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WEALTH MANAGERのひとりごと 16

2005年6月

 信託業法改正後の信託銀行は

 さて前回は信託業法改正の内容について概要をご説明しましたが、今回は信託銀行が今後どのような方向に進むのかについて考えてみましょう。
 20年以上前、大学時代に、原田和明氏の「銀行10年後への戦略〜金融自由化を勝ち抜くには」を読みましたが、その中で氏は、米国の金融自由化による金融機関の動向をみながら、今後日本でも全国規模の銀行と地域密着型の銀行、そして特定の分野に特徴を持つ銀行に分かれるであろう、逆に言えば、どのような銀行を志向するかを決めていかないと金融自由化に勝ち抜くことはできない、と述べていました。今でこそこのような考え方はあたりまえになっていますが、当時、日米円ドル委員会でアメリカからの強い金融制度の改革を求められる以前は、このようなマーケティング的発想はあまりなかったのではないかと思います。
 信託銀行は店舗ネットワークも少なく、まして地域密着型でもありませんから、志向としては当然、特定の分野に強みを持つ方向に進むべきであったかと思います。ところが、この本が書かれた1985年から数年後、バブル景気を迎え、信託銀行は普通銀行あるいは興長債(興銀・長銀・日債銀)と同じ土俵で貸出競争を始めました。その後バブル崩壊後、貸出対象先が少なくなっていくなか、決済機能に優れている都銀に比し、資金業務収益幅は小さくなっていきました。この段になってようやく、信託銀行は特有の年金業務・証券代行業務・受託資産管理業務等に力をいれるようになりました。しかし、時すでに遅く、いくつかの信託銀行はバブル崩壊の影響で統合していった、ということになります。
 今回の信託業法改正は信託のスキームを広く利用できるようにすることで、経済の発展の一助にしようという狙いがあります。今回の改正のポイントは広く利用できるようにするために、どのようなチャネルが作られ、あるいはどのようにチャネルが広げられたか、また、信託対象財産はどのように拡大されたか、という視点でみると理解が早いかと思われます。
 信託銀行の一部業務は大規模システムが不可欠です。したがって大きな設備投資が必要なのでなかなか他業態からの参入は難しいのが現実です。しかし信託銀行は店舗ネットワークも小さく、顧客基盤も薄いという問題があるため、信託のスキームが広く利用できるようになるためには、他業態のチャネルを利用せざるをえません。他業態にとっても、信託のスキームを顧客に提供できるようにすることで顧客へのサービスが拡大し、収益チャンスが増えるというメリットがあります。今後信託銀行は、信託のスキームを使った新しい商品の研究開発が不可欠ですが、簡単に言えば、他業態との間で代理店契約を締結し、信託銀行の器を貸す、といった形態がますます活発になると思います。


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