劇場☆新感線 

髑髏城の七人
SEVEN SOULS IN THE SKULL CASTLE

(作=中島かずき/演出=いのうえひでのり)

公演記録

髑髏城の七人 SEVEN SOULS IN THE SKULL CASTLE 大阪公演
期間:1997年09月25日(水)〜28日(日)
会場:中座
名古屋公演
期間:1997年09月30日(火)〜10月01日(水)
会場:愛知厚生年金会館
東京公演
期間:1997年10月08日(水)〜21日(火)
会場:サンシャイン劇場
福岡公演
期間:1997年11月02日(日)
会場:大野城まどかぴあ
CAST
玉ころがしの捨之介<すてのすけ>/天魔王<てんまおう>:古田新太
ぺてんの沙霧<さぎり>:芳本美代子(客演)
極楽太夫<ごくらくだゆう>:高田聖子
抜かずの兵庫<ひょうご>:橋本じゅん
無界屋蘭兵衛<むかいやらんべえ>:粟根まこと
贋鉄斎<がんてつさい>:逆木圭一郎
関八州荒武者隊
裏切り三五<さんご>:河野まさと
居合いの陰兵衛<いんべえ>:インディ高橋
威張りの不乱坊<ふらんぼう>:フランキー仲村
目張りの目多吉<めたきち>:吉田メタル
関東髑髏党
鬼楽因果丸<きらくいんがまる>:右近健一
斬馬<ザンバ>:田尻茂一(アクションクラブ)
故蝶丸<こちょうまる>:前田悟(アクションクラブ)
龍舌丸<りゅうぜつまる>:(J.A.C)
無明<やみ>:村木よしこ
無音<しじま>:山本カナコ
餓琵羅<がびら>:タイソン大屋
苦琵羅<くびら>:はだ一朗
鉄機兵たち:船橋裕司(アクションクラブ)・武田浩二(アクションクラブ)・山口貴史・林裕隆
無界の里の女たち
およし:村木よしこ
おかな:山本カナコ
おけい:杉本恵美
おとし:江本敏子
ほうじ:保地有紀子
おさと:中谷さとみ
おまさ:平川雅子
なるみ:中村成美
ひろし:真藤洋
磯平<いそへい>:礒野慎吾
服部半蔵<はっとりはんぞう>:川原正嗣(アクションクラブ)
狸穴二郎衛門<まみあなじろうえもん>:こぐれ修
観劇記録
[観劇公演]
1997年9月28日(日)17:00公演 中座 一階に列5番
[あらすじ]
時に天正十八年。
戦国の覇者織田信長が、本能寺の変により倒れてすでに八年。
天下統一は、大阪の豊臣秀吉の手によりなされようとしていた。
唯一、関東荒野をのぞいては。
この無頼の地に、天魔王と名乗る仮面の魔人が率いる一大武装集団が現れた。
その名を関東髑髏党。関東の平野に忽然とそびえる髑髏党の根城を人々はいつしか髑髏城を呼び畏れ、天下統一を狙う秀吉にとって、いまや関東の天魔王こそが最後にして最大の敵であった。
そんなある日、髑髏党から追われる一人の女がいた。名を沙霧(芳本美代子)。ひょんなことから彼女を助ける羽目になる玉ころがしの捨之介(古田新太)。彼は髑髏党の目からごまかすために、沙霧を関東一の色里、無界の里に放り込む。主人、無界屋蘭兵衛(粟根まこと)が捨之介と古いなじみだったのだ。
が、その無界の里にも髑髏党の手は伸びる。
武力による支配を嫌い里を守ろうとする遊女、極楽太夫(高田聖子)。自称その用心棒、抜かずの兵庫(橋本じゅん)。謎の刀鍛冶、贋鉄斎(逆木圭一郎)。捨之介と沙霧とともに彼らは髑髏党に立ち向かう。
その頃、ついに秀吉は、十万の軍勢を率いて関東軍に攻めのぼらんとしていた。
風雲急を告げる関東荒野!血の雨ふるか髑髏城!!
善悪愛憎入り乱れて、奇しき縁に結ばれた七人の闘いが今始まる!!
'90年初演、大評判を呼んだ幻の舞台が七年ぶりに復活!
劇団☆新感線がこの秋、満を持してお送りする戦国集団大活劇!
乞うご期待!
(以上、チラシより)
[感想]
Liveの部屋で一旦は感想を書いたけど、福岡公演も終わり、これで全公演終了したから、改めて、というより「Liveの部屋」+α(ネタバラシもでけるし)。

もう、むちゃくちゃよかった。
期待通り?いや、期待以上!
映画なんかで期待していくとたまにその作品自体の出来はええのに、こっちの期待が大きすぎたばっかりに、がっかりすることがある。
でも、今回は、もの凄く期待していったのに、更にその期待を大きく上回った!
ストーリー、出演者、音楽、舞台!すべてええ!(もう!(ビックリマーク連発!))
何から感想を述べればよいかなぁ。

うん、まずは「音楽」!

あらかじめ「髑髏城の七人」サントラ盤(イメージCD)を聞いてて、かなり期待してたけど、うん、やっぱりよかった(かっこよかった)。
さすがは岡崎司さん!音楽と舞台が完全に一致!滅茶舞台を盛り上げる!
始まって間もなく関東髑髏党のシーンでの「鋼鉄の死神」、続く「爆走髑髏党」「魔剣かまいたち」、蘭兵衛が森蘭丸に戻るときの「天魔の媚薬」、捨之介&贋鉄斎の「捨之介百人斬り」、ほぼラストシーンの「髑髏城の七人」、ミッチョンと高田聖子さん&エンディングの「風になって」!
いやぁ、やっぱり、改めて、右近って歌上手いわぁ
数え上げればきりがないほど、よかった。
更には、音楽だけでも、映画やドラマと同様、いやそれ以上の聞き応え!
これまでの「劇団☆新感線」の音楽を越えてた。

それから、「出演者(役者さんたち)」!

今までと違って、全員かっこよかった。
粟根まことさん」の殺陣のシーン(特にあの大算盤での立ち回り)なんか、「えっ、粟根まことって、かっこええやん。」、今までただの目つきの悪い男って役やったのに、全然違う。
河野まさとさん」は最初はいつも通りの「裏切り役(今回の役名からしてそう)」やと思うてたら、ラスト近くになって今までにないええ役、セリフも笑わせながらもかっこよかったし。
こぐれ修さん」、いつもの「プチン」と切れるだけの役と違うて(まぁ、お約束で切れるシーンはあったが)、「家康」の名を隠しての役所と、その自由に動けない葛藤が、伝わってきたし。
礒野慎吾さん」の、「髑髏城」に乗り込んでからのまるで「仕事人」のような立ち回りのシーン。拍手喝采やったもんな。
インディー高橋さん、フランキー仲村さん、吉田メタルさん」の「関八州荒武者隊」、最期のシーンは「グッ」とこさせるものがあった。
アクションクラブの「川原正嗣さん」、いつもは端役やのに、今回はええ所で「服部半蔵」で出てくるし(「殿が切れてどうするんです。」のセリフもよかった)。
右近健一さん」はいつも通りのコミカルな役ながら、でもいつもよりずっとかっこよかった(特に歌のシーン。やっぱり右近健一さんは歌上手い!)。あの「ニュニュニュニュ」と言いながら後ずさるのも気に入ってしまった。
橋本じゅんさん」のもう、思いっきり。舞台の上で汗が飛び散ってるのが分かる熱演。
高田聖子さん」が髑髏城に乗り込む前の「兵庫」を励まし、発破をかけるシーン、いつもながらよかった。さすが看板女優!
客演のミッチョンこと「芳本美代子さん」、初めての「劇団☆新感線」なのに、見事にとけ込んでた。「沙霧」役ピッタリやった!
そして「古田新太さん」。一人二役が見事!「天魔王」はもちろん、「捨之介」がかっこよかった。はっきり言って今までの古田新太さんは、「悪役」が似合ってて、「善役」であまりかっこええとは思うてなかったけど、今回はもう!ただひたすらかっこええ!
・・・きりがない。み〜んなかっこよかった。

次に「舞台」!

花道で沙霧が消えていくところや、逆に天魔王が現れてくるところ。
中座をうまく使ったあのシーンはぞくぞくした。
そういう意味で中座公演を見られたのはラッキーやった(と司さんもおっしゃってた)。
それに、全体を通して、うまくちりばめられたギャグ(定番の腰に手を当てて笑うシーンは、なんでやろ、ホッとするもんがあるなぁ。)、ストーリー全体にメリハリがついて、その前後のシーンを盛り上げてた!
なかでも一番よかった(ぞくぞくした)のは、ほとんどラストの髑髏城落城のシーン!あー、かっこええ!

「ストーリー&演出」!

よくまぁ、こんな凄い、面白い、ビックリさせるようなストーリーを考えつくなぁ。
(ヤスオウは前回の「髑髏城の七人」は見てないので、ストーリーは知りませんでした)。
「星の忍者」でチラッと出てきた「天の信長、地の信長、仁の信長」という台詞が今回のメイン・ストーリー。
チラシでは「天魔王」役が発表されてへんかったから、「天魔王、誰がやるんやろ。ひょっとして、出演者、というよりキャラクターが、何かのきっかけで天魔王に変わるんやろか(「野獣郎見参」の芥蛮獄のように)」とかも考えてた。
それが期待を見事に裏切って、初っぱなから「天魔王」素顔で登場!えっ、新太さん?捨之介=天魔王なん?
と、話が進むにつれて謎が解けていく。
ええっ、こんな展開有り?凄いわ、凄すぎる!
結局捨之介=天魔王、やのうて、捨之介=地の信長、天魔王=仁の信長(逆やったかなぁ)、新太さんの一人二役やったんや。
狸穴二郎衛門=徳川家康、というのは知らんかったけど、第1幕途中の沙霧が家康をなじるシーンでの二郎衛門の怒る場面や、捨之介の「あの狸親父」という台詞から見破れた。
でも、この設定も凄い。
さらに城造りの名人「石舟斎」(やったっけ?)=沙霧!
しかししかし、何と言っても極めつけは、捨之介と最初から知り合いやった無界屋蘭兵衛は実は「人斬り」森蘭丸やったやなんて。
あの「天魔の媚薬」で森蘭丸に戻るシーンはゾクゾクした!
今までの「スサノオ」でのヤマトノオロチ一族、「星の忍者」愛喰我王達宇宙(そら)の民、「野獣郎見参」の陰陽師達、と違って今回は異能者が出てこない。
それで、あれだけ盛り上げられるんやから・・・凄い。
そして「キーワード」の「七人」って誰?
チラシの「七人」は、「沙霧、捨之介、極楽太夫、兵庫、贋鉄斎、蘭兵衛 & 天魔王」。
第一幕終わった時、パンフ見ながら予想した「七人」(おそらく髑髏城に乗り込む七人)は、「沙霧、蘭兵衛、極楽太夫、兵庫、贋鉄斎、服部半蔵、狸穴二郎衛門(徳川家康)」。
(捨之介は敢えてはずしてた。せやかて「天魔王」役を新太さんがやらなあかんから)。
ところが最終的に「七人」とは「捨之介、沙霧、極楽太夫、兵庫、贋鉄斎」ここまでは予想がついた。でもあとの2人、「三五、磯平」は考えつかんかった!
もう、これも見事な裏切り!
ちなみにこの「髑髏城」での「捨之介百人斬り」のシーンはかっこようて、ギャグありで、よかったが、なによりあの、捨之介と贋鉄斎の「剣」を投げ合っての剣の交換シーン!
この2人、古田新太さん&逆木圭一郎さん、凄い!
途中、何度も「ホロッ」とさせる展開もあるし、こんな話を書ける中島かずき先生って、凄い!そしてそれを見事に舞台にし、見ているものを虜にするいのうえひでのり座長も凄い!
で、やっぱり最後はHappyEnd!で締めくくり、感動のラスト直前シーンからラストシーンへ。
「髑髏城落城」での「七人」のスローモーションシーン!うわぁ、もう、痺れる!
そしてラスト、今度は「家康」として登場の狸穴二郎衛門に沙霧が天魔王の首を渡す場面から始まるラスト。
役者紹介&幕引きに繋がる「風になって」に乗ってのラストシーン!
そりゃ、もう、自然と拍手が出るし、終わってJUDASながれても拍手なりやまへんかたもんなぁ。
大阪千秋楽、っちゅうのもあったかもしれん(客の大半が劇団☆新感線大ファン)けど、しばらくお客さん全体が酔いしれてたように感じたもんなぁ。
(最後の最後で新太さんとミッチョンが出てきて再度挨拶して、その中で「SUSANOHIII」の発表があったけど、普通に考えたら「SUSANOH」って言葉だけで「ワーッ」と盛り上がるはず。
でも、歓声や拍手がおこらんかったんは、もう、完全に酔いしれてたからやろなぁ。)

・・・とここまで長々と感想書いたけど、敢えて一言で感想を表すなら「かっこいい!」。


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