●小海線

・2009年5月9日作成
訪れた日 2008年7月5日
 

静かに発車したと思ったら、突然うなるようなディーゼルエンジンが響きをあげる。世界初のハイブリッドディーゼルカーの印象はどこか不思議な感じである。 蓄電池によるモーターとディーゼルエンジンの組み合わせよるエコトレインである。 この画期的な列車はローカル線の小海線でデビューした。 まだまだ試験的な車両でコストも従来の車両より高いらしい。

小海線は有名なリゾート高原の「清里」を走る事でしられており、どちらかといえば「小淵沢」―「野辺山」間の山岳区間が注目されてるが、 約7割は淡々と水田の中を走る地味なローカル線である。しかし、私はその地味な区間もローカル線らしく好きであった。今回は「小諸」から乗車して、山岳区間を経由して「小淵沢」に向かう事にした。

水田の中を走るとはいえ、どことなく高原を感じる北側の区間であるが、民家も多く利用客も多い。「中込」駅などは、地方幹線の主要駅のように立派だった。ここから千曲川と併走して少しずつ高度を上げてゆく。この千曲川沿いの景色が長閑で、私が一番好きな区間である。

ハイブリッド車両は「小海」で終点になる。ここから列車を乗り換えて「小淵沢」に向かう。ここから先は山岳鉄道の様相を呈してくる。国内鉄道最標高地点を過ぎると高原が広がり、高原野菜の畑が目立つ。バックの八ケ岳が絵になっている。この高原野菜の輸送と小海線は深いつながりがあった(今は貨物輸送は廃止された)。やがて「清里」駅に到着。ペンションなどが立ち並ぶ高原リゾートだ。

思春期の頃、「夏の小海線は女子大生でいっぱい」と本で読んだ事があり、ちょっとした憧れがあった。実際に夜行列車で「小淵沢」に着いて、小海線に乗る若い女性もいたと記憶している。しかし、夏の休日、東京に戻るには最適の時間であるのに「清里」から乗車した乗客は僅かだった。今や鉄道でリゾートに来る時代ではなくなった。列車は急勾配を下り始める。途中、鹿が線路を塞ぐ場面もあったが歓声をあげる人はいなかった。乗客そのものがいないのである。


メルヘンチックな駅名
まるで電車みたいなハイブリッド車両
お洒落な小海駅
山岳区間は窓を開けて空気を吸いたいものだ
八ケ岳と高原野菜
かつては大賑わいだった清里駅
終点小淵沢着


http://www2s.biglobe.ne.jp/~kurume/my_hp.gif (6911 バイト)


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