●見島
|
見島といって何人の人が判るだろうか。萩の沖、45qに浮かぶ日本海の孤島である。私がこの島を訪れようと思ったのは、どこか日本海の離島は無いものかと地図を見ていて気がついたのがきっかけである。しかし、観光ガイドにも滅多に登場しないし、見所もなさそう・・・。それが私にとっての魅力だったりする。そしてお盆休みに日本海に沿って山陰本線を下っていった。
まず、宿泊先、萩港でパンフレットを見ながら民宿に電話をかける。しかし、何処も断られる。あとで知ったが、満員だから断られたのではなく、お盆休みは民宿を休む所が多いそうだ。素泊まりで泊まれるという民宿にも電話してみたが繋がらない。ラーメン屋の上だと聞いていたのでラーメン屋にも電話するがここも繋がらない。仕方なく、同じ名前の喫茶店に電話したら手続きができた。そんな事、何処にも書いてない。それにしても、名前も聞かれなかった。
1時間あまりの船旅は快適だった。船も小さいので驀進という感じで突っ走ると小さな島が現れる。本村で下船したが、案内図など何処にも無く、民宿まで辿り着くのが一苦労。そうして、閉鎖されたラーメン屋の上の部屋に案内される。本日の客は私ひとりとの事。
翌日、島、唯一の土産物屋で自転車を借りて島を観光する。ここでも名前さえ控えられなかった。山奥にひときわ聳える自衛隊の基地が、国境が近い事を物語るが、それ以外は本当にノンビリした所で、数少ない観光ポイントの宇津長尾の鼻(北灯台)も私ひとり、絶景の観音崎も人に会うことが無かった。海水浴場もカップルがプライベートビーチを楽しんでいるぐらい。
東端の日崎も凄い所だった。海に突き出した半島の崖の上を行くと波切不動がある。両端が海の崖は急な坂道。転べば崖から海に落ちてしまいそうな狭い所を行くと小さな祠がある。お地蔵さんらしいが、誰がお参りに行くのかと思う。後で聞いた話だと、正月は大層な賑わいらしい。
それにしても、食堂やお店が無く、朝から何も食べられず夕方になってしまった。想像以上に何も無い。島を観光するのは自転車さえ借りれば半日で充分だが、チェックアウトの手続きが終わっていない(料金を払っていない)。何処に行っても宿主がいない。宿では風呂が沸いていたので、私がもう一泊する事を前提に沸かしてくれたらしく、自然にもう一泊。最後まで、名前すら聞かれなかったし書かなかったが、踏み倒すような悪い奴はここには来ないのだろうか。そして今夜の客も私ひとりだった。
時期はお盆。小さな集落では、どの家でも家族水入らずの団欒が続いていた。明日で盆休みは終わり。帰省客は街へ帰るのだろう。今夜でお別れなのだろう。民宿が客をとらなかったのは、家族を迎える為だったからなのだ。私ひとりが部外者のような感じがして、帰らねば・・・と思った。
誰もいないビーチ | |
一面のひまわり | |
宇津長尾の鼻(北灯台) | |
宇津観音 | |
観音平 | |
日崎 (この細い山道を行く) |
|
見島灯台 |