伊賀鉄道

2012年9月8日作成
訪れた日 2011年12月11日
 

「この辺で見所をまわって、伊賀上野駅までお願いします。」「見所なんてないよ・・・。」伊賀鉄道の上野駅から乗車したタクシー運転士とのやりとりである。忍者屋敷の街並みを期待していた私はガッカリである。そして、もう少しなんとか言い方はないものかと思った。真っ直ぐに行きたい運転士を説き伏せて、なんとか数箇所、古い街並みをまわってもらったが、気分はあまり良くない。

伊賀鉄道は昔の近鉄伊賀線である。近鉄は赤字ローカル線を子会社化したり、譲渡したり、徹底した合理化を行っていた。たしかに赤字線を大手私鉄の傘下に置いておくよりも、子会社化した方が地元から支援頂けたり、税金上でも良い事も判る。しかし、伊賀鉄道になって導入された車両が近鉄の中古ではなく、東急の中古車というのはわざわざ東京から来た身には残念である。

関西本線の乗り換え駅、伊賀上野駅は、JRが大きな構内と、長いプラットフォームを備えた立派な駅なのに対して、伊賀鉄道は端にチョコンと間借りしているようだった。しかし、JRは16m級のバス並み小型ディーゼルカー単行なのに対して、伊賀鉄道は電車2両編成である。これはJRの凋落ぶりが伊賀鉄道を上回った結果であろう。走り出すと、小さな駅をこまめに拾い、すぐに中心地である上野駅に到着する。忍者で有名な伊賀市の中心はこちらである。

ここで電車を乗り換えて、さらに先に進み近鉄との乗り換え駅である伊賀神戸駅に向かう。車窓には水田が広がる盆地が広がるが、初冬のこの季節は色が無く、ススキが揺れるだけで少し寂しい。近鉄と接続する伊賀神戸駅は、JRと接続する伊賀上野駅よりも遥かに活気があり、本線の特急電車などが賑やかに行き交っていた。

伊賀鉄道の車両は、忍者のラッピング塗装がされており、忍者の里を走る電車らしい。しかし、博物館にでも行かなければ忍者の里を感じる事はできないようだ。それでも四方を山に囲まれた小さな盆地、総延長16.6qの小さな地方鉄道、これらの響きだけでミステリアスに感じてしまう。


車窓右手に上野城が見える。模擬天守閣であるが、付近一帯は上野公園として整備されているとの事。伊賀は松雄芭蕉の生誕の地でもあり、記念館もあるとか。
主力車両だった860系。引退間近である。かつては奈良線の特急車両で、狭軌化して対応した。半世紀前の電車である。18m旧の狭軌車両なんて近鉄は持っていないから、東急の中古が来る事になったのであろう。特急日本海が遅れなければ、この電車に乗れた筈なのに・・・・。
伊賀上野駅。忍者の里らしい工夫がある。
伊賀上野駅はお洒落な感じでいい雰囲気。
街はこんな感じ。古い街並みを維持しようという努力は感じられる。
伊賀鉄道の電車は忍者電車と呼ばれているものがある。松本零士氏の描く「くノ一」がラッピングされている。
夕日に浮かぶ860系。やはりこちらの方が格好良い。
伊賀上野駅で乗客を待つ伊賀鉄道の電車。JRからの乗り継ぎ客を待っている。街の中心地である上野はこちらが近いが、JRの駅からバスやタクシーで直接向かった方が便利に思える。

http://www2s.biglobe.ne.jp/~kurume/my_hp.gif (6911 バイト)


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