一年の廊下前で、両手にモップを持って掃除している
女生徒を見かけた。
  あの大きな耳の飾り。
  見間違うはずがない、メイドロボのマルチだ。
  一生懸命、床をゴシゴシやっている。
  オレは声を掛けた。
  「よう、マルチ」
  「あっ、浩之さん」
    オレの顔を見ると、マルチはぱっと顔をほころばせ
  て、小走りに駆け寄ってきた。