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香港もランタオ島まで来ると都会の喧騒を少しも感じない。寶蓮寺を訪れた時に、澄んだ空気と、何処までも続く山に感激した。この山奥に行く際に見かけた「大澳」行きのボロバス。都心のように二階建てではなく小柄な車体に日本の田舎で見かける景色を思い出した。ランタオ島でもっとも端にある「大澳」はどのような所だろうか・・・。行きたい。強く思った。
近代的な巨大ビルが立ち並ぶ、地下鉄の終点「東涌」からバスに乗る。出発するとジャングルの山道を行く。かなりの隘路である上人気も全く無い。急勾配に喘ぎ、止まりそうな速度である。険しく狭い道であるが車は少なく、車両の乗り入れ制限でもされているのかと思った。こんな山奥を何処まで行くのかと思うような所を走り、やがてと小さな漁村に到着する。
狭い商店街の路地を歩く。ここは永安街と呼ばれる場所。乾物屋が目立ち、漁村の雰囲気が伝わってくる。広東語が出来ないので、店員に話しかける事もなく通過してしまうのが悔しい。やがて小さなつり橋が現れる。ここから高床式水上家屋が良く見える。
水上家屋とは、水上に建っている住宅で、東南アジアではよく見られた形態らしいが、香港では「大澳」に残る(保存?)程度である。ちなみに「棚家」と呼ばれているが、観光の意味もあり昔の形態を残している。路地を歩くと麻雀をしている老人たちが目立つ。香港では麻雀のお陰で痴呆症になる人が少ないと聞いた事がある(真意は定かではないが・・・)。都市部とはまた異なる活気が感じられる場所であった。しかし若者が少なく、日本の漁村と同じ悩みを抱えている事が感じられる。
帰りは来た時の反対側の街に出ようと思う。島を一周した事になる。「梅窩」まで行くバスもボロバスであるが、山道は海岸沿いをかなりの速度で飛ばすので、寝ていると何度も揺れで席から滑り落ちそうになる。「梅窩」からフェリーの乗り込み香港のど真ん中のセントラルを目指す。フェリーの甲板から遠ざかるランタオ島を見ていると、香港にいながら癒される景色に出会えたのが不思議になってきた。過疎化とか再開発とか言われているが、「大澳」はいつまでもあのままであって欲しい。
このような隘路を進む。まるで香港とは思えぬ景色が続く |
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観光客も少なくなく、案内板は充実している |
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集落内の川を渡る為に、跳ね上げ式の橋が設置されていた。最近まで渡し舟があったとか |
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乾物屋が多い商店街 |
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水上生活の様子 |
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バスと船で帰る。ランタオ島が大きな山である事がよくわかる。 |