ヘラクレイトス


Herakleitos

戻る

作成日 2002/6/1

「Herakleitos 前540~480ころ 古代ギリシアで弁証法思想をもっともよく言いあらわした哲学者。エフェソス市の貴族の出。そのころギリシアは土地貴族に対抗して新興商工業者が台頭してきた奴隷制社会の変動期で、かれの哲学にはこれを反映して部分的に進歩的な社会観も述べられている。ミレトス派の世界観にすでにみられる生成変化の思想を発展させ、火を万物の原理とし、火が万物へ、万物は火へ転化するという根本思想のもとに、<闘争は万物の父> と説いているように、万物はその反対物に転化生成し、不断の流転(panta rhei)の姿をあらわしている。この生成変化こそが世界の真理で、事物の静止的同一的な存在のありさまはたんに一時的な仮りの姿にすぎない。この生成変化を支配する永遠の理法を、かれはロゴスとよんだ。かれ自身の言葉によると<世界は神々や人間によってつくられたのではなく、ロゴスによって燃え、ロゴスによって消えながら、永遠に生きる火であったし、あるし、あるであろう> と言われている。この言葉をレーニンは<弁証法的唯物論のひじょうにすぐれた叙述>と評価した。」

哲学辞典 森 宏一編集 青木書店 より




戻る