エステートプランニング

CM方式とはなにか

私は、数多くの賃貸マンション・アパート等の融資を行ってきましたが、この手法には感動しました。このCM方式は、今後、建築費が総額1億円以上のものであれば十分なメリットを建築主に与えるもので、銀行にとっても担保保全上有効な手段になりうるものと思います。

概要

CM方式とはConstruction Management方式の略です。日本では何か建設するときは、ゼネコンが受けて(建築請負契約締結)、下請に出します。その際、ゼネコン本体は特に基礎工事をやったり、内装工事をやったりするわけではなく、それぞれ傘下の協力会社にやらせています。たとえば建築費1億円の場合、見積書にみえない部分でゼネコンはサヤ抜きをしているわけで、いわば当該物件の建築にはまったく関係のない、ゼネコンの女性社員の給料が出ているといっても過言ではありません。欧米ではこのような業務を行う建設会社はありません。日本で建築コストが高いのはこのゼネコンのサヤ抜きにあると思います。CM方式は以前、日経ビジネスにも紹介されましたが、この方法が一般的になるとゼネコンも消滅する、と書かれていました。
CM方式のうち、特に特徴の出ている、分離発注方式についてご説明します。

特徴

CM方式では建築の工事を30程度の工程に分割し(たとえば、基礎工事・防水加工工事・内装工事・・・・)、それぞれの業務について独立して工事業者から見積書をとり入札します。そして各業務で最高の見積りをだした業者と個別に契約を締結していきます。こうした業務の全体の管理はコンストラクション・マネージャーとよばれる人が独立して行います。コンストラクションマネージャーは多くの場合、建築事務所が行うことが多いようです。建築は当然ながら工程表(スケジュール)に基づいて行われるのですが、ほぼ毎日、コンストラクションマネージャーは建築現場に赴き、進捗状況や工事の不備がないかなどを見ています。毎月末の工事の進捗度合いに応じて、翌月20日に支払いを行います。たとえば、基礎工事は4月1日より5月10日までで、工事費を100、とします。そして4月末段階では工程表では達成率90%が目標だったとします。ところが、実際は4月末の検分で達成率が70%だった、または工事に一部不備があり、やりなおしをしなければならず、達成率を70%にした場合、本来、工事費90%を支払う予定であったが、70のみを翌月20日に現金で支払います。このようにCM方式では工事の進捗度合いに応じて支払いを行っていきます。
私が手がけた案件は総額1億4,000万円の自宅兼用デザインマンションでしたが、ゼネコンの友人に確認したところ、半地下の鉄筋コンクリートで、この規模であれば最低1億8,000万円はかかる、といわれました。この案件は某雑誌にも紹介されました。

今後の課題

CM方式では毎月の進捗に応じて個別に各業者に支払いをしていくのですが、建築主にとってはこれはちょっとした作業です。通常であればゼネコン1社に払えばよいのですが、何社にも振込をすることとなり、かなりの手間です。
通常、ゼネコンと契約すると契約時・着工時・上棟時・引渡時など4回程度に分割して支払いを行っていきます。たとえば、総額が100だとすると、契約時10、着工時30、上棟時30、引渡時30などとなっています。しかし、着工時までに40支払っても、工事は40%の進捗ではありません。銀行の融資もこの段階では土地のみを担保として40出していることになります。建築途中の建物は建築主のものではありません。銀行の担保にもなるわけがないのです。さて上棟がすぎてまもなく、このゼネコンが倒産したとします。この場合、建築途中の建物は建築主に引き渡されるでしょうか。答はノーです。なぜなら、ゼネコンとの建築請負契約書に建物の鍵を引き渡してはじめて、建築主の所有権登記が可能となっています(表示登記済証の引渡しがない)。
その点、CM方式では工事の進捗度合いに応じて支払いを行うので安全です。また、建築請負契約があるわけではないので、進捗に応じた金銭の支払いによって所有権は移転するものと考えられます。銀行にとっても、進捗度合いに応じて分割して融資を行っていくことは、非常に合理的な考えだと思います。しかし、建築途中の建物は登記できませんから、担保にとることはできません。その点をどうクリアするかは課題です。
また、現在住居系建物は10年保証を法律で義務付けていますが、通常はゼネコンが保証することとなります。CM方式では誰が保証するのでしょうか。各個別の業者が工事した部位に応じて保証していくのか、それともコンストラクションマネージャーが保証するのか、今後の検討課題です。
さらに、建築資金を融資する銀行にとって、もう1点問題があります。建築主から融資申込があった場合、通常の建築請負契約であれば、見積書・契約書が着工前にあり、建築費用の総額がわかり、融資額も決定できるのですが、CM方式の場合は、融資を決定してから個別業者とのコンペに入るという流れになるため、融資決定額は概算でしかだせないのです。
従前、CM方式での工事というと大規模なものばかりでしたが、私が融資案件として手がけたものは1億円を超える程度でした。今後不動産の有効活用を進めていくうえで、有効な手法と思います。もっと活用されるために、問題点を解決していってほしいと思います。

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