●西武多摩川線
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10両編成の中央線を降りて隣の電車に乗り換える。目前に止まっている電車だが、一度改札口を出る為に階段を昇降しなければならない。かつては同一ホームで対面乗り換えが出来たのだが、高架化とともに利便性が失われてしまった。走り出した電車は真っ白な車体の4両編成。ワンマンカーなのが、この路線がローカル線だという事を物語っている。電車は高架を降りて単線の路線を進む。雰囲気は地方私鉄であるが、西武多摩川線。大手私鉄の支線である。
多摩川線は西武鉄道の支線ではあるが、他の西武線とは接続が無い。多摩川の砂利運搬用に造られた路線で、西武鉄道ではなかった。大手私鉄のローカル線はこのように小さな私鉄を買収したものが多い。それにしても、真っ白な車体色といい、雰囲気といい、他の西武線とはかけ離れている。多摩丘陵を切通し、築堤で真っ直ぐに突き抜け多摩川を目指す。野川公園付近では小川や武蔵野の面影を残す林が広がり、本当に田舎に来た気がする。
多摩川線に乗るのは3回目である。初めて乗った時は赤電と言われた旧型電車ばかりで、うらびれた地方ローカル私鉄の雰囲気であった。車両は変わったが、今でもこの車両は本線のお古である事に変わりは無い。この路線に馴染んでしまい、都会に乗り入れていた姿を彷彿する事ができない。もっとも、西武鉄道の90年代までの車両は田舎臭く、都会で浮いている雰囲気ではあったが。
新小金井駅で途中下車してみる。構内踏切があり、駅前も昭和を感じる商店街を眺めていると30年ぐらい前にタイムスリップしたような感じがする。雰囲気に浸っていると、真っ黒に日焼けした部活帰りの高校生の自転車がガタガタと踏切を越えて行く音にハッとした。20年以上昔の自分の姿を重ねてしまった。
新小金井駅、構内踏切がローカル線チック。ホームの屋根の末端がギザギザになっているのが西武らしい。しかし、最近ではこの屋根を残す駅は残り僅かになっている。 | |
新小金井駅前、21世紀とは思えない・・・。首都圏の中央線沿線でもこの雰囲気である。ただし活気は感じられなかった。 | |
多摩川線に乗って気がついたが、各駅では駅員が改札口に立って接客している。非接触型IC(パスモ)対応には対応しているが、駅員は事務所を出て改札口で乗客に声をかけている。昔は当たり前のこの光景は、自動改札全盛の今、駅員は事務所に閉じこもるケースが多い。その光景ひとつとってもローカル私鉄そのものである。 | |
電車の横の建物に注目。うなぎの寝床・・・・。建物の中が気になった。 | |
夏だなぁ・・・という風景。この写真が撮りたくて、天気の良い夏に訪れたのだ。ちなみに走る電車は、4編成あり、春、夏、秋、冬、とネーミングされており、季節にちなんだイラストが描かれている。折角なら色もそれぞれ変えれば良かったのに・・・と思う。しかし、車両の色ひとつとっても他の西武線とは文化が異なっている。 | |
野川公園から見る。 | |
線路の上を高圧線が走るのが多摩川線の特徴。 | |
競艇場前駅では線路が外され、列車のすれ違いが出来なくなった。地方では合理化の為、列車交換施設を撤去するケースが多いが、こんな首都圏でも・・・。 |