AD物語II 第7話 「バイバイ・マルス」



〜セピアン・ローゼスのオールナイトニッポンの想い出〜
 旧ニッポン放送の地下で「肝だめし」をしてしまったがために、  改編を乗り切れなかった「平松愛理のオールナイトニッポン(以下、ANN)」にかわり、  91年の秋から始まったのが、  金曜日の第2部、「セピアンローゼスのANN」です。  この「セピアンローゼスのANN」のスタッフ集合時間は、  ボクがこれまでに経験した、どのANNよりも早いものでした。  毎週金曜日の夜9時です。  ANNの1部だって10時ぐらいの集合時間だよ?  深夜3時から始まる番組なのに、何で6時間も前からスタンバイしてるわけ?  それはひとえに、金曜2部のディレクターさんがかわってしまったことによるのです・・・。
 ANNの2部のディレクターさんは、ニッポン放送の純正社員ではなく、  「サウンドマン」という、制作会社の人間がディレクターをしています。  その中で、ひときわ重たい人が、  仁(じん)さんこと、佐藤仁志ディレクターです。  仁さんという名前を聞いて「おや?」と思った方いらっしゃるでしょう。  ていうか、「おや?」と思った人、  インターネットやりすぎで、ラジオも聴きすぎの、  一般社会生活を営めていない、  可能性が高いので注意しましょう。  そう、仁さんとは、あの仁さんです。  「サウンドマン」や「中年探偵団」「吉田拓郎のANN/DX」などの、  ホームページを作ってる方です。  ディレクターなのに、ホームページも作ってる、わけわかんない人ですな。  ま、ボクも同じようなことやってるけど。  この仁さんが、「セピアンローゼスのANN」のディレクターだったんです。
 「小林ぃ、おまえくるの遅ぇんだよ!」  「は?」  ・・・時刻はまだ9時半をちょっと回ったばかりです。  ああ、それなのに、なぜ仁さんは怒っているのか。  「行くぞ!」  「行くぞって、どこへ?」 「メシ食いに。」  「・・・。」  そう、なぜ、「セピアンローゼスのANN」の集合時間が早かったかというと、  『スタッフ全員で「メシ」を食ってから仕事をする』ためだったのです。  ちなみに、仁さんの言葉では「メシ」となっていますが、  サラリーマンのお父さんたちが会社が終わって居酒屋に入り、  ビールから焼酎にかえようか、なんて言ってる時間帯です。  「メシ」だけですむはずがありません。  ぶっちゃけた話、 「飲み」に行くぞ!  と言ってるようなもんです。  しかし、一応、会社内での発言なので、気を使っているらしく、  「メシ」食いに行くぞ!  ・・・となるわけです。  あ、さきほど、「スタッフ全員で」と書きましたが、  これには、タレントさん(セピアンローゼス)は含まれておりません。  ディレクターの仁さん、作家の津曲さん、ADのボク、  以上3名をもって「スタッフ全員」と呼称しておりました。
 ガード下の焼き鳥、串揚げ、まんぷくの焼き肉、巨牛荘の焼き肉、  ボエムのイタ飯、銀座・栄寿司・・・・。  仁さんとはホントにいろんなお店に行きました。  もう一度、言っておきますが、ANNの本番前です。  ご飯食べて(お酒も飲んで)ニッポン放送に戻ってくると、だいたい深夜11時。  ちょうど、普通のANN2部のスタッフ集合時間になるってわけです。  ただ普通のANN2部のスタッフとちょっと違うのは、  お腹いっぱいになって、ほろ酔い気分で、眠くなっちゃってる点です。  やばいって!
 この「セピアンローゼスのANN」はスタッフ・タレント間の仲も非常によく、  「JINツーリングサークル」なるものを結成し、  日光や軽井沢へのドライブを楽しんだりもしました。  「日光や軽井沢」と書くと、ほかにもいろんな場所へ行ったように聞こえますが、  この2ヶ所にしか行っていないのは、言うまでもありません。  え? ホントに仲がよかったのかって?  仲良かったですよ。  ANNが終わってしばらくしてから、  「セピアンローゼス」は4人のメンバーのうち、  2名は故郷の北海道に帰ってしまい、  残った2名で「セピアン」・・・あれ?「ローゼス」だっけ?  ・・・と名乗って活動していたようですが、  その後は・・・?  ・・・あれ?  え? ホントに仲がよかったのかって?  仲良かったですよ。
 続く  1998/02/16

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