繁体字 廣九直通車
簡体字 广九直通车
国名 中華人民共和国
・2011年10月30日作成
訪れた日 2007年1月27日
2011年7月10日

香港の「紅磡」を出た中国国鉄の客車列車は、通勤電車が行き交う区間をノロノロと走る。やがて国境の「羅湖」を超えると列車は短い鉄橋で中国に入る。「深圳」の駅構内は広く、長距離列車がいくつも停車しており、ちょっと気分が高揚してくる。プラットフォームでは、制服を着た人が物々しく警備しているのがちょっと怖い。ちなみに車内も国鉄の女性職員が厳しい表情で警戒していて落ち着かない。やがて列車は速度を上げて、最高速度160km/hで突っ走る。沿線は石造りの貧相な建物と高層ビルの組み合わせが目立つ。貧富の差が激しい中国らしい景色だ。所々で見る工事現場では円錐型の藁帽子(ノンラー)を被って、天秤に石を乗せて運んでいる人々が目立った。重機を使うより人足の方が安いのだろう。

香港から広州までの路線は九広鉄路という。しかし、香港と中国に行政区が分かれてしまったので国境の深圳で別線のようになっている。両側を直行する列車は1日に13往復設定されており、香港鉄路が運用する(Ktt-九廣通)と中国国鉄が運用する(準高速)の2種類がある。香港鉄路が綺麗な二階建て列車でサービスも良いのに対して、中国側は老朽化した客車列車で、人気は香港側が圧倒的に高い。ハードだけでなくソフト(乗務員の態度)も香港側が上である。香港にいると、これらの国際列車が通勤列車の合間を縫って走ってくるのを見る事が出来る。2007年に訪れた時は、全車特等のスウェーデン製のX2000の姿もあった。乗車時間は約1時間50分。

中国国境の深圳から広州間は新幹線(CRH)が10分間隔で1時間で両都市を結んでいる。最高速度は200km/hを超えるので、国際列車よりも速いが、深圳での国境越えは時間がかかるし、新幹線の切符売り場も込んでいる。国際列車では、出発駅と到着駅で飛行機同様に入出国手続きを行うが、空いているし、歩かされる事もなくラクである。そのような訳で、よく国際列車を使うが、香港鉄路運用車(Ktt)はいつも売り切れ、中国国鉄の準高速で我慢している。車両は全車一等といっても古いし、女性車掌の態度が良くない。ただし、食堂車が連結されていて、車内での飲食(デリバリもある)が充実している事だけは魅力である。

一度、広州からの帰りに香港鉄路運用車(Ktt)に乗った。特等車を選択したが、金色に輝く車内はまるでホテルのようだった。でも少しやりすぎのような気もする。香港は何でも中国を反面教師にする所があるので、車両も思いっきり豪華にしたのだろう。この時は中国で嫌な事があり、広州で見た、香港の車両が本当に嬉しかった。英語で乗務員と会話ができるのも安心感があった。そして、車両銘板にある「近畿車輛」の文字が誇らしかった。中国国内で、日本製の車両が、日本メーカーの銘板を付けて走っているのはここぐらいではないだろうか。


中国の車両は全車1等車、4列でゆったりしているが(2等車は5列)座席は回転しない。全線電化区間を行くがディーゼル機関車が牽引する事が多い。
香港側は通勤電車が数分間隔で走る。国際列車はこの間を縫うように走るが、前後を通勤電車に押さえられノロノロ運転
香港鉄路運用車(Ktt)は日本製の客車をスイス製の機関車がプッシュプルで挟んでいる。1編成しかないので、運転本数は少ない。
広州駅で乗車前に撮影した香港鉄路運用車(Ktt)。香港鉄路は、香港の地下鉄を経営していて、言い換えれば地下鉄会社の機関車と客車。不思議な気がする。
はじめて広州に行くとき、香港の駅で「広州」の中国語発音が言えず、間違えて途中駅の「東莞」までの切符しか買えなかった。「東莞」で2時間も待って国内列車に乗った。この頃は、まだ新幹線が開通しておらず、列車本数が極端に少なかった。街が怖くて、駅の待合室で大勢の見知らぬ中国人に囲まれて心細かった。
深圳から広州までは複々線区間になる。最初に乗った時は高速線に入って、長距離特急を走行中に追い抜いていた。現在は普通線に移ったので、10分ほどスピードダウンしてしまった。高速線はCRHが使っているようだ。途中で必ず、CRHに高速で追い抜かれる。ちなみに停車駅はCRHの方が多い。
香港で中国の国際列車を撮影する。香港と広州を結ぶ新幹線が開通したら、この国際列車は無くなるのだろうか。ディーゼル機関車が唸りをあげて通過するので、列車を見ていなくても中国の列車が来たとわかる。

http://www2s.biglobe.ne.jp/~kurume/my_hp.gif (6911 バイト)


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