郵便局の誘導員

「聯合早報」1999.1.5



複合民族国家のシンガポールの地名には、英語のものに加え、マレー語からくるものや、中国語のものなど様々である。国民の7割以上が中国系であるためか、英語やマレー語の地名には、発音をとったり、意味をとったりして漢字がつけられている。たとえば、Tiongbahruは、発音をとって「中哈魯」となっており、Bukit Merahは意味をとって「紅山」と書く。中国語からくる地名の多くは、標準語の北京語ではなく、福建語など方言の発音で地名化しているものも多い。例えば、Ang Mo Kioは、「宏茂橋」だが、北京語では「Hong Mao Qiao」となる。
シンガポールには、「聯合早報」や、「新明日報」などの中国語紙があるが、ここにでている地名ももちろん中国語化してある。そのため、私のようななれない人にはどの地名がどこのことを言っているのか分かりにくい。
中国系の移民が多いシンガポールには、当然のことながら中国などからたくさんの手紙が送られてくるが、皆が皆ローマ字で住所を書けるわけではないので、郵便局の仕事は大変なようだ。特に、郵便の場合は宅急便と違って、電話番号はないので、住所と宛名だけで判断しなければならない。今回、下記のような郵便局の記事が出ていた。


シンガポールには、中国や台湾、香港などから、親戚や友人、仕事仲間などから、常にいろいろな手紙やはがきが届く。シンガポールの住所は、英文が基本になっているが、これらの手紙の宛先を見ると、住所が漢字になっていたり、宛先の名前も漢字になっていて、どの人に当てたものなのか分かりにくい。
これらの手紙をきちんと配達するために、漢字の住所を専門とする「翻訳チーム」を作り、宛先の不明確な手紙の送り先を見つけて、きちんと配達できるよう支援している。チームのメンバーは、中国語の知識のみならず、シンガポールの古い地名や、俗名にも通じていることが求められる。ただし、「翻訳チーム」といっても、普段は17年の経験を持つ36歳の男性が一人で処理しているが、クリスマスなとどの忙しい時期には応援を頼んでいるとのこと。
中国語以外にも、週に1?2通、インドの文字で送られてくるものもある。シンガポールでは、南インドのタミール語を公用語の一つとしているが、ヒンディー語、ウルドゥー語、ベンガル語、ハンジャブ語など様々な言語があり、職員が判断できないものはインドに返送しているとのこと。インドの場合は中国語よりも困難で、件数も少ないために特別な対応はしていない。
最近の現象としては、以前漢字で送ってきていた人たちが、漢字をローマ字表記にして送ってくる人が増えたとのことだ。マレー語から漢字化したり、元々中国語の方言の地名を、標準語の北京語の発音でローマ字化してくるためややこしい。これらの手紙は漢字の宛名のものと同様に、自動仕訳機からはじかれてきた後、翻訳チームに回ってきて、ここで英文の地名になおしてから再び仕分機に入れられる。一日の処理件数は2?3百件になるとのこと、その中からどうしても宛先が判明しないものが3?4件は出てきてしまい、送り主に返送することとなる。
うだ。




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