1990年3月4日

小笠原は通常のカレンダーで生活していない。唯一の生命線とも言える小笠原丸の入出航に合わせている。出航日は休日とか・・・・。そして、生活物資を運んでくる小笠原丸が出航中(航海中)。特に入港前はどの店にも商品が無くなる。ガラーンとした棚にポツポツ商品があるにすぎない。昼食用のパンを購入しようとしても、賞味期限が切れてしまっているので冷凍されている。

小笠原丸の到着日。母島同様、集落のあちらこちらに設置されているスピーカーから、放送が入った。
「今日の「おがさわら丸」の入港予定時刻は2時20分です。」
「おがさわら丸」中心に時が動いているのを確認できた瞬間だ。

そして船が到着。なにやら街が騒がしい。商店に人が群がっている。いったいどうしたのだろう。「おがさわら丸」で運ばれてきた商品が店に溢れている。特に貴重な生鮮食料品は店の前に並べられていて、奥さん方が集まっている。何かの特売のような盛況だった。店内も身動きが困難な程混雑していた。父島にこんなに人がいたかなぁ。

私は、買いたい物があったのだが、混雑しているレジを見て、購入意欲が失せて、送られてきたばかりの週刊誌を立ち読みした。ついでに本棚も見回す。新聞などは1週間分をまとめてビニール袋で梱包し、○○様と書かれて置いてあった。そんな新聞も衛星放送が入るようになってから、ニュースが逐一入るようになったので購読者が減ったと聞く。

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