●大師線(西新井大師)
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梅雨の雨は激しさを増し、西新井大師の仲見世通りは人影も疎らだった。関東三大師とは思えぬほど静かで、傘を打つ雨音ばかりが気になった。若い女性が独り、山門を入った所で水晶の上に手を乗せ、お坊さんに占いをしてもらっていた。独りで来ているところをみると、何か強い思いがあるのだろうか・・・。やがて本堂に辿りついたが、改修工事中という事で扉が閉じられており、ご本尊を本堂で垣間見る事すらできなかった。
関東に育ったので、西新井大師の名前くらいは知っていたが、実際に訪ねるのは初めてであった。信仰というものを抜きに、お寺や神社のお庭を散策するのは心が休まるものである。ふたつの池や藤棚を眺めつつお庭を一周する。雨が降っている事で落ち着いた感じになり、極楽浄土という雰囲気がより感じられる。広い境内を散策し、やがて東武鉄道の「西新井大師駅」に到達する。正月は大賑わいであろう駅も今日は静かであった。
東武大師線は「西新井駅」と「大師前駅」を結ぶ僅か1駅、1qの盲腸線である。「大師前駅」は高架線の立派な駅であるが、無人駅である。構内への入口には、今となっては懐かしい有人改札口のボックスはあるが、駅員の姿は無い。IC乗車券のタッチパネルも無い。なんと券売機すら無い。しかし、駅構内には売店もあるし、駅ビルは、それなりに機能している。何とも不思議な駅である。
広い構内とホームに到着したのは僅か2両編成の電車。完全に都会のローカル線の風情だが、正月は人で溢れるに違いない。電車はあっという間に西新井駅に到着する。本線である東武伊勢崎線の乗り換え駅だ。ここに改札口があって、料金を徴収される。珍しいシステムではあるが、部外者は戸惑うに違いない。大師線は板橋まで延びる計画があったそうだが、「大師前駅」から先に延ばす夢は諦めたらしい。このようなローカル線が多い事が東武鉄道の魅力でもある。
ちょっと寂しい仲見世通り | |
本堂は工事中 | |
お庭は素敵だった | |
大師前駅 | |
窓口は全て閉鎖されていた | |
使われない改札口 | |
電車は2両編成 |