別府(べふ)鉄道は兵庫県にあり、九州の「べっぷ」とは関係ない。別府港と山陽本線の土山駅を結ぶ4.0kmの土山線と、別府港と国鉄高砂線の野口駅を結ぶ3.6kmの野口線で形成されていた。特に、土山線は貨物と混合列車で運行されていて、客車はなんと1926年に製造。神中鉄道(現在の相模鉄道)のハ24として生まれたオープンデッキ、ダブルルーフ、ニ軸貨車同然の車体構造、とまるで玩具のような客車で運転されていた。貨物輸送が減り、主力である高砂線も、接続する国鉄高砂線が廃止決定され、とうとう1984年に廃止されてしまった。
山陽電鉄の別府駅と野口線の別府口駅が近い事を知っていたので、山陽電鉄でやってきたが遅れてしまい、駅は何処かと探していると野口線のピンク色の気動車が走ってゆくのが見えた。慌てて気動車を追い、なんとか乗せてもらう。野口線の気動車は2種類あって、前後にバスケットがついている車両もあったのだが、乗れたのは普通の車両だった・・・と言ってもどこか国鉄の気動車と違う感じがした。野口で折り返し、別府港へ、ここからお目当ての土山線に乗るわけだが、黒い貨車に繋がれた小さな客車はまるで車掌車だ。おまけにホームから出発せず、駅から1本線路を跨いだ側線から出発する。乗客は線路を横断して直接乗り込むのだ。走り始めてみると、歩く速度と同じと言っても良いくらい遅かった。そして、土山駅に到着直前、車掌さんが丸い手ブレーキハンドルをクルクルまわしてブレーキをかけていたのには驚いた。
母の実家が兵庫にあったので当時、中学生だった子供でもこのようなメルベンチックな鉄道を訪れる事が出来た。また、この時、撮影に使ったのは祖父のカメラで、露出計で計測してからメモリを合わせる超マニュアルカメラで、露出計が壊れていたのか、すべて露出不測で映りが悪かった。20年以上もたってからネガスキャナで取り込んで、初めて色が出て少し感動した。
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野口線の車内 |
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野口駅着 |
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折り返し |
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別府港 |
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土山線車内(現役客車とは思えない) |
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土山着(貨物と切り離され、駅に放置?される) |
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手ブレーキと手荷物 |

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