持参本は、『鮮血の街』島田一男/桃源社。文庫になってない、短篇集だそう。今年、あちこちのネットで話題になった、そうです。「あちこちって2つくらい?」と古本系の方からツッコミもあり(笑)。

★谷田貝さん…『ラブ&フリーク』文芸春秋。これ、今日発売のピッカピカの新刊です。もう読破したそう。早い〜。面白かったそうです。あと、『荒俣宏のデジタル新世界探検』日経新聞社。これも4月の新刊。なんと、これに彼のサイト「ノストラダまス」が紹介されてるのです!すごーい!

★安田ママ…すいませーん、トリのくせして、私が一番薄いでーす(笑)。いやマジで。お宝なんてなーんにも持ってないので、布教本の森雅之『夜と薔薇』ふゅーじょんぷろだくと社。私は彼の大ファンなのですが、彼の知名度は異常に低いので、「彼は講談社漫画賞も受賞してるんです〜」と力説。「でも絶版本が、まんだらけ探してもネット探しても全然見つからないんです〜」と泣きの告白をしたところ、大森さんがさらっと「これ、コミックマニアならみんな買って持ってるよ」と衝撃の一言。がーーーーーん!!うそおっ!大森さんはちゃんと最初の版を持っていて(私のは復刻版)、しかも奇想天外コミックス(でよかったですか?)の切抜きまで保存してるそう。ひーーーーっ!マジっすかあ?超うらやましいいい!ああ、でも非常に有益な情報を得てうれしかったです。そうか、コミックマニアは持ってるのね。で、皆市場に出してないんだな。ふっふっふ、わかったぞお。マニアのひととお友達になればいいんだっ!(笑)ああ、絶望かと思っていた望みに、かすかな光明が見えてきたよ。大森さん、どうもありがとうございました。

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5月 SFセミナー2000レポート

5月3日(水)、ゴールデンウィーク真っ只中、東京の全電通労働会館において、今年も「SFセミナー」が開催されました。私にとっては2度目の参加でありました。

 1.「角川春樹的日本SF出版史」出演/角川春樹 聞き手/大森望

 なんと、あの出版界のドン、春樹氏登場!彼はかつて70年代から1300冊も角川文庫でSFを発行し、日本SFに貢献した方です。

 彼は第1直観で、これからの動向をすべて予測していたそう。その動向とは70年代はSF、80年代はファンタジー、90年代はホラーが流行る、とのこと。で、注目の00年代は、またSFの時代が来ると予言したのであります!

 その布石としてまずはハルキ文庫でかつての名作SFを復刊し、次に書き手を探すべく、若手SF作家を発掘中とのこと。更に小松左京賞で一気にSFブームを作り、3年後あたりにはSFのベストセラーが登場、という段取りだそう。

 実に心強いお言葉でした。これからが実に楽しみですね!

 2.「ブックハンターの冒険」 出演/牧眞司 聞き手/代島正樹

 なんとダイジマン、昼企画に登場!
 自らブックハンターを名乗る牧氏の同タイトルの本の出版記念もかねての企画。牧氏がSFを読み始めた中学の頃、すでに読みたい本はかなり絶版状態で、必然的に古本の道に入ったとか。「本がないのはいつの世も同じ、自分の足で古本屋で探すべし!」という前向きな姿勢に好感が持てました。牧版異色作家短篇集(を作るとしたら)や、最近の釣果についてのお話を楽しく聞かせて頂きました。

 3.「日本SF論争史」 出演/巽孝之・牧眞司・森太郎

 これも5月に出た同著の出版記念企画。かつてのファンジンは論争が非常に盛んで、論争を通してSFの本質に迫ろうとする動きがあったそう。論争から見えてくるさまざまな人のSF観を一冊にまとめよう、とこの本の企画が立ったそうです。山野vs荒巻などの論争を具体的に挙げ、論争の面白さを語って下さいました。

 4.「世紀の日本SFに向けて」出演/藤崎慎吾・三雲岳斗・森青花 司会/柏崎玲央奈

 『クリスタル・サイレンス』の藤崎氏、『M.G.H.』の三雲氏、『BH85』の森氏という今注目の若手SF作家を迎えてお話を伺いました。皆微妙に世代がずれているのですが、そのSF歴&読書歴、何をどう考えてSFを書いているのか、などをテーマに話が弾みました。特に、三雲氏の「初めてSFに触れる読者のための、SFの踏み台になりたい」「SFで海外(なぜかアジア)に進出したい」というお言葉が印象的でした。森氏の天然系キャラ(笑)も非常に魅力的でした。藤崎氏は書きたいものを書く、それが自然にSFになったと話してらっしゃいました。

 (ラストの企画は映像系のため、辞退しました)

 合宿企画1.「中年ファンタジーの時代は来るのか?」出演/浅暮三文(作家)、倉阪鬼一郎(作家)、小浜徹也(東京創元社編集部)、
たかはし@謎宮会(読者代表)、林哲矢(読者代表)、福井健太(評論家)

 メフィスト賞作家、浅暮三文氏をもっと売り出すにはどうしたらいいか?を皆で考えるというユニークな企画。夜ならではのフランクさで、爆笑につぐ爆笑の展開でした。出版界の裏話なども出て、業界人のはしくれとしては実に興味深い企画でした。グレさん、頑張って下さいね!まずはバンドマンの密室ミステリ、ですか?(笑)

 2.「田中香織のなぜなにファンジン」出演/高橋良平・牧眞司・小浜徹也・田中香織

 田中嬢が諸先輩方から、ファンジンについて教えていただこうという企画。60年代から80年代までのファンジンの歴史を、出演者のSF歴を含め、語って頂きました。彼らの青春時代が垣間見え、SFがまさに熱い時代だったのだなあ、というのがひしひしと感じられました。しかし、中学からSF活動をするというのはスゴイですね。

 3.「ネットワークのSF者たち Returns」出演/鈴木力・森太郎ほか

 発端は、去年のSFセミナーの後に小浜氏がSFオンラインに書いたエッセイ。これがネット者の間で議論を巻き起こし、ここでその決着をつけようという形になだれ込んでしまいました。

 まずは小浜氏の真意を問いたかったのですが、二転三転する彼の言動に会場はたちまち熱い議論が沸騰。このセミナーの後でも、ネット内で論争が繰り広げられるほど。

 結局、小浜氏の真意はいまだ不明ですが、要するに彼のコンベンション気質ゆえのネット者への熱い誘いと期待、というところでいいんではと私は思っております。温度の差はあれど、SFを愛する気持ちは同じですよ。

 今年も楽しいセミナーでした。また来年よろしく!

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3月 MYSCONレポート

 ださこん(ネットSF者オフ会)の元気ぶりを眺めていたミステリファン達が、我らも負けじと「MYSCON」(ネットミステリ者コンベンション)を立ち上げました。ミーハーな私は早速潜入してまいりましたのでそのご報告を。

 MYSCONは、3月11日(土)の夕方から12日(日)の朝にかけて、東京の鳳明館・森川別館において開催されました。以下、行われた企画を項目別にご紹介。

☆「井上夢人さん、e‐NOVELSを語る」

私は仕事で遅れて到着したため、この講演は聞き逃してしまいました。残念。くわしくは、ネットのMYSCONページにアップしてありますのでぜひそちらを。非常に盛り上がり、だいぶ時間をオーバーしたそう。ちなみに私は後で井上氏にサインを戴きました。

☆「持参本の交換会&歓談」

 参加者107名+ゲスト2名を10班に分け、その班のなかで、持ち寄ったオススメミステリ本の交換をしようという試み。おのおのの趣味がモロに出て、非常に面白かったです。私の持っていった布教本は『時計を忘れて森へ行こう』光原百合。これを出した時、どよどよと歓声が上がったのがうれしかったです。さすがミステリファン、皆様良くご存知で。ふふふ。未読の方はぜひ読んでくださいね!

☆「MYSCON大クイズ大会」

 司会者の出した問題に、班ごとに正解を話し合って解答するという企画。クイズのお題は、
「ある男が、お昼頃、ある古本屋の店先の100円均一ワゴンから古本を20冊買ってる男性をみかけました。が、翌日もまた翌日も、7日間連続でその男性は同じ古本屋のワゴンで古本をきっちり20冊買っていたのです。これはなぜ?」

 それぞれの班の代表者が前にでて発表したのですが、これがどれも爆笑モノ!解答のファンキーさもさることながら、代表者の皆様が芸達者なことに驚きました。いやあ、ミステリ者は明るいです。

☆「若ミス・リベンジ」

 これは前に行われたプレMYSCONのリベンジ。若手のミステリファンが5人壇上に上がり、お題の10冊ほどのミステリについてあーだこーだと語るというもの。楽志くんが、早口の関西弁でスパスパと豪快にミステリを斬って斬って切りまくっておりました(笑)。

 私の読んだことのない本がほとんどでしたが、それでも非常に面白く聞けました。そもそも、人が本について熱く語ってるのを聞くのが好きなのです、私。ああそんなふうに言われたら、みんな読みたくなってしまうではないですか!

☆「海外ミステリを読もう!」

 フクさん、ジョニィさんを司会に、森英俊さんと藤原義也さんの選んだ初心者向け海外ミステリのプリントをもとに話が弾みました。

 そもそもの目的は、若い人達にもっと海外ミステリを啓蒙しようという試みだったのですが、集まったメンバーは通の海外ミステリファンがほとんどみたいでした。

 こちらもタイトルはよく知ってても実際読んだことがない本が多く、あれも読まねばこれも読まねば!と冷や汗をかきつつ拝聴しました。

☆「古本オークション」

 時刻は既に深夜1時。が、ここからが皆様お待ちかねのオークションタイム!眠そうだったkashiba@猟奇の鉄人さんがいきなりハイテンションに豹変、うわさの名オークショニアぶりにほれぼれ。彼の古本に関する膨大な知識と書物への愛にはただただ敬服。

 彼のページに集う濃い古本の方々が続々登場し、彼らにお会いできただけでも収穫でした。

☆「古本朝市」

 延々3時間半も続いてようやくオークションが終わったと思ったら、休むまもなく朝市タイム。大広間のテーブルに、おのおのの持ち寄った古本を出すやいなや、たちまち人垣。砂糖に群がるアリのごとき!(笑)いやあ、皆様、本当に本がお好きなのですねえ。といいつつ私も超安値であれこれゲット。

☆「閉会式」

 楽しい時間はあっという間に過ぎ、朝8時に閉会。「クイズ大会」の受賞班の発表と賞品授与が行われました。

 スタッフ間で準備にモメたりと大変そうでしたが、実際蓋を開けてみたら大成功だったといっていいのではないでしょうか。ミステリの濃い方々にもたくさんお会いできたし、とても楽しい一夜でした。ああ、また徹夜しちゃったよ!

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2月 ほのぼのSF

 私はあったかい話が好きである。ほのぼのした話が好きである。物語のラストはやはり「めでたしめでたし」で終わってほしいと願う、おめでたい人間である(笑)。

 でふと思い立って、そういうあったかほのぼの系のSFを集めてみた。といってもSF力薄弱な私のこと、真のSFものの方々から見たら「なんだこれは!」という実にぬるいラインナップだろうことをどうかお許しいただきたい。そして願わくば、「あの話もいいよ!」というオススメがあればぜひとも教えていただきたい。

☆『いさましいちびのトースター』『いさましいちびのトースター火星へ行く』(トーマス・M・ディッシュ、ハヤカワ文庫SF)

 前者はSFというより限りなく童話なのだが、後者はがぜんSFである。トースターたち家電製品が、とんでもない方法(想像しただけでもおかしい)でホントに火星まで行ってしまうのだから!でその火星で大活躍!地球の人間達は、彼ら家電製品たちのけなげでどこかお間抜けな(笑)活躍によって滅亡から救われたのだった。誰もその事実を知るひとはいないのだが。彼らの愛と勇気あふれる行動に拍手!

☆『ジョナサンと宇宙クジラ』(ロバート・F・ヤング、ハヤカワ文庫SF)

 珠玉のSF短編集。10篇のどれもが、やさしく暖かく、どこかノスタルジックでセンチメンタル。現代のおとぎ話のよう。この著者は、SFという形式を使って、「愛」というものを実にストレートに照れもなく描いている。どれも話の締めがお約束に過ぎるかもしれないが、そこがまたいいのだ。セピア色の古い写真のような、ロマンティストにはこたえられない一冊。

☆『ラモックス』(ロバート・A・ハインライン、創元SF文庫)

 思わず読みながらくすくす笑ってしまう、お茶目で愉快なSF。ラモックスという、一見お化け大福のようだが臆病でキュートな宇宙生物と、その飼い主の少年の心暖まる友情に、ほのぼのとした気持ちにさせられる。ささいな事件がとんでもない事態に発展するあたりもスリルがあり、会話のテンポもよく、実に楽しめる話。

☆『鍋が笑う』(岡本賢一、朝日ソノラマ)

 淡い色彩のイラストもぴったりの、まさにほのぼのSF。「鍋が笑う」というクレームを受けた営業サラリーマンが向かった人工惑星コロニー。そこは畑の広がる、のどかな世界だった。この鍋と人とのふれあい(笑)がなんともいえずあったかくていいのだ。ぽかぽかの陽だまりのような、童話めいた話。現代社会への風刺の入った、寓話SFとしても読めるかも。

☆『星虫』(岩本隆雄、新潮文庫 品切れ)

 ほのぼのというよりは、ストレートな爽やか青春SF。密かに宇宙飛行士になることを夢見ている女子高生、友美。ある晩、世界中に流星のようなものが降り注ぐ。それが星虫だった。彼女の額に寄生し、成長を始めたその異星物体はやがて迫害されるが、友美はそれを懸命に守ろうとする。主人公の、宇宙へのまっすぐな憧れと、それに向かってひたむきに努力する姿が胸を打つ。読後感が非常に爽快なSF。

☆『イーシャの舟』(岩本隆雄、新潮文庫 品切れ)

 『星虫』の姉妹編。「宇宙へ出ること」への夢が前者なら、「その宇宙でめぐりあう異星人」への夢が後者といったところ。宇宙への夢を、人間と異星人との愛にからめて描いた、ひとの優しさに包まれるファンタジックな青春SF。

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1月 皆の99年ベスト1

  皆様からアンケートを取り、99年に読んだ本の中から新刊・既刊を問わず、一番面白かった本を一冊挙げて頂いた。ご協力して下さった方々、ありがとうございました。

★鬼女の都(菅浩江、祥伝社)

プロデビューを間近に控えた売れっ子女流同人誌作家が自殺を遂げる。京を
舞台にした王朝絵巻を得意とし、自らも京女の極致を演出していた彼女。
その死の謎を追う3人のファンを鬼の棲む都の化身である「ミヤコ」が襲う。
観光都市の愛想の下に潜む都の矜持が、川を逆流させ、餓鬼を召喚する。
千年の都の呪いを払うのは、小袖の赤か、三味の音か?
法月綸太郎:推薦文、京極夏彦:装丁、著者渾身の本格推理初舞台!!
やっと入手できた3年前の菅浩江小説。マイナー出版社の本は足が速くて
いけません。入手して初めて推理小説だという事に気がついた。うひゃー。
それも不可能趣味が盛り込まれた本格推理なので更に驚く。自分の得意な
京都と能と同人誌界を題材にとった著者の筆致は軽く、端役に至るまで見事
に命が吹き込まれている。名探偵役もキャラが立っており、凡百の新・新本
格作家との格の違いをみせつける。
解決は、まずこれしかないだろうというものであったが、実に読ませる!
これほど心からわくわくした小説は、久しぶり。京極の塗仏以来かな?
全体を能の序破急に見立てた構成といい、京都に関する知識といい、借り物
でない同人像といい、恐れ入りました。これは傑作です。もっと話題になっ
てしかるべき話です。是非文庫化されて、広く読まれるべき作品です。
あかん、もう、菅浩江の虜やわ。

お名前&メールアドレス:kashiba、kashiba@ann.hi-ho.ne.jp

サイト名:猟奇の鉄人

★宇宙消失(グレッグ・イーガン、東京創元社)

個人の認識が宇宙をも変えるという壮大なホラが
ガチガチなハードSF的理論と絡まって緊迫感あふれる物語に
なっているところが面白いです。

お名前&メールアドレス:wim(apuro@po1.dti2.ne.jp

サイト名:GROUND ZERO

★キリンヤガ(マイク・レズニック、ハヤカワSF文庫)

物語自体の吸引力もさることながら、読後、こんなにいろいろ
考えさせられる本もなかったのではないかというのが選択の理由の一つ。
もう一つは、銀河通信を覗いてなければ、手にとろうとは思わなかったであろうという点です。感謝。
なお、ベスト1の掟破りですが、考えさせられるという点でもう1冊、あえて紹介します。
坂上香「癒しと和解への旅」(岩波書店)。ノン・フィクションですが、解決のつかない
問題に取り組む旅にいざなう物語です。

お名前:MARI

★ソリトンの悪魔梅原克文、朝日ソノラマ)

上下巻、約800ページを一気読みしてしまいました。荒唐無稽すぎますけどとにかくおもしろい!

極大射程と思いましたけどあえてSFものにしました。

お名前&メールアドレス:アクセル asahina@tctv.ne.jp

★ハイ・フィデリティ(ニック・ホーンビィ、新潮文庫)

あえてSFでもミステリでもホラーでもないものにしてみました(笑)。
他にも面白い本はたくさんあったけど、何度も読み返したくなるという点で本書に軍配。
「男は情けない生き物」という事実を不幸にして未だ悟ってない女性に、是非とも読んでいただきたい!
情けないながらもけっして湿っぽくはならず、自分の弱さを笑える男の生き様を楽しむべし。
音楽、映画などのポップカルチャー入門書としても最適。
訳者:森田義信の軽妙な訳に酔って一気読み必至! 巻
末の「ほとんど注解に終始する訳者あとがき」は、
親切かつ丁寧かつお得感大。この内容でこの値段は絶対安い! もっと売れろ!

お名前&メールアドレス:かわかみ、huckfinn@rr.iij4u.or.jp

サイト名:Huckfinn Rocket Punch (http://www.rr.iij4u.or.jp/~huckfinn/)

★危ない飛行機が今日も飛んでいる 上・下  メアリー・スキアヴォ  草思社)

     ノンフィクションから選んでみました。
              飛行機(軍用機)は好きなのですが、乗るのは(民間機)苦手です。
              航空機、航空会社、人名がすべて実名なので凄まじいほどの説得力が
              有ります。コスト削減競争の裏側が暴露されて、規制緩和が利用者の
              利益(命にかかわる事)に反したケースが、よく理解できます。

お名前&メールアドレス:draken(draken@lib.bekkoame.ne.jp)

★アラビアン・ナイトメア(ロバート・アーウィン、国書刊行会)

アラビアの悪夢という病がはやるマムルーク朝末期のカイロ。
特別な使命を帯びてキリスト教巡礼団に混じってやってきたイギリス人青年の周囲で起こる異様な事態。
カイロのまちを跳梁する猫の父や語り部ヨル、その他諸々の妖しげな人物。渦巻く陰謀。
幻想と現実が入り乱れ、過剰にして猥雑、逸脱し続ける語りが横溢し、
饒舌にして諧謔味さえも帯びた複雑な入れ子構造をもつ本作は、
まさしくカルト・ファンタジーの名に恥じない超傑作・怪作でありました。
『ゴーメンガースト三部作』『ムントゥリャサ通りで』『マルコ・ポーロの見えない都市』
「シンバッド第八の航海」等が好きな人には
自信を持ってお勧めできる作品です。

お名前&メールアドレス:今松泰 959d716h@ipc.kobe-u.ac.jp

サイト名:2月31日荘

★大西洋漂流76日間(スティーブン・キャラハン、ハヤカワ文庫)

お魚に、手をあわせて食べてます。

お名前:ネコネコ

★ななつのこ(加納朋子、創元推理文庫)

旧刊もいいということで、「永遠の仔」を押し退けてこれがベストです。
この清涼感は何ものにも変えがたいですネ。

お名前&メールアドレス:YOSAKOI@そらーん、Noanoa11@aol.com

★クリスタルサイレンス(藤崎慎吾、朝日ソノラマ)

これです!
国内ハードSFを読んだ後、スッと頭の中に入ってきて、
何とも言われぬ気持ちになったのは久しぶりです。
帯に嘘無しでした。
突っ込もうと思えば、あることはあるんですけど、
そんなことは無粋者のすることだと言える、
透明な質感を持った作品です。

お名前&メールアドレス:さえずり&hafie@pf.highway.ne.jp

★公共考査機構(かんべむさし、徳間文庫)

1999年のベストSFであると同時に、ホラーとは別の意味の怖さを感じさせてくれた小説。
民主的な装いを持った公共考査機構が人々の意識を統制していく。その機構に、
反乱分子としてにらまれた主人公がどのように立ち向かっていくのか、あるいは挫折するのか?
インターネットなどが出現する以前の小説なので、古さが感じられない訳ではないが、
その本質的な部分は十分に響いてくる。そんなに長くなくて、キレがあって、設定を十分に
活かしているのが好ましい。
なお、次点には『アフロディーテ』山田正紀。時の流れがせつ ない青春SF。

お名前&メールアドレス:秋山 粒志&hs4003ar@ex.ecip.osaka-u.ac.jp

サイト名:http://osaka.cool.ne.jp/ryushi/(全部消えてしまったので 、復旧はしばらく御待ちを……)。

★深夜特急沢木耕太郎、新潮文庫)

すべてが衝撃でした。このひとことの他には何も言えません。

 お名前&メールアドレス:夜合樹:yaaiju@geocities.co.jp

 サイト名:夜ヲ歩ク

★巷説 百物語(京極夏彦、角川書店)

キャラクターたちの見事な江戸っ子振りがたまらない。
あの独特の空気や、世界に浸かりたくて、ちびちびと読み返しています。
そういう風に感じる作品は珍しいので、今年のベストかも。

お名前&メールアドレス:カネコミワ tsi-mwa@zf6.so-net.ne.jp

★星の陣(森村誠一、角川文庫ほか)

お馬鹿な作品を選んでしまってスミマセン。
しかし、爺ィリベンジものとしては最高傑作。
しかもさすが社会派、老人問題の扱い方もGOODです。
若人よ、ここに登場する老人達よりもパワフルに生きていますか?

お名前&メールアドレス:u-kiです。 mail:gates@hate.club.or.jp

サイト名:私立東鳩学園分校No.6

★日光鱒釣紳士物語(福田和美、山と渓谷社)

今年最後の最後に読んだ(30日)。年老いたら時代小説を書こう
と考えていて、そのためのネタとして長年、資料を集めていたのに、先を越され
てしまった。ただノンフィクションで、小説ではないので許されるだろう。
内容はトーマス・グラバーは日本で最初のフライフィッシャーだという話。

お名前&メールアドレス:浅暮三文 asagure@interlik.or.jp

サイト名:浅暮魂

★図鑑少年(大竹昭子、小学館)

エッセイのような、小説のような。
絶対ないと思っても私の身近でも起こってそうな、
そんな不思議な短篇集です。
本の装丁なんかも素敵です。

お名前&メールアドレス:吉田美由紀 miy-y@cat.email.ne.jp

サイト名:http://www.ne.jp/asahi/snowm/cafe/

★題名:脳のなかの幽霊(V.S.ラマンチャンドラ サンドラ・ブレイクスリー、角川書店)

脳の不可思議さを探ろうとする本。エキサイティングでわくわくします。

お名前&メールアドレス:青木みや live@sam.hi-ho.ne.jp

サイト名:Life and Diet http://member.nifty.ne.jp/live/

★偏執の芳香(牧野修、アスペクト)

一番、というわけではホントはないのですが、
去年はホントにマイ牧野修イヤーだったので。イチオシ、
ということで。

お名前&メールアドレス:給仕犬 fwkd3301@mb.infoweb.ne.jp

サイト名:ぬーべる・給仕犬の隔離病棟 http://village.infoweb.ne.jp/~fwkd3301/

★ブルーソルジャー 蒼き影のリリス(菊地秀行、中央公論社)

誰が何て言おうとリリス様です〜

お名前:ざっぱー

★バトル・ロワイアル(高見広春、太田出版)

こんなにたくさん人が死んでいるのに、
こんなに読後感が爽やかな本は初めてかも。

お名前&メールアドレス:凍月<wbs45442@mail.wbs.ne.jp

サイト名:今宵、月の裏側で。 http://www2.wbs.ne.jp/~tsukiura/index.htm

★順列都市(グレッグ・イーガン、:ハヤカワ文庫)

まちがいなく、99年最高のハードSFです。

お名前&メールアドレス:森太郎 / taro@penguinsbar.com

サイト名:森太郎のサイト / http://hp.vector.co.jp/authors/VA005631/

★オレンジ党と黒い釜(天沢退二郎、筑摩書房)

 『光車よ、まわれ!』(ちくま文庫)で有名になった日本のダークファンタジーの
第一人者による新たなシリーズ。われわれの身近に潜む不思議を光と闇の戦いという
形で表現した大傑作。子供たちの心の動き、不思議な老人の存在などに惹かれること
請け合い。現在書店で入手できないのが非常に残念である。

お名前&メールアドレス:tmizo@blue.ocn.ne.jp(MZT)

サイト名:書物の帝国

★オルガニスト(山之口洋、新潮社)

謎のオルガニストは誰か。音楽への思いの描写、アイデ
  アの着想、ラストの持って行き方すべて秀逸!

お名前&メールアドレス:田崎 聡  sataz@po.teleway.ne.jp

サイト名:1B3C http://www.geocities.co.jp/SilkRoad-Ocean/5256

★死の記憶(トマス.H.クック、文春文庫)

あまりに当たり前過ぎて、おもしろくないチョイスになってしまいましたが、
ラスト10ページの静かな感動は、今まで、クックってちょっとなー、と思っていた私にさえ、
クックってやっぱりすげーよー!と断言させてしまうほどのものでした。

お名前:biogon

★火星のプリンセス(合本版第1集)(E・R・バローズ、東京創元社)

         懐かしさだけではなく、本当に面白かった。
         東京創元社はこの本をもっと大々的にPRすべきだと思う。

お名前&メールアドレス(よろしければ):慎吾 singo@mxb.meshnet.or.jp

★屈辱ポンチ(町田康、文藝春秋)

あまりに文学的な作家が唐突に出てきて面食らっています。面白かった。

お名前&メールアドレス:相澤 健一ken-a@tkf.att.ne.jp

サイト名:http://home.att.ne.jp/green/cuctus/

★プリズム(貫井徳郎、実業之日本社)

  「毒入りチョコレート事件 / アントニー・バークリー」が
  大好きなぼくにはたまらない作品でした。さまざまな推理が
  つぎつぎと繰り広げられる楽しさったらもう。
  ラストの推理で示される作品全体の円環構造も見事です。

  正直ゆって、あとがきが蛇足っぽい気がしないでもない、
  というか、あとがきで示される作者の意図するところは
  謎のままのほうが面白かったような
  気はするのですが、本編は大好きでした。1999年の一押しです。

お名前&メールアドレス:くろっくはち hachi@rr.iij4u.or.jp

★甦る帝国(上下)グレッグ・アイルズ、講談社文庫)

       処女作にして、これだけの完成度。凡百のネオナチ物は足元にも
       及ばぬ作品。敵味方のキャラクターの魅力と深み、錯綜するプロッ
       ト、アクションの切れ味と迫力、小さなエピソードの小気味良さ。
       我が国で先に出版された『ブラック クロス』『神の狩人』の素晴
       らしさは、本書を読めば十分期待できると思う。
       今世紀のどん詰まり、天才の出現を確信させてくれた一冊。一人でも
       多くの人にお勧めしたい。

名前&メールアドレス:カール・リヒター  BXE04634@nifty.ne.jp

★題名:スポーツとは何か(:玉木正之、講談社(現代新書))

一見繁栄しているように感じるスポーツの世界だが、日本においてのスポーツの位置とか
将来の考え方は決して明るいことばかりではない。
学校教育の一環という歴史的背景や企業の金儲けの材料としてのスポーツはあっても

「スポーツ文化」となると悲しい現実なのです。
今でこそ盛り上がっている野球だけど、その将来を考えたビジョンとなると
サッカーとの差はものすごいことも一例として出てきます。
著者の25年間のスポーツライターとしての思いをぶつけた一冊です。
この本に書かれていることを広めたいです。
もっとも本屋さんならば、スポーツが盛り上がっていてもスポーツの本が売れてないことで分かりやすい話ですね。
私が思うに「スポーツ」の部分が「本」の世界にもそのままあてはまるような気もしてるんです。

お名前&メールアドレス: 鳥海忠之 spotori@aa.mbn.or.jp

★六番目の小夜子(恩田陸、新潮社)

        こんにな切なく美しい物語が他にあるだろうか。
        (学園祭での体育館のシーンの見事なこと)
        全編、素晴らしいの一言です。
        私にとって99年というより90年代ベスト5に
        入る作品でした。
        
名前&メールアドレス:SHOW−T stashiro@rose.ocn.ne.jp

★恋愛中毒(山本文緒、角川書店)

本当は、小説だったら島田雅彦の「自由死刑」かなあ、なんても
思っていたのですが、やはりこの方のこの作品のインパクトは相当なものでした。
最後の場面でガツンとやられたという感じ。
林真理子も女の嫌らしさを描くのがうまい人だといわれますが、彼女との違いは
「自覚しているか、いないか」なのではないかと思います。山本氏は、自分も含
めて「女なんてどろどろと嫌らしいやつなんだ」ってことを、嫌と言うほど知っ
ている。林氏は、三枚目のエッセイがもてはやされていた頃は分かりませんが、
今の彼女はどう見ても「自覚していない嫌らしい女」だと思います。周りのこと
はよく見えるのに。
 そして、この本が「山本文緒は本物だ」と本当に感嘆する作品となったのでした。
 でも、これだけ読んだ中の一冊って、どうしても悩んでしまいますね。ノンフィ
クションだったら「ちびくろサンボよすこやかによみがえれ」と「妊娠小説」ですね(笑)。

お名前&メールアドレス:りなりな(rina@bremen.or.jp)

サイト名:Rina's Room(http://www.bremen.or.jp/rina/)

★透明人間の告白(H・F・セイント、新潮文庫(上下巻)

ューヨークの証券マンがある日、偶然巻き込まれた事故で
「透明人間」になってしまう。昔のTV番組のヒーローみたいな活躍は望めな
い。彼には普通の生活すらままならぬのだ。だって透明な消化器官の中で
食べ物が消化されていくところがはっきり見えるのだから。彼を捕まえてス
パイか実験材料にしようとする政府機関との攻防も息を呑む。残念ながら
廃刊となったが、最高に面白い傑作SFだと思う。
インターネット「ふるほん文庫やさん」でやっと!手に入れて、読むことが
出来た作品。本当に面白かったなあ。

お名前&メールアドレス:ヒゲうんちく higeun@mail.goo.ne.jp

サイト名:ヒゲうんちくのよせ鍋フォーラム
  http://www5a.biglobe.ne.jp/~yosenabe/index.htm

★鉄(くろがね)コミュニケイション秋山瑞人、電撃文庫)

  同じ作者の「E.G.コンバット」シリーズは読んでいても、コミックのノベ
  ライズである本作品は読んでいない人が多いと思う。
  コミックの設定を使っているが話自体はオリジナルストーリーである。
  (この事で、本作品はかなり損をしていると思う。)
  戦争で人類が死滅した世界で、5体のロボットにコールドスリープ中の所
  を発見された少女ハルカは発見したロボット達に守られて暮らしていた。
  ある日、彼女たちは自分と同じ外見をした少女型ロボットと軍用戦闘ロボ
  ットのコンビと出会った。
  彼女たちとハルカとの関係は何か?と言った所で物語は進んでいきます。
  物語世界の構成が上手く、細かな設定が話の中できちんと生かされています。
  ロボットに育てられた少女が、自分がロボットでは無く人間である事にコ
  ンプレックスを持っていると言う描写が新鮮でした。(この設定が物語の
  終わり付近で1つのエピソードとして生かされています。)
  けなげなロボットが出てくる作品(菅浩江の「カーマイン・レッド」や
  「そばかすのフィギュア」等)が好きな人にはお勧めです。泣けます!

お名前&メールアドレス:山崎 r-man@din.or.jp

★復刊しろー!ベスト1:
 天沢退二郎 『光車よ、まわれ!』『闇の中のオレンジ』、『オレンジ党と黒い釜』、
『魔の沼』、『オレンジ党、海へ』
以上筑摩書房
 絶版にしておくとは出版社の風上にも置けないぞ筑摩書房。反省するように。

★出会えて良かった!ベスト1
 寮美千子 『ノスタルギガンテス』 パロル舎
 まだ会っていない人も今年は寮美千子に出会えますように。

★そっと心の中で大事にしたいから布教しない!ベスト1
 梨木香歩(でも掲示板やMLで梨木香歩と聞くとつい顔を出してしまう)

★日本のSFもすごかった!ベスト1
 神林長平 『戦闘妖精 雪風』+『グッドラック 戦闘妖精雪風』 
  ハヤカワ文庫SF & 早川書房
 これは二つで一つで勘弁して下さい。それとSFとは何ぞやという類の突っ込みは
ご無用に願います。
 海外SFばかり読んできた私がほとんど初めて読んだ日本のSFです(星新一とか
小松左京などは除く)が、
 日本SFに対する認識を新たにしました。 

お名前& ニム

サイト名:ニムの木かげの家

★エンディミオンの覚醒ダン・シモンズ、早川書房)

リーズ全部を考えれば、90年代のベストといってもよいと思います。

お名前&メールアドレス:kochi KITA041417@dt.sanyo.co.jp

★星降り山荘の殺人 (倉知淳、講談社文庫)

 いまさらながら〜ですが!素直に騙されました。
トリックが明かされた時、「ああ!そうだったのか!あそこか!!」って素直に
納得しました。初め読み出したときはへぼへぼっぽい(失礼!)小説やなあ・・・
と思ってたんですが、ところがどうして!!おもしろいじゃ〜ないですか。
あ〜あたしの趣味って極端だなあ・・・。

お名前: あおきぶちょう

★長い長い殺人(宮部みゆき、光文社文庫)

2回読みました。
人物より、語り手のサイフの個性が出ていて面白いです。
今まで読んだ宮部作品の中で一番読みやすかった。

お名前:星野久美子

★題名:スコッチに涙を託して(デニス・レヘイン、角川文庫)

普段読まないジャンルですが、ある雑誌で絶賛されていたのでためしに読んでみたら、
もう文句なしに面白かった。特にヒロイン(という言葉は似合わないけど)が魅力的で、
かっこよかった。

お名前:大竹百代

★バトルロワイヤル(高見広春、太田出版)

実は私の頭が「Y2K」を起してしまい、
去年なにを読んだか、記憶が無い(バックアップを
取っていなかったもので・・・。)唯一覚えているのが、
この作品、という事はこれが一番だって言う事で。

 この作品はなにが良いかというと、著者の若さが溢れていて
その初々しさが、すごく嬉しい。
読者に若さを届けてくれるようなそんな気がするところかな。
「話」を書く事に一生懸命になっているひたむきさが、久々の感覚。

 内容にしても、今の日本に対する若い疑問が織り込まれていて、
大人はそのことに目を背けていることを痛感する。
本当に久々の傑作です。次の作品が楽しみ。

 これを映画化にするという話があるが、そんな陳腐な計画は是非
中止にして欲しい。金儲けの材料にして欲しくない。
純粋に読む楽しみを感じて欲しい。

お名前:和泉沢まゆみ

★精霊の木(上橋菜穂子、偕成社)

児童書のジャンルにおかれますが、大人が読んでも満足できる作家の作品です。
あいにくこの人の本は現在出版社でも品切れになってるかもしれませんが、
他の『精霊の守り人』や『闇の守り人』もおすすめです。

お名前:久保木敬子

★ねじれた町(眉村卓、ハルキ文庫)

「断言しよう。本書『ねじれた町』は、眉村ジュヴナイルSFの最高傑作である。」との瀬名秀明解説に、
思わずうなづいてしまうイキオイを持つ魅力的な作品です。

名前:ダイジマン

サイト名:銀河通信オンライン

★題名:バトル・ロワイアル(高見広春、太田出版)

この本を読んでる間じゅう、私の心拍数は上がり、体温は上昇し、血液の循環速度は
通常の1.5倍ほど速くなっていた。今思い出しても感動に心が震える。
誰がなんと言おうと、これは生と死、愛と友情を描いた世紀末の大傑作です!

名前&メールアドレス:安田ママ y-mama@mug.biglobe.ne.jp

サイト名:銀河通信オンライン

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