自民党北朝鮮訪問団のふがいなさ


 3月28日から4日間、北朝鮮を訪問した自民党北朝鮮訪問団に随行した新潟日報(新潟県内の地方紙)の記者による随行記が、4月2、3日付けの新潟日報に掲載された。
 これによると、訪問団はめぐみさんたち拉致された人々の救出の突破口を見つけるために、とりあえず、よど号事件の犯人たちの引き渡しを求め、その解決をはかるために平壌に日本の連絡事務所を開設することを働きかけた。いわば、北朝鮮国内における日本側の橋頭堡作りである。
 はたして、北朝鮮がこの連絡事務所開設の働きかけにどのような姿勢をみせるか、見ものであるが、国内事情をかたくなに閉ざしているこれまでの経緯からすると、なかなか困難なことであろうといわざるをえない。
 おりもおり、柏崎市の海岸で拉致された蓮池 薫、奥土祐木子さんの救出支援団体が3月31日の夜、旗あげした。蓮池さんの同級生がこの会の会長を務める。
 民間がこの拉致問題に対して何らかの声をあげるとなると、国交のない北朝鮮相手だから、このような組織で全国展開するしかないのである。拉致された人々を無事に救出したいと願うのはもはや全国民的な願いなのだ。そこで自民党の「北朝鮮拉致疑惑日本人救援議員連盟」などの政治家にひたすら頼るしかないのだが、4月2日付けの読売新聞では期待を裏切るような記事が掲載されていた。
 4月1日、北朝鮮から帰国した訪朝団団長の中山正暉氏が国会内で記者会見をおこなった。「北朝鮮への食糧支援は行方不明者の問題と切り離して人道的立場からおこなうべきだ」と、とんでもないことを述べている。北朝鮮へいって、相当な歓待にあってのことかしらないが、こんなにも容易に北朝鮮当局にまるめこまれるとは思ってもみなかった。どこまでお人好しの日本人なのだ。「最近の議員は質が落ちた」と渡部昇一氏がある本で書いていたが、全くそのとおりだ。
 さらにあきれることには、中山氏は「北朝鮮拉致疑惑日本人救援議員連盟」の名称について、「拉致」を「行方不明」に変更する方向で考えているという。その方が北朝鮮が反発せず、救出に繋がりやすいとの判断があるそうだ。相変わらずの弱腰外交で、北朝鮮はこんな動きに、ほくそ笑んでいるにちがいない。名称を変え、せっせと食糧を支援したところで、北朝鮮がこの問題を解決してくるようなタマではない。かえって、かさにかかって、戦後賠償問題等を持ち出してくるはずだ。弱腰を見せれば見せるほどなめてかかってくる北朝鮮のやり方を、中山氏はどうしてわからないのか。
 食糧支援、戦後賠償問題を外交カードとして、うまく使わなければ、我が国は北朝鮮から馬鹿にされるだけである。



 トップページへ

 目次へ