●湧網線
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オホーツク沿岸のローカル線。サロマ湖、能取湖、網走湖の沿線、それも水面ギリギリを走るために車窓日本一と評する人も多く、人気路線だった。89.8qの旅は変化に富んで楽しいものだった。
84年夏初めて訪れた。車内では廃止保留を訴えるための乗車実数調査が行われていた。アンケートに応じたので若い調査員はサロマ湖のパンフレットをくれた。朝5時03分、定刻に発車した老朽気動車はノンビリ走る。全開に空けた窓から夏の朝の爽やかな空気を入ってくる。突然、目の前にパァーっとサロマ湖が広がった。サロマ湖・・・流石、日本で2番目に大きい湖らしく水平線が見える。湖といってもオホーツク海と繋がっている潟湖である。波ひとつない水面に朝日が反射してキラキラ輝いている。列車は水面スレスレ、それこそギリギリのところを走る。この大自然を全身的な感覚で受け止める。この感覚を表現する言葉が思い浮かばない。眠気が一気に吹き飛んだ。
86年に乗った時は、すでに廃止が確定的になっていた。シーズンなので観光客で車内は活気があった。「廃止になるなんて勿体無いね」若い二人づれの女の子が呟いたのが印象的。
観光鉄道として残そう、様々な案が鉄道ファンの上で語られたが、残念ながら1987年3月19日。天北線、名寄本線とともに廃止されてしまい、オホーツク沿岸鉄道の夢は完成間近で散ってしまった。
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列車交換(殆どがこの形式の気動車だった) |
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サロマ湖が広がる車窓 |
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無人駅で降りてみたりもした |
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原生林の中で遠ざかる列車を見送った |
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シーズンは観光客で溢れていた |
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計呂地駅で |