●秩父鉄道直通西武電車
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西武沿線に住んでいて、夕方、都心に向かおうとすると、2ドアの電車がやってくる事があった。都心で4人がけのボックスシート車両に乗れるのを喜んだが、これは1989年から始まった、西武鉄道と秩父鉄道との直通電車である。ハイキング急行と呼ばれた週末運転の快速急行電車の流れを受けついだ、特別料金不要の優等列車であった。秩父線で使われる2ドアボックスシート車両が使われていて、まるで国鉄急行電車のようでもあった。
使用されていた4000系も老朽化し、ホームドアの導入により4ドア車両以外の運行が難しくなってきた昨今、いつか車両が変わるのではと思っていたが、まさかの池袋乗り入れ廃止がアナウンスされた。秩父鉄道乗り入れ列車の乗車体験は、2013年に、長瀞駅から飯能駅まで乗車した事はあったが乗りとおした事はなかった。廃止直前であるが、2020年2月23日に池袋駅から三峰口駅まで乗車してみた。
西武秩父駅のひとつ手前の横瀬駅で、長瀞行きを分離し、西武秩父駅でスイッチバックして秩父鉄道に乗り入れる。長瀞行きは、西武秩父駅横の連絡線を通って秩父鉄道に乗り入れる。変わった運行形態であるが、この乗り入れ、週末2本(平日は2021年に廃止)のみに留まっている。いつか、無くなるのではと心配している。
西武線内、所沢付近までの利用客も多く、ボックスシート車両に違和感があったが、スイッチバックで飯能を出て進行方向が変わると、山岳区間となり車両と景色がマッチしたような感じになる。長瀞行きを分離して、西武秩父駅で2度目のスイッチバックを行う。この間に、すぐ横の連絡線を長瀞行きが駆け抜けていった。この日は長瀞行きよりも、三峰口行きの方が乗客は多かった。秩父鉄道に乗り入れると、列車の歩みは遅くなり、ローカルムードはさらに深まった。
隣を流れる荒川の渓谷は深くなり、いよいよ終点の三峰口に到着する。池袋駅からの所要時間は2時間12分。実にのりごたえがあって楽しい列車であった。2020年のダイヤ改正以降は、飯能発の普通列車として運行されるが、いつまで走る事ができるのだろうか。
池袋駅に回送電車としてやってくる。ホームドアの無い7番線に入り、客扱いを行う。行燈式の電光掲示版に、秩父鉄道の長瀞、三峰口方面が点灯する。 | |
西武池袋線を8両編成で下ってゆく。下り電車は快速急行として、上り電車は急行電車であるのが特徴であった。 途中、横瀬駅まで長瀞編成と三峰口編成が併結されて運行される。西武鉄道の分割併合運転も、すっかり数を減らしてしまった。 |
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秩父鉄道に入ると、ローカル色が濃くなる。駅舎も古く、あきらかに違う鉄道路線だと感じる。 終点三峰口。三峰神社に向かうバスに乗り換えるが、バスは西武鉄道の終点、西武秩父駅が出発地点であり、途中で、三峰口駅に立ち寄る運行である。したがって、この駅まで電車で来なくても三峰神社には行く事ができる。 夕方の上り電車の運行まで、1編成はこの駅で待機、、もう1編成は影森駅まで回送され留置されるようだった。 |
上り電車は、急行電車として運行される。飯能駅で、快速急行に接続する為に、この運用になっていた。2020年当時、夕方の上りは、一般車使用の快速急行電車もあり、充実していた。2022年現在、特別料金不要の池袋直通電車は運行されていない。
夕方の上り電車。 三峰口方面からやってきた池袋行きは、西武秩父駅に入りスイッチバックする。乗車率は結構高かった。 長瀞からやってくる編成は、その脇を通過して次の横瀬駅まで先行する。この電車の通過を待って、三峰口編成は出発する。 |
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横瀬駅で先に到着した長瀞編成と併結して、8両で池袋を目指す。2013年に撮影した際はあまり注目する人はいなかったが、2020年の際は、併結風景を撮影する人が多かった。 下の写真は黒目川を渡る急行電車。 右下、運行最終日、石神井公園駅で電車を見送った。新型コロナの感染者が増え、不要不急の外出自粛が呼びかけられ、電車に乗る事は控えて、静かに見送る事とした。 |
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