●飯山じょんのびクルーズ
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車内で地元の名産品が配られ、華やかな雰囲気の中、列車は田植えの進む里山を進んでゆく。リクライニングシートに身を沈め、リゾートトレインの大きな窓から眺める車窓は、ローカル線のボックスシートから見る車窓と違うように見える。それぞれに良い点はあるのであるが、快適性という点ではリゾートトレインの方が一段上のようである。
飯山線に乗るのは久しぶりである。初めて乗車したのは1983年、キハ55型だっただろうか・・・。長野駅から乗車し、越後川口駅に向かった。飯山駅まで超満員であったが、後半は空いた車内で、千曲川を眺めながらノンビリして旅を楽しんだものだ。飯山市に住む友人を訪ねて、冬の飯山線に乗車した事もある。いずれもノンビリした旅を楽しんだが、新幹線開通により大きな影響を受けるのは間違いない。
この「じょんのびクルーズ号」は「クルージングトレイン」(五能線を走っていた「リゾートしらかみ」青池編成)の2両編成で運転されている。いわゆるリゾートトレインであるが、最近は流行なのか、色々な場所で走っている。これも鉄道の旅の魅力のひとつだと思うが、合理化が進み、旅情を感じにくくなった通常運転の列車でも魅力的な旅が出来れば良いのに・・・と思う。
長野駅を出発して小一時間、飯山駅に到着する。渋い感じのローカル線の主要駅であるが、新幹線の巨大な駅が姿を現している。この駅も新幹線の高架下に移動する事が決まっている。この付近の景色は新幹線開通で一変する事になるだろう。この駅を出ると、列車は次第に山間部に入ってゆく。スノーシェッドが目立ち、冬季は豪雪地域であるという事を感じる事ができる。森宮野原駅には積雪7.85mの碑が立っている。
快晴で快適な旅であるが、山間部を抜けて十日間盆地に入ると次第にまったりしたムードになってくる。出発から2時間少し、この列車の終点、十日町駅に到着。ここでは北越急行ほくほく線と接続する。現在は、特急「はくたか」が行き交う駅となったが、私が始めて飯山線に乗車した際は、このローカル線が唯一の鉄路であった。はくかた号が無くなっても、十日町駅へのルートは上越新幹線と北越急行の組み合わせがメインルートで、飯山線が活性化する事は無さそうである。
長野駅で、「リゾートビューふるさと」も姿を現した(左)。新製の、最新のハイブリッド技術を導入した車両である。わが、「飯山じょんのびクルーズ」は国鉄型ディーゼルカーを改造した車両である。双方の乗務員が線路越しに会話していたのが微笑ましかった。 車内は開放的、前面の展望席は人気があり、常に人が集まっていた。 |
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飯山駅のホームには「七福の鐘」が設置されており、乗客も思い思いに鐘をついていた。ホームは奥の新幹線駅の下に移動するが、この鐘は別の場所に移設される。 千曲川の眺めが素晴らしい。リゾートトレインから眺める景色も素晴らしいが、個人的にはローカル線のボックス席で、風に吹かれながら旅した80年代も楽しかった。 |
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この季節の旅は乗車していても、撮影しても楽しい。水を湛えた水田は日本らしい景色だと思う。 | |
終点十日町駅。飯山線はこの先、越後川口駅まで続くが、私は北越急行に乗り換えた。北越急行が開通してから飯山線の地位が低下してしまったような気がする。 |