●東海交通事業 城北線
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大都市「名古屋」から東海道線を岐阜方面に一駅、まるでローカル線の駅のような小さな古い駅舎と、人も疎らで閑散とした雰囲気の「枇杷島」。ここは名古屋市ではなく、「名古屋市内駅」行きの乗車券で下車できない。ディーゼルカーのアイドリングの音も聞こえてきた。まるで非電化ローカル線の様相だ。
それから数年、改めて「枇杷島」を訪れる。アイドリング音の正体は東海交通事業城北線であった。大都会を走る単行のディーゼルカー。何とも不思議な存在である。乗客を数名乗せて列車は高架線を突き進む。1時間に1本という運転本数にも関わらず、驚いた事に全線複線高架。新幹線でも走りそうな高規格路線である。架線柱が無いので見通しは良く、名古屋の街中を飛んでいるという表現がピッタリである。
乗客も極端に少なく、何の為に走っているのかわからないような城北線であるが、愛知県を循環する貨物線の名残である。線路が完成する前に本来の鉄道貨物の需要が無くなり、一部は愛知循環鉄道、そしてこの城北線がその線路を活用して運営している。愛知循環鉄道は盛況のようだが、城北線は・・・・。この閑散とした鉄道が成り立つのであれば、同じ地区の貨物線の未成線である南方貨物線も旅客化できたのではと考えてしまう。
列車は16分で終点、「勝川」に到着。高架線はここで切れている。中央線と接続駅であるが、路地を歩いて10分ほどかかってしまう。接続する中央線は高架化工事の最中であるが、その完成予想図には城北線は取り込まれていない。乗客は進むに連れ多少増えたが、それでもガラガラの状態である事には変らなかった。城北線の明るい未来像は伝わってこない。維持費もかかるであろうし、廃止も選択肢だと思うのだが・・・。
城北線の起点は東海道本線の枇杷島駅(名古屋の隣) | |
当時はバリアフリーに対応していない古い駅だった(名古屋の隣とは思えないくらい鄙びた駅) | |
架線が無いので広々感じる | |
計画ではこの付近で短絡線を分岐する予定だった | |
インターチェンジに飲み込まれたような鉄道 | |
終点勝川 | |
隣は中央本線の高架、駅は接続していない |