●等々力渓谷
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谷には川が流れ、深い木々に包まれてマイナスイオンに溢れていた。まるで、ハイキングでもしている気分であるが、ここは東京都世田谷区。住宅密集地のど真ん中に存在する異空間である。
等々力渓谷は多摩丘陵を流れる谷沢川によって削られた沢である。周りは住宅地であるが、急斜面であるので宅地化されずに武蔵野の雑木林の景観が残った。過去には、生活排水も流れ込み、一時は相当汚染されたらしい。地元の人はドブ川と呼んでいた。しかし、近年は整備され、清水を取り戻し、公園化された。川と渓谷ならば私の地元の音無親水公園にもあるが規模が小さい。等々力渓谷は延長1㎞もあり、渓谷として相応しい規模を誇っている。
等々力渓谷付近は多摩丘陵が多摩川を見下ろす場所で、五島美術館のある上野毛の日本庭園は、素晴らしい景観である。日本庭園には、人工の山などを造ったりするが、ここは自然の丘陵地を活かしている。大阪と違い、東京の西側は起伏に富んでいて実に楽しい。東京23区と一括りにしてはいけないのかもしれない。
等々力駅の駅舎は線路に挟まれている。珍しい構造であるが、必ず踏切を渡らねばならない構造で利用客だったら不便を感じるかもしれない。電車に乗ろうとしたら踏切に邪魔され、乗りたい電車が踏み切りを通過してゆく。踏切が空くとともにダッシュする光景が目に浮かぶ。ICカードならば間に合うかもしれないが、切符を購入していた時代なら間に合わなかっただろう。 | |
大井町線は東急においては都会のローカル線にあたると思う。車両も東横線で用済みになった車両がまわってくる。この車両も、かつて東横線で活躍していた形式である。 田園都市線の混雑救済の為に登場した急行は新造車両が充てられているが、編成が長いので等々力のような大井町線のホーム長の短い駅には止まれない。あれはあくまでも田園都市線であり、大井町線内のローカル輸送はは古い電車が頑張っていると思ってよい。 それにしても、田園都市線や東横線の新鋭車両だと思っていた9000系が、本線を追われて短編成化されてここで活躍している姿を見て、少し悲しくなった。 |
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紅葉を見たくて訪れたのであるが、ちょっと早かったようだ。この景色が住宅地のど真ん中にあるとはにわかに信じられない。 | |
川沿いを歩くと、本当に山奥にハイキングにでも来たような気になる。 | |
稲荷、弁天、祠が沢山あるのも等々力渓谷の魅力でもある。 | |
等々力渓谷内でもっとも厳かな雰囲気のある等々力不動尊。不動の滝から山道を登ってゆくと現れる。もっとも一般道にも面していて、普通に参拝するならわざわざ渓谷から登ってきたりしないだろう。 |