●揖斐線(黒野まで)
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1986年8月
当時、揖斐線は大正時代から走り続けている旧型電車が主力として活躍していた。名古屋に用があったが、そのついでに気軽に乗ってみた。これが揖斐線との出合いであった。
旧美濃電鉄で製造された520型と510型は、1923年(大正12年)と1926年(大正15年)に製造された老兵である。ふたつの電車は連結されて2両ペアを組んで使用される事が多かった。当時、流行った流線型が時代を感じさせ、510型は戸袋窓が丸く装飾されていたので丸窓電車として人気があった。
当時は市内線の路面区間を直通しない電車が多かったので、軌道区間の開始である忠節から黒野行きの電車に乗り込んだ。当然非冷房車。開け放たれた窓から入ってくる夕方の風が涼しかった。黒野からの戻りは夜になったが、車内灯は、ほんのりオレンジ色を優しい光を投げかける白熱灯。列車が力行に入ると電気を喰われるためか、室内灯りは消えてしまいそうに真っ暗になる。これには驚いた。
2005年3月
90年代後半には揖斐線は近代化された。1997年から走り始めた新型車は流行のLRTのようだった。興味を失ってしまった為、積極的に訪れる事もなかった。揖斐線の末端区間が廃止されたのが2001年、そして2005年には岐阜県内の名鉄のローカル線は全廃という衝撃的な出来事があった。
廃止間際、出張で名古屋を訪れた帰りに揖斐線を訪れた。途中駅で下車したり、車窓の雰囲気を感じたりしてみたが、昭和を感じる、懐かしい雰囲気に満ちたローカル線だった事が改めて認識された。走っている電車は車齢8年の新型車ばかり・・・。近代化しておいて廃止とは・・・。
丸窓が特徴 510型(忠節で) |
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正面から入ってくる涼風が気持ちよい | |
白熱灯が暖かい | |
暖かい車内灯が特徴の520型 | |
廃止間際の黒野で | |
尻毛駅、隣は又丸 | |
美濃北方 岐北軽便鉄道時代の終着駅だった |
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レトロな雰囲気に満ちた駅が多かった |