「ジュラシック・ワールド/炎の王国」 Jurassic World:Fallen Kingdom 2018年・アメリカ |
○監督:J=A=バヨナ〇脚本:デレク=コノリー/コリン=トレヴォロウ○撮影:オスカル=ファウラ○音楽:マイケル=ジアッキーノ〇テーマ音楽:ジョン=ウィリアムズ〇原作/キャラクター原案:マイケル=クライトン○製作:フランク=マーシャル/パトリック=クローリー/ベレン=アティエンサ〇製作総指揮:スティーブン=スピルバーグ/コリン=トレヴォロウ |
クリス=プラット(オーウェン)、ブライス=ダラス=ハワード(クレア)、ジャスティス=スミス(フランクリン)、ダニエラ=ピエダ(ジア)、レイフ=スポール(ミルズ)、B=D=ウォン(ウー)、トビー=ジョーンズ(エヴァーソル)、テッド=レヴィン(ウィートリー)、イザベラ=サーモン(メイジー)、ジェラルディン=チャップリン(アイリス)、ジェームズ=クロムウェル(ロックウッド)ほか |
7月に公開された、「ご家族で見る夏休み映画」なんだけど、僕は9月に入ってようやく見た。夏場はいつも多忙で、なかなか夏休み映画を見られないんだよなぁ。 さて本作は3年前に公開された「ジュラシック・ワールド」の直接の続編。主人公二人組もそのまま同じ、というのは「ジュラシック・パーク」以来のシリーズでは初めてのことだ。劇中の年代もそのまま前作の3年後、2018年ということになっていて、前作を見た人は主人公二人と同じだけのリアルな時間感覚でこの映画を見ることが出来るわけだ。 前作で恐竜たちの暴走によりテーマパーク「ジュラシック・ワールド」は崩壊した。そのまま島は放置されていたが、島全体を襲う破局的火山噴火が確実となり、島にいる恐竜たちを救出すべきか、あるいはそのまま火山に任せて全滅させるかで、世論は分裂。アメリカ議会では公聴会が開かれ、懐かしのキャラ、マルコム博士(演:ジェフ=ゴールドブラム)が意見を述べる。いや、役の上でのメイクかもしれんがマルコム博士、年をとったなぁ。考えて見りゃ「ジュラシック・パーク」1作目の公開は1993年、もう四半世紀も前なのだ。ってことは見ているこちらもそれなりに年をとったはずで…(汗) 前作のヒロインであるクレア(演:ブライス=ダラス=ハワード)は、「ジュラシック・ワールド」に関わった責任から、恐竜たちの救助を訴える団体を作ってロビー活動している。しかし議会は結局「放置」という結論を出してしまう。焦るクレアに、かつて「ジュラシック・パーク」の創設者ハモンドと共に恐竜復活計画にたずさわった大富豪ロックウッド(演:ジェームズ=クロムウェル)が声をかけてくる。彼の財団の資金で島から恐竜たちを救出する計画がもちかけられ、その指揮は財団を仕切るミルズ(演:レイフ=スポール)という男がとるというのだ。 ミルズは恐竜たちのうち、高度な知性をもつヴェラキラプトル「ブルー」の救出を最優先に考えていて、その育ての親であるオーウェン(演:クリス=ブラット)を参加させるようクレアに要請。クレアは久々にオーウェンに会って説得、最初は渋ったオーウェンだったが結局計画に参加して、クレアの団体の仲間のジアやフランクリンと共にあの島へと渡ることになる。 前作で描かれたようにテーマパーク「ジュラシック・ワールド」も荒れ果てた廃墟となル、おまけに火山による破局が近づく、という物騒な島に渡ってみると、ミルズが雇った大勢の傭兵たちがなぜか来ている。恐竜たちの救出にしては…と思っていると案の定、オーウェンがブルーと再会したとたんに、この傭兵たちがブルーを撃って捕獲してしまい、オーウェンにも麻酔弾を撃ち込んで眠らせてしまう。傭兵たち、およびその雇い主であるミルズの真の目的はブルーをはじめとする「軍事的に使えそうな恐竜」たちを捕獲、武器商人よろしく世界中の買い手に売って稼ごうと考えていたのだった。「恐竜の軍事利用」というアイデアは前作でチラッと出てきたものだが、本作ではそれがより具体的な商売として描かれたわけだ。 ついに始まる破局的噴火。目を覚ましながらも体が言うことを聞かないオーウェン、および別行動で制御室に行ってたクレアたちは、恐竜と溶岩とから逃げる必死の大脱走を展開する。ま、この辺のハラハラドキドキはいつものことで、このシリーズに関しては「それでもどうせ助かるんでしょ」と安心して(?)見ていられる。ようやく船にたどりついて島を離れる一同だったが、島には逃げられなかった恐竜たちが海に向かって哀し気な叫びを上げてるシーンが切ない。 ここから話は後半戦に突入、いつものあの島ではなく、捕獲された恐竜たちが運び込まれたアメリカ本土・北カリフォルニアの森林地帯にある設定のロックウッドの屋敷が舞台となる。ミルズはついにその真意をあらわにしてロックウッドを殺害、武器商人のエヴァーソルと一緒にバイヤーたちを集めて「恐竜オークション」を開始するのだ。 このエヴァ―ソるを演じてるトビー=ジョーンズって俳優さん、どっかで見たような、と思ったら、テレビドラマ「SHARLOCK」の第4シーズンで強烈な悪役を演じて記憶に残っていたのだった。まぁとにかくその顔が怖いくらいに個性的で、悪役専門スターとして映画にドラマに出まくってるようだ。この映画での役もいっさい観客の共感を呼ぶことのない徹底したワルだ。 恐竜と一緒に「捕獲」されてしまったオーウェンやクレアたちは、自身の脱出と共に恐竜オークションの阻止も図ろうとするわけだが、ここで味方になるのがロックウッドの孫娘メイジー(演:イザベラ・サーモン)。序盤でチラッとながら意味ありげな、謎めいた登場をしたので重要キャラなんだろうなと思っていたら、案の定、後半から終盤で重大なキーを握ることになる。なお、彼女の家庭教師役で出ているジェラルディン=チャップリンは、もちろんあのチャールズ=チャップリンの娘さん。『ドクトル・ジバゴ』で出てたのを見たことがあったが、それ以外ではこれが初めて。 さて、こっからは終盤へ向けてのネタバレで書きます。未見の方はご承知の上で、避けるなり読んじゃうなりしてください。 オーウェン、クレアたちは石頭の恐竜スティギモロクを利用して(こういう恐竜の「特技」の使い方はうまいな、と思った)脱獄、さらにメイジーの協力を得てオークションつぶしにかかる。オークションでは例によって、遺伝子操作によって前作以上に狂暴な恐竜も登場、兵器として高値で売られそうになるのだが、ここで一作目および前作に登場して、あまり目立たないけどシリーズの「顔」のような気もする中国系のヘンリー=ウー博士(演:B=D=ウォン)もさすがにそれを売っちゃまずいと言い出す。この人、本作では結局生き残ったのかな? オークションはスティギモロクの乱入により大混乱、とうとう危険な遺伝子操作恐竜もフリーで暴れだしてしまい、観客の期待にたがわず(?)悪人どもはまとめて恐竜どもの餌食に(さすがに直接的描写は少ない)。ま、この辺も一作目以来の定番というやつで、家族みんなで見てられるポイントでもありますな。 期待にたがわずといえば、ブルーもその知能を生かしてオーウェンと協力、本作の恐竜ラスボスである遺伝子操作種「インドラプトル」を大噴泉の末に倒している。ま、それでも最後の美味しいところはティラノサウルスがもっていってしまうのもシリーズお約束か。 そしてラストにやってくる決断のとき。捕獲された恐竜たちを毒ガスによって始末するのか、それとも逃がすのか、主人公たちは決断を迫られる。常識的に考えると恐竜たちを絶海の孤島ではなくアメリカ本土に野放しにしちゃうなんて判断はありえないのが、映画の展開は明らかに観客に「逃がせ」と思わせるようになっている。そしてここでまた重要なのがメイジーの存在。途中の伏線で察した人も多いと思うが、彼女はロックウッドの娘のクローンで、同じクローンである恐竜たちに共感して、彼らを逃がす行動をするのだ。この辺も考えたシナリオだなと思ったところ。 ただ、確かに「その後」が大変だよなぁ。ラストでマルコム博士が再登場、「人類と恐竜が共生することになった。ようこそジュラシック・ワールドへ」と言ってのけるが、このセリフのためにこの人を再登場させたんだな。 この映画の公開直後にユニバーサルは続編を2021年公開予定と発表していて、このラストに続く内容になると思われる。それは「恐竜探検隊ボーンフリー」みたいになるんじゃなかろうか、と往年大喜びでそれを見ていた僕などは思ってしまったのだが、ホント、どういうふうにするんですかねぇ。(2019/1/19) |