●さくら新道

・2013年3月31日  作成
  
訪れた日 2012年1月21日
 

ヘリコプターの音、消防車の音で目が覚めた。休日出勤の為、駅前まで歩いてみると数え切れないぐらいの消防車。よく見てみると馴染みのあった長屋が焼失していた。私が出勤する頃には、電車は運行を再開していたが、火災が起きた直後は5時間ストップしたらしい。

「さくら新道」は東京都北区の王子駅と飛鳥山公園の間の狭い路地にあった飲食街である。戦後の闇市をルーツに持つ木造長屋に小さな呑み屋が連なっていた。ここを悪く言う人もいたが、昭和の面影を残しているという事で多くの人に愛されていた。ネットや雑誌でも多くの人が語っている。

外から見る分にはノスタルジックで面白いのであるが、実際にここに呑みに行くのは勇気がいった。子供の頃から馴染みのある場所であるが、ナゾの場所であった。どの店も小さく、一見さんが気軽に入れるような雰囲気ではなかった。勇気をもって、連れと一緒に、そのうちの一軒の暖簾をくぐったのは2007年の初夏であった。

小ぢんまりしていて、料理も美味しく楽しかったのであるが、私達が訪れたために入れなかった常連さんがいたりして、やはり一見さんには敷居が高かったような気がする。訪れたのはその1回だけであるが、風景として、ずっとそこにあると安心できる景色だった。

火災で3棟あった長屋(つながっているように見えたので、建物が分かれていたのは後で知った)は2棟焼失。今の消防法では認められない建物で、再建の可能性は不可能である。不謹慎ながら、焼いたのは北区ではないか・・・なんて思ってしまった。火災で死亡者が出なかったのは不幸中の幸いなのかもしれない。


王子駅から見た「さくら新道」、暫く燃え跡のまま残っていて無残な感じだったが、今は片付けられた。
2008年の春に撮影した昼間の「さくら新道」。
ここの本当の魅力は夜であるが、昼間に撮影する人も少なくなかった。
焼け跡からお地蔵様が現れた。てっきり今回の火災で出来たお地蔵様だと思ったが、実は火災の前から存在していた。しかし、このお地蔵様には住民でないと近づけない。
火災の後もネオンに燈は入っていたが、今では点灯される事はない。もう一度、点灯した姿を見てみたい・・・。

http://www2s.biglobe.ne.jp/~kurume/my_hp.gif (6911 バイト)


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