拉致事件に対してわれわれはどうしたら良いのか?





 めぐみさんの御家族には、失踪してから20年も経た今年(1997年)1月21日、北朝鮮の拉致事件を精力的に調査していた日本共産党の橋本敦氏の秘書から、めぐみさんが北朝鮮に生存しているとの情報がもたらされた。

 その後、めぐみさんを初めとする拉致された日本人救出支援の会が全国各地にできたり、新聞紙上でも大々的に報道されるようになった。

 しかし、北朝鮮という国は、確実に国内に暮らしていることがわかっている日本人妻やその家族でさえ、なかなか返そうとしない。まして、犯罪である拉致行為で連れ去った7件10人(政府ではこの人々の拉致があったことは認めている)の人々、および50人にものぼるといわれる日本人を2国間交渉だけでは返すはずがない。
 先ごろの連立与党代表団の訪朝の際、拉致日本人の所在確認を求めたところ、強い調子で拒否したが、食い下がる日本側の要請に、一応、行方不明者の調査をするということは約束した。また、つい先日、日本側は7件10名の名簿を北朝鮮側に提出した。しかし、それについては、識者が言うように、「行方不明者の調査を行ったが、国内には該当者はいなかった」というとおりいっぺんの回答しか得られないだろう。大韓航空機事件や、ラングーン事件でさえ、韓国側のしくんだ行為だとして認めないように、北朝鮮が秘密工作員による拉致行為を認めるわけがないのである。
 北朝鮮は、これまでの日本との外交交渉で、あらゆる局面で日本側が弱腰であるのを見抜いており、なめてかかっている。いつから日本は諸外国、ことに北朝鮮に対して、屈辱的ともいえるだらしない外交姿勢になったのか。
 これからでも遅くはない。日本政府交渉団は強い調子で、以下の条件をのまなければ食糧支援、ならびに戦後賠償をいっさい行わない旨、宣言すればいい。国内の北朝鮮支持者や野党、朝鮮総連、また、食糧支援を感情的に賛成している国民等からは、相当な反発があるかもしれないが。

1、7件10名の拉致日本人の早期返還
2、日本人妻およびその家族の自由往来
3、北朝鮮国内に日本人による民間の事務組織を作らせること
4、よど号事件関係者の引き渡し

 北朝鮮国内に作る日本人の民間組織とは、日本における朝鮮総連みたいなものだ。北朝鮮が朝鮮総連を設けて日本国内で活動しているのならば、日本人が多数暮らしている北朝鮮国内に同じような組織があってもいい道理である。それが国際社会における相互主義というものではないか。
 この北朝鮮に対する行動も、今の与党には、北朝鮮支持者や北朝鮮での利権を考えている政治家がいるし、国賊ともいえる金丸信のようなとんでもない土下座外交さえやりかねない輩が結構いるので、かなり困難なことだと思う。
 政治を動かすには、やはり世論の力が頼りになる。中央の大新聞は、朝日新聞のように北朝鮮寄りの論調を掲げる新聞もある。
 しかし、北朝鮮の(あえて金正日体制といおう)今後の動向によってわが国の存在が脅かされることを、国民が十分認識して声を上げていけば解決の日も遠くないだろうと思う。
 マスコミは、北朝鮮に関わる諸問題を正しく見つめて報道してもらいたい。そして、最近の朝銀信用組合の北朝鮮送金疑惑記事で起きた朝鮮総連系の抗議などにも臆することなく、正義を貫いて頑張ってほしい。
 国益とは何か、どのような報道をしたら日本の国益が守られるかを常に考えて報道すれば、決して朝日新聞のような論調にはならないのである。



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