●川原湯温泉
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まるで古い温泉宿のような共同浴場「王湯」。源泉かけ流しの湯は本当に気持ちいい。露店風呂で景色を眺めるのもいいが、内湯も大きくお気に入りだった。吹き抜けの階上のテラスにある脱衣所から階段を下りて大きな浴槽に向かう。谷に向かって窓が開いており、開放的で、気持の良さは露天風呂と変わらない。すっかりリフレッシュできた。さて帰る事としよう。山道の温泉街を下り駅に向かう。温泉宿は沢山あるが、何処も空家になっている。場所によっては取り壊しも進んでいる。郵便局があった。ここも廃墟かと思って近づくと、能年怜奈さんのポスターが貼ってあった。当時の、「かんぽ生命」の新キャンペーン用のポスターである。家は殆ど無いが、まだ集落は無くなっていなかった。
八ッ場ダムの計画は、民主党政権時に一度中止になったが、自民党政権化で復活した。温泉街を潰してしまった以上、もう中止は出来ないと思っていた。ここを走る吾妻線も新線に切り替える事が決まっており、川原湯温泉駅も廃止される事になる。まだ正式な発表前の2013年であったが、旧線を走る吾妻線を撮りたくて訪問した。そして不動大橋から眺める景色を見てやみつきになった。
流れは早いが、山奥で狭い川幅の吾妻川。谷に集落があったので小さな橋がかかっていた。しかし、ここがダムに沈むと、川(湖)を越える為には大きな橋が必要になる。谷の高い所につけ変わった道路に接続する橋はまるで空中を行くような迫力があった。私が訪れた時は2本が完成していたが、最終的には3本建設される事になっている。本当に3本も必要かどうかはともかく、谷を俯瞰できる眺めは、高所恐怖症の人でなくても怖いかもしれない。
王湯は何か強い意志を持って、他の温泉が店じまいしても、最後の1件だけが営業しているのかと思ったが、新しく作られた代替地で営業を再開したと聞く。あの気持良い温泉に入れないのは残念だが、新しい温泉にもいつか訪れてみたいものだ。2014年9月24日、吾妻線の川原湯温泉駅は思い出になってしまった。新線は殆どトンネルで景色を期待する事はできないらしい。
不動大橋(湖面2号橋)から眺める四季。 | |
吾妻線の新線切替区間を走る車両 現在ここは廃線されてしまった。 国鉄車両ばかりであったが、切替前の半年間だけはJR東日本初の特急車両が走った。 |
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川原湯温泉駅は営業していたが、訪れた頃は温泉街で営業している宿は無く、下車する人も疎らだった。 16時まで切符の販売を窓口で行っていた。入場券を求めてギリギリに行くと、端末の電源を既に落としてしまっており買えない事も度々あった。 駅の上に聳えるのが、建設中の八ツ場大橋(湖面1号橋)。ここから吾妻線を撮影したかったが、新線への切替日に開通した。 |
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列車の交換駅でもあり、国鉄型車両が行き交っていた。 | |
最後まで残っていた共同浴場「王湯」 源泉かけ流しの感じのよい温泉だった。 露天風呂は当然であるが、内湯も開放的だった。 「王湯」で玉子を買えば、川原湯神社付近の源泉で温泉玉子を作る事も出来た。 |