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派手なイルミネーションに彩られた街並みが、玉手箱をひっくり返したような輝きをもって迫ってくる。市内を貫く川の水面を、これまた光で彩られた船が行き交う。鮮やかで、楽しく、賑やかである。遊園地のアトラクションのようだ。しかし、ここは儒教の祖である孔子を祭った、本来なら荘厳な場所である。
夫子廟は南京随一の観光地である。派手なイルミネーションの中に、新年を祝う華やかさもあって気分は高揚してくる。この派手なイルミネーションは頼もしかった。なぜならば、ここに来るまで、見知らぬ土地で道に迷い心細くなっていたからだ。
路線バスを降りて、この場所を探して夜の街を彷徨った。寒いし、暗いし心細くなる。お腹が空いたので、大衆食堂で夕食を摂る。店員は冷たく、店の奥の末席に座るように導いた。正月だから、地元の家族連れが大皿料理を賑やかに食べている横で、小皿料理を食べていた。明らかに浮いていた。ビールも自分で冷蔵庫から取り出して侘しく飲んでいると。不安で寂しくて仕方なくなってくる。そして、食後、ホテル探しをしていると、突然ど派手なネオンが目前に現れた。そのギャップたるや驚きであった。
とりあえず泊まったホテルは汚くてかび臭かった。シャワーの排水口など詰まって部屋が洪水状態になるところだった。本当は大手チェーンホテルに泊まりたかったが、とりあえず目前の大衆ホテルに飛び込んでしまった。出張などで来る時は、外国人が泊まれる綺麗で安全なホテルに泊まる事が多いが、中国人の大衆はこういう所に泊まるのかと興味深く、決して嫌ではなかったが・・・。
朝、夫子廟付近を散歩してみる。賑やかで土産物屋をひやかすのも楽しいが、やはり夜に訪れるべき所だと思う。しかし、孔子とは関係なく盛り上がっているような気がする。孔子といえば偉人であり、道徳を説いた方であるが、文化大革命で全否定されて、そして今の自分勝手な中国が出来上がってしまったように思える。孔子はあの世で今の中国を嘆いておられるのではないだろうか。
まさか、光っているのは孔子なのだろうか。罰当たりな・・・。 | |
春節ならではお祝いムードに満ちていた。 | |
流れているのは秦淮河。南京の市街地を貫いている。この川はやがて長江に流れ込む。 | |
光で彩られた船が行き交う。何でも派手にするのは中国的である。日本だったら、もっと荘厳なライトアップを行う筈。しかし、文化は違うから面白い。 | |
昼間の夫子廟。やはりイルミネーションに彩られていた方が綺麗である。 | |
商店街を練り歩くのも楽しい。上海など大都会に比べて落ち着いた感じがする。 |