風の伝説ザナドゥII ジャンル:アクションRPG ◆名作RPG、よもやの続編製作! 「風の伝説ザナドゥ」 が発売されたのが1994年の2月。好き嫌いが分かれるソフトではあったが、ファルコムらしい作りこまれた内容とSCDらしい豪華なビジュアル&声とでPCエンジン後期におけるヒット作となった。それからおよそ半年ほど後に早くも続編「II」の製作が雑誌上で発表され、当時前作をクリアしてすっかり惚れこんでしまっていた直後の僕は狂喜乱舞したものだ(笑)。木屋善夫 氏は前作の発売を前に退社しており、この「II」には一切タッチしていない。それどころか自作の続編だというのに「II」の開発・発売自体全く知らず、あとから知って驚いたぐらいだという。「イースV」 も発売していて(これも少々あわただしい開発だったフシがある) 、コンシューマ進出に意欲的だったことがうかがえるが、PCエンジンにしてもスーパーファミコンにしてもマシンの世代交代が迫っていた時期であり、販売本数的にはあまり良くなかったようで、以後ファルコムの家庭用ゲーム機向け戦略はしばらく沈黙することになる。アリオス はじめほぼ全員再登場するが、前作のマスコットキャラだったイエティのアルゴス は登場せず、前作のヒロインだったソフィア や策士のヌース は登場はするもののオープニングの顔見せだけで冒険には加わらない。彼らの代わりに新大陸で騎士ランディス(声:前作でアルゴス役だった梁田清之) と美少女メルティナ(声:当時声優アイドルとして大人気だった椎名へきる) が冒険に参加する。ピュラー だ。前作では清純派・正統派のヒロイン・ソフィアの後塵を拝していたが、ひそかにアリオスに気があることは明らかで(当時はない言葉だが、ちょっとツンデレ気味だった) 、その元気だがどこか抜けた天然キャラと秘めた情熱娘ぶりが人気を集め、ソフィアをおしのける結果になったのかもしれない。ダイモス と結婚した女元シスター・プロスタ(声:高山みなみ) もオープニングのみながら声付きで再登場している。また新キャラとしてダイモスの妹リュミナ(声:横山智佐) も登場、なんだかヌースといい関係になりそうな予感を抱かせるが、こちらもオープニングのみでの登場。それらを見ているとゲーム後半でイシュタリアに戻ってくる展開を予感させたのだが、結局それはない。(94年末に出たRPG「アルナムの牙」もその気配がある) 。◆PCエンジン最高レベルの細密グラフィック 「これって、8ビットのPCエンジンの画面なんだよな?」 とビックリしてしまうほどの出来なのだ(下に掲示した「ユーゲー」誌読者投票でこのソフトが上位に食い込んだ理由もそれが大きいと思われる) 。◆ 万人向けにはなったのだが… (隠し通路が多いなど一部迷路にやっかいなものはあるけど) 。また前作の特徴であった「時間概念」や「幽霊状態」も削除され、HPがゼロになると宿屋に自動的に戻るようになったほか、店での買い物もチビキャラ演出なしの単純なものに変わった。他人の家に入る時もノックの必要もなくズカズカ入れるようにもなった(笑)。ボス戦突入前の横スクロールアクションも削除され、一緒に戦う仲間を選んだら即ボス戦突入、というあっさりしたものとなった。(その代りのつもりなのか、一定の条件を満たさないと見られない「隠しイベント」がいくつか仕組まれている) 。(この辺もシナリオが一部カットされたんじゃないかと思える理由) 、ラストが一応ハッピーエンドであるとはいえ仲間との別れの寂しさも伴い、おまけにこの「風の伝説」シリーズのみならず、ファルコムと木屋善夫氏の看板シリーズのタイトルである「ドラゴンスレイヤー」 ともお別れになってしまう。オープニングのサブタイトルに「Last of Dragon Slayer」 とあるので予想できたことではあったが、名シリーズの終焉としてはかなり寂しい作品とも思う。前述のように木屋氏のあずかり知らぬところで開発された、という事情もあって、本作を「ドラゴンスレイヤーシリーズ」に数えるべきかどうか議論もあるほどだ。神々やら伝説の剣やらに頼るのではなく、人間たちは自らの力で頑張らなきゃ、というテーマは一応前作から引き継がれてはいるんだけどね(シナリオ担当は前作でもメインだった人) 。やっぱりあのラストから続編を作るのは無理があった、ということかと。「プレミアムモード」 は「II」でも健在。ビジュアルシーン連続再生や各面へのジャンプはもちろんのこと、ボス戦を連続プレイしてクリア時間を競う「タイムアタックモード」 なんてものまでついた。前作に比べると難度が下がったボス戦だが(ラスボスだけは別) 、キャラ組み合わせも自由に選べるこのタイムアタックは結構燃える。当時専門誌「PCエンジンFAN」誌上でもタイムアタックモードのコンテストが行われ、この時期としては珍しいアクション系の盛り上がりを見せていたものだ。◎各誌評価 ★PCエンジンFAN(ゲーム通信簿の読者投稿平均点。各項目は5点満点で総合30点満点)  キャラクター 音楽 お買い得 操作性 熱中度 オリジナリティ 総合 4.669 4.665 3.655 4.088 4.261 3.392 24.730第31位  
★電撃PCエンジン(発売前テスト版による100点満点での採点)  (各項目5段階評価) グラフィック サウンド 操作快適度 ゲームバランス オリジナリティ コストパフォーマンス 総合 4 4 4 4 4 5 85 
「ミンタンのACTアイ」レビュー★ファミコン通信クロスレビュー(発売前テスト版による10点満点での採点)  レビュアー 総合評価 浜村通信 7 羽田隆之 6 渡辺美紀 6 ジョルジュ中治 7 
★「ユーゲー」誌連載「19××」読者投票 迷い込んだ方はこちらから