●特急「くろしお」
|
すでに夕方の雰囲気の白浜駅。紀勢本線のエース、特急「くろしお」が入線してきた。1978年から活躍している国鉄型、381系である。色々な特急列車で乗車した事はあるが、「くろしお」としては初めてである。私が以前に乗車したのは、電化前の気動車特急時代だった。ブルドックと呼ばれたキハ81形が運用されていた筈だが、記憶は曖昧である。
紀勢本線の西側が電化されたのが1978年、この時に導入された381系は、振り子式電車と呼ばれ、カーブを高速で走る事が出来る特急電車で、天王寺駅と新宮間は30分の時間短縮が出来た(3時間53分)。その後、さらに高速化された(3時間38分、3時間26分)。老朽化した381系の置換えは、どんな高性能車両になるかと期待していたが、何と非振り子式となった。これにより、5分程度速度が遅くなってしまった。現在の最高速列車はこの区間を3時間48分で結んでいる。製造コストの問題もあるかもしれないが、性能としては一歩後退したような印象を感じる。
17時32分、西日の中を列車はゆっくりと走り出した。小さな入り江をトレースするようにゆっくりとした歩みである。紀勢本線はこのようにカーブが多いので振り子式が採用されている。自然振り子式で、乗り心地が悪いと言われている381系であるが、このぐらいの速度であれば問題は感じなかった。小さな漁村が続く景色は楽しく、改めて日中にこの路線を走破したいと思った。
白浜駅から先は、急に速度があがり快足を飛ばす。ただし、非振り子式に合わせたダイヤ設定なので、最速時代からは速度を落として運転しているようだ。それでも振り子装置は作動されているようで、カーブでは大きく車体が傾く。特急「しなの」では気持悪くなったこの方式であるが、今日は問題なかった。
車窓は真っ暗だが、コンビナートなどの明かりが目立つようになる。「くろしお」にはビジネス利用客も多いのだろうか。千葉県の内房線を思い出した。あちらの特急列車は壊滅状態になったが、果たして「くろしお」はどうなるのだろうか。20時50分和歌山駅着。このまま新大阪駅まで乗り通しても、今日の最終新幹線には乗れない。この駅で降りて、明日ゆっくりと帰京する事とする。
新宮駅には、名古屋を結ぶ「南紀」もやってくる。紀勢本線はJR西日本区間とJR東海区間があり、この新宮駅で分割されている。JR東海区間は非電化である。 | |
車窓の入り江は素晴らしい。夕方で暗くなりつつあるのが残念。 ちなみに17時32分発の「くろしお」34号は上り最終列車である。かつては夜行列車もあったが・・・。 |
|
指定席にはパンダシートが設置されている。この席は記念撮影用で販売されていない。381系の引退とともに、この席も無くなってしまう。 白浜駅で増結する。幌もつながないのは作業を容易にする為の対応のようだ。 和歌山駅で下車(右下)した為、列車を乗りとおす事はできなかった。 |
|