●戸井線&汐首岬
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汐首岬灯台を目指して車を走らせて、目的地に到達しようとした時、芸術的なコンクリートアーチ橋が現れた。目的の汐首灯台はそのアーチの上に鎮座していた。予備知識として戸井線の存在はあったが、突然、予想もしていなかった遺構の出現に、灯台モードだった私は少々混乱した。戸井線とは、戦時中の1943年に工事が中断された未成線である。
当時、北海道と本州を結ぶメインルートは青函連絡線だったが、第二のルートとして、本州最北端の大間と、北海道の戸井を結ぶ最短ルートの連絡線計画があった。そのアプローチとして北海道側は戸井線、本州側は大間線がアプローチ鉄道として建設が進んでいた。戦時中の物資不足により建設は中断された。そして、元々軍事目的でもあった事も理由のひとつだろうが、戦後に建設が再開される事は無かった。戸井線同様に下北半島では大間線の未成線が遺構として見る事が出来る。
灯台と鉄道の組み合わせは増毛灯台が思い浮かぶが、遺構と灯台の組み合わせは、他では北見神威岬灯台と興浜北線跡ぐらいではないだろうか。その灯台であるが、1893年(明治26年)初点灯という歴史的灯台である。1958年(昭和33年)に改築はされているようだが、歴史的な重さは感じる。灯台は一般的に屋根に丸みがあるのだが、これはまさに円錐型でユニークである。
北海道で一番本州に近い岬であるが、静かな漁村があるだけで、灯台も山の高台にある為に気がつかない人も多いだろう。この辺りは要塞化する計画であったと聞く、今の静かな岬を見ていると平和が一番・・・と思う。
遺構と灯台 | |
開通していたら、灯台間近を列車は通ったはず | |
灯台までの道は険しい | |
遺構の橋脚と灯台 | |
本州を睨む | |
官舎も残り、立派な灯台だった | |
至る所に残る戸井線跡、使われないトンネルが哀れ・・・ |