●函館本線(山線)
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現在、函館から札幌へ向かう鉄道ルートは函館本線、室蘭本線といった、通称「海」線経由である。しかし、かつては峠を越えて小樽へ抜けるルートがメインルートだった。現在は、優等列車1本すら走らないこのローカル線だが、私が北海道旅行に夢中になっていた頃はまだ特急・急行列車や夜行列車もあり、特に夜行列車にはお世話になった。
函館発札幌行きの夜行列車といえば鈍行夜行列車が有名だった。高校生の頃、時刻表を見ていたら荷物列車と間に埋もれたダイヤを発見。乗ってみたいと思った。客車列車だという事だから、懐かしい旧型客車を何両もつないだ旅情溢れる旅が出来ると思った。後で知ったのだが、これは旅客列車というより荷物列車であって、客車はおまけ程度に連結したものだった。
何度か鈍行夜行列車にはお世話になった。茶色の客車が青くなったりしたり、カーペットカーが連結されたり、変化はあったが、基本的に寝苦しい辛い旅であったのは事実だった。しかし、居住性は悪くとも、旅情という点では今のどの夜行列車よりもあったと思う。山線では臨時ではあったが、急行「ニセコ」にも乗った事もあった。また、いつの頃かは書かないが、機関車に添乗させて貰った事もあった。おそらく、あのディーゼル機関車に乗った一般人は少ないだろう。本当は駄目なのだろうが、もう時効だろう・・・。
今の山線は、レールバス然としたワンマンディーゼルカーが日に数本走っているに過ぎない。そこにはかつての本線だった面影は無い。
1983年8月9日
初めての北海道、連絡線を降りて23時55分発の列車に向かう。荷物車両が延々と続き、漸く客車が現れた。荷物車5両に対して客車3両、うち1両が戦前製の茶色の客車で、車内は木で出来ていてニスで塗られていて飴色に輝いている。大昔の旅のようだが、混雑もしていて旅情を味わうどころではなかった。列車が古いせいもあるが、客層も裕福そうには見えず、斜め向かいの疲れた感じの姉弟が気になる。真っ暗な噴火湾に沿って長万部、そして山線に入る。夜が明けると車窓は朝もやに包まれた原生林の中を走っている。北海道へ来たんだと思った。車窓は素晴らしいが、車内は相変わらずパッとせず、眠れない貧乏旅行者が時刻表を眺めていたりしていた。
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初めて乗った旧型客車夜行列車(画質の悪さはご容赦を) |
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茶色の客車が渋かった |
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これは上り列車の函館着時 |
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小樽を出ると快速列車 |
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最後は青い客車になってしまった |
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音威子府で夜が明け始めてくる |
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カーペット車も連結されていた |