●箱根登山鉄道(強羅口)
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小田原から乗車した強羅行きの登山電車は、日中、最後の小田原乗り入れの登山電車であった。モハ1型と呼ばれる旧型車は1950年(昭和25年)製造の車両。半世紀前から活躍している車両だ。箱根湯本で降りるつもりだったが、この古い電車が来た事で、終点の強羅まで行く事に決めた。
釣り掛け駆動の重々しい走行音、オンボロ電車が急勾配を駆け上がってゆく・・・。時には、室内照明が蛍光灯ではなく、白熱灯・・・。オレンジ色の暖かく懐かしいで包まれているものさえあった。一方、景色は素晴らしいが、車内は行楽客で満員で、まるで通勤電車・・・。これが子供の頃から慣れ親しんだ箱根登山鉄道のイメージだった。しかし、2006年、小田原への乗り入れも廃止され、走る列車も昭和後期から平成にかけての新型車に変わってしまった。
箱根湯元を出ると、いきなり80‰という粘着鉄道では最高の急勾配に挑む。途中には3箇所のスイッチバックも存在し、山岳鉄道の魅力が凝縮されたような区間を進む。これだけ、魅力があるのに、今まで珍しさを感じなかった。写真すら撮ってこなかった。箱根は、首都圏在住者には庭みたいな所。あまりにも日常的すぎたからだろうか・・・。しかし、10年ほど前から、箱根に行っても、電車よりも自動車を利用するようになってしまった。
鉄橋、トンネル、急カーブ、スイッチバックを繰り返し、列車はゆっくり上って行く。急カーブではレイルと車輪の磨耗を防ぐために水を撒く。他の鉄道では絶対に味わえない体験が出来る。トップシーズンは、駅は長蛇の列・・・。乗車できるまで何本も列車を見送らねばならないほど込み合っていた登山鉄道、今でもこれほど乗っているのだろうか。
箱根湯元でロマンスカーの乗客を引き受ける | |
通ってきた鉄橋が見える 上大平台信号場 |
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スイッチバック駅に上下列車が同時進入する時、急勾配を実感できる | |
片側は崖 | |
強羅駅で入れ替え中 | |
給水して下り勾配に備える |