謎の物体


横浜が謎の物体に占領されていた



ソフトボール大のなにか特殊な実のようなものである

山下公園というところあたりから
ちらほらと出現するようになった



そして横浜中華街に近づくにつれて
謎の物体の出現数が激増してきた







なにか意味のありそうな配置である
どこかの民族の活動なのか



こんな場所にも謎の物体が置かれている
これはただ事ではない

そんななか特殊な民族らしき人物が現れた

道に落ちているやや大きめのこの謎の物体を拾い
自分の持つやや小さめの物体を代わりに置いていったのである

これにより謎の物体の正体はますますわからなくなった

しかししばらくするとこの謎の物体を手に持ち
物体上部から突出したストロー状のものを
吸っている人々を多数見るようになった

どうやらこれは飲み物の一種であるらしい
ストロー状のものはストローそのもので
それにより謎の物体内の謎の物質を吸飲しているようだ

これだけ多数の人が謎の物体を持っているので
謎の物体発生地は近いと思われた

そこで中華街をくまなく捜索してみた

そしてついにその発生地を発見した
店先に謎の物体がつりさげられている



その店をのぞくと
はたして「やしの実ジュース500円」と書いてある

大量にあるヤシの実の上部に穴をあけ
ストローをさして販売するのみの商品である

店員はひたすらヤシの実に穴をあけてストローをさしている



その値段に一度は通り過ぎたものの
これだけアピールされたので
やはり買うことにした

500円を払い
中国人風の店員から物体をうけとる



持つと想像以上に重くて意外にうれしい

味は筆舌しがたい味であった
意外な果汁含有量を誇り
飽きた後が大変である

中華街にいる人の5%くらいはヤシの実を持っており
路上のヤシの実は絶大なる効果を及ぼしているようだ

ヤシの実業者当人が設置していたのかもしれない

私は路上のヤシの実を調べているうちに
ヤシの実が路上に設置されているカラーコーンの下に
多数隠されているのではないかと思い始めた



そして路上にあるカラーコーンを
期待を込めて一つ一つ持ち上げて見た

しかし見つけることはできず
カラーコーンを持ち上げる趣味を持つ
一人の変態となっただけであった

さてヤシの実ジュースをなんとか飲み終え
この物体を捨てる状態となった

そして捨てる場所がないことに気づくのである
こういう理由で横浜はこの物体に汚染されているのであった

私は大人として路上には捨てず
購入した店に戻り
そこに設置されていた専用ゴミ箱に投入した

ちょうど飲み終わる頃の中華街の出口周辺には
この物体が散乱していた



まわりにはジュースの缶などがあり
この物体は一応飲み物として認識されているようだ

しかしわからないのは
大きい物体を拾って小さい物体を置いていった人物である

その人物こそ謎の物体である



もどろうか