●大社駅
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駅前ロータリーがあって、その先には重厚すぎる大きな木造駅舎が聳えていた。2面3線のホームはターミナル駅としての機能として充分だろう。しかし、この駅に発着する列車は無い。1990年4月1日づけでこの駅は大社線とともに役割を終えた。
駅は重要文化財に指定され、線路も設備も現役当時のまま保存されていた。大正生まれの木造駅舎は、出雲大社への玄関口に相応しく、老舗旅館を連想させる立派なものだ。観光案内所があり、待合室があり、大きな事務所もある。吹き抜けで高い天井を持つ改札口付近は、思わず上を向いて見とれてしまう程だ・・・。ホームは長く、かつて急行列車や団体専用列車が発着していただけあって、どれも長く、幹線の一端であった事がわかる。団体専用改札もあり、かつては大勢の人がここで乗り降りしたのだろう。
国際的観光地でもある出雲大社、ここに来る前に訪れた境内は大勢の参拝客で賑わっていた。しかし、鉄道でやってくる時代は終わったのだろう。殆どは自動車か観光バスだ。また、駅が参道の入口にあり、境内の駐車場に直接乗り入れる自動車と比較して不利だった(参道を通って本殿に至るのが、ただしい参拝のありかただと思うが・・・)。出雲市と大社を結んでいたわずか7.5qの大社線。もし、この路線が、独立せず、山陰本線の枝線であったら廃止の憂き目に合う事もなかったかもしれない。国鉄、JRの路線廃止基準は路線単位の輸送密度で計算されていた。
このような立派な駅舎が残されたのは嬉しい。この日も、車で大勢の観光客がやってきていた。中には団体さんもいた。観光施設としては、中途半端な博物館よりよっぽど素敵だ。しかし、列車の来ない駅は寂しい・・・。保存されてはいるが、朽ちてしまったD51型蒸気機関車に対する印象と同様、何か寂寥感が残った大社駅であった。
立派すぎる駅 | |
まるで博物館 | |
奥が団体専用出口 | |
今にも列車が来るような錯覚を覚える | |
D51と大社線は結びつかないような気もするが・・・ | |
晩年の時刻表(もう急行列車の乗り入れは無い) | |
この因幡の白兎はお遊びか・・・ |