第弐拾参話 AD物語〜19〜

 何度かお話ししている「ミュージックソン」と同じくらい怖いモノが、
 2ヶ月に1回やってきます。
 それは・・・・・「スペシャルウィーク」と呼ばれる、
「レイティング」です。

 ラジオはテレビと違って、機械を使って「数字」・・・つまり、
 「聴取率」を調べることができません。
 そこで、2ヶ月に1回、1週間(4月〜9月の期間は2週間)、
 「聴取率」を調べる期間を設け、
 その間に、どのくらいの人が番組を聞いたかを調査します。
 この「聴取率調査」を一般に、「レイティング調査」、
 あるいは単に「レイティング」と呼称しています。

 というわけで、今回は「レイティング」のお話。
 またまた「マニアック」です。

 まずはじめに、どのように、「聴取率調査」が行われているのかを解説してみましょう。
 「聴取率調査」を行うのは、テレビと同じように「ビデオリサーチ社」です。
 名前はよく聞きますよね。ボクもよく聞きます。
 でも、どこにあるのか知りません。
 ごめんなさい。
 で、「ビデオリサーチ社」は、「レイティング期間」になると、
 東京駅・・・アレ?皇居だっけ?・・・東京タワーかな?
 どっかその辺りを中心とした、
 半径30キロの圏内に住む人たち、数千人(確か2000人くらい)に、
 「聴取率調査用紙」を配ります。
 この紙には、各ラジオ局の「番組名」やら「コーナー名」やらが、
 表になって書き込んでありまして(実際に実物見たことないんですが)、
 紙を配られた人たちは、「聴取率調査期間」に聞いた番組をチェックしていきます。
 「調査期間」が終わると、用紙は再びビデオリサーチ社が回収・集計。
 約3週間後にこの結果が「OO%」という形で、「数字」になって表われます。
 賢い人はもうお気づきかと思いますが、
 実にいいかげんな方法です。

 何故いいかげんかというと、各ラジオ局の送信所・・・、
 つまり、電波を出してるアンテナのあるところは、各社バラバラです。
 ニッポン放送は千葉県の木更津。文化放送は埼玉県の浦和。
 TOKYO−FMやJ−WAVEは、東京タワーです。
 さらに、AMとFMでは電波の特性が全く違います。
 つまり、リスナーは「聴取率調査」の対象となるラジオ局を、
 同条件で聞くことはできないんですね。
 
 ニッポン放送の場合、木更津に送信所があるため、
 横浜、川崎、千葉、東京23区の江戸川区、江東区、品川区、大田区、世田谷区など、
 比較的海に近い地区では電波がクリヤーに入りますが、
 埼玉県や練馬区、中野区などの海から遠いエリアでは、
 電波がキャッチできないという話をよく聞きます。
 そんなこんなで、「海に近いエリア」に調査用紙が多く配られると、ニッポン放送は「有利」。
 逆に「埼玉・練馬」に配られると、「不利」・・・と言われています。

 また、ホントかどうかは分からないのですが、
 某放送局では、ビデオリサーチ社の前で張り込みをしていて、
 バイトの学生が調査用紙を抱えて出てくると、それを尾行し、
 どこに用紙が配られるかチェック。しかるのち、「折り詰め」を持って、
 「どうかうちの放送局のチェックをよろしく。」
 と、お願いしにいこうとしたら、玄関で、別の放送局の人間とばったり!
 その放送局の人間も、小脇に「折り詰め」を抱えていた!
 ・・・なんていう笑い話もあります。
 
 ・・・とまあ、いろいろと問題のある調査ではあるんですが、
 この「調査結果」によって番組の存続が決まっちゃったりするのも事実なので、
 「レイティング」の期間はどこの放送局も必死です。
 少しでもいいプレゼントを用意し、少しでもいいゲストを呼ぼうと死に物狂いです。

 ・・・・とこれが「スペシャルウィーク」=「レイティング」の概略です。
 と、ひとごとのように書いてますが、この「レイティング」の期間がやってくると、
 ADも大忙しです。
 では、どのように忙しいのか、具体的にお話ししてみますね。
 今回(97年6月)の「レイティング」の「アニメガ」の場合・・・、


 あ、長くなりそうだから、2話に分けよっと。
続く  1997/06/22

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