●特急「草津」
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1969年(昭和44年)の吾妻線の時刻表を見ると、5往復の定期急行に、1往復の臨時急行が運行されている事がわかった。2014年(平成26年)現在、2往復の定期特急に、1往復の臨時列車の運行となっている。最盛期の半分である。全国、何処にでもあるようなローカル線であるが、この路線に注目したのは、八ッ場ダム建設に伴う一部路線の付け替えが迫っていたからであった。
吾妻線を代表するものといえば樽沢トンネル。このトンネルは日本最短として知られているが、付け替え区間に存在しているので、やがて消えてしまう運命にあった。このトンネルも含めて、付け替え区間は、吾妻渓谷を車窓から眺める事ができる絶景区間である。新線は殆どがトンネルなので、今のうちに絶景を列車から堪能しててみたい。そして、やはりこの路線のエースである特急「草津」に乗ってみたかった。
特急「草津」で活躍していたのは、普通列車から特急まで運用できる汎用車両である185系だったが、防音も不十分で、中途半端間は否めなかった。ところが、2014年3月のダイヤ改正で「スーパーひたち」を引退した651系に置き換えられた。バブル時代に製作されたこの列車は豪華な作りが特徴であり、快適な旅が出来ると喜んだが、折角の豪華な設備も、かなり傷んでいるのが残念だった。特急「草津」への充当の為に機器は更新されていたが、車内は手をつけなかったようだ。長く使う意図が無いのかもしれないと思った。
終点の万座・鹿沢口駅の駅前にはバス乗り場が整備されており、バスターミナルの様相を呈していた。しかし、ここに乗り入れるバスは少なく、もはや温泉への玄関口としての機能を失っていた。徒歩圏内に日帰り温泉もなく、食事をする場所も見当たらなかった。吾妻線が、万座・鹿沢口駅まで伸びたのは1971年(昭和49年)であるが、当時は賑やかだったのだろう。
急行から格上げ後、新特急という不思議な列車種別を経て、特急草津に統一された。急行と特急の中間に位置する列車だった。 車両も185系が使われていたが特急型車両としてはイマイチだった。晩年は、色々な塗装が施されて楽しかった。 |
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路線付け替えで廃止された川原湯温泉駅を出発する、かつての常磐線特急(左)。この区間をこの車両が走ったのは僅か半年間だけであった。 樽沢トンネルの全長は7.2m。ここは水没はしないが、新線に置換えられる。列車に乗っていると、あまりに一瞬なので気がつかない事が多々あった(右下)。 特急草津から眺めた新線。まるで新幹線のような立派な構造であるが、殆どがトンネルのようだ(下)。 |
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特急草津のグリーン車から眺める吾妻渓谷(左)。 廃止される旧道の橋と、その付け替えの橋が車窓からみえた。規模の違いに唖然(左下) |
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万座・鹿沢口駅は、駅前こそバスターミナルになっているが、肝心のバスは左の通り・・・・。 かつて走っていたバスの時刻表の場所に、写真が飾られている。かつては賑わっていたのだろうが、あまりに寂しい。駅が近代的で新しいだけに余計に空しさを感じる。 鹿島神宮駅と似ているような気がする。 |