●三木鉄道
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三木鉄道はJR加古川線のホームを間借りしたような場所から出発する。専用の駅舎も無く、元国鉄の第三セクターのローカル線の始発駅とは何処も同じような感じである。まるでJRに対して遠慮したように見える。しかし、JRとの線路は分断されてしまい、乗り入れる事も出来ない。国鉄時代にはあった加古川線直通列車も設定不能となり、利便性は損なわれた。電化されテコ入れされた加古川線と対照的である。生命線を絶たれた枝線は枯れるのを待つしか無かった・・・。
僅か1両のディーゼルカーに数える程しか乗らない乗客を乗せて「厄神」駅を出発した列車は刈り取られた田んぼの中を淡々と走ってゆく。沿線には住宅も少なくは無いが、恐らく鉄道を必要としていないのであろう。かつて駅員がいたであろう古い駅舎を持つ駅もあったが、沿線の駅は全て無人駅である。交換設備も撤去されてしまっている。営業距離も6.6q、僅か13分で終点「三木」駅に到着する。呆気なく、地味な鉄道であった。
「三木」駅は、神戸電鉄の「三木」駅と800mも離れている。接続駅だと勘違いしていたスーツ姿のOLが駅員からその旨告げられると、真っ青になり大慌てで走ってゆく姿が見られた。この駅が仮に接続していたら三木鉄道の運命は変わっていただろうか・・・。立派な駅舎を持つ「三木」駅は、待合室もあるが、さよなら三木鉄道の絵画で埋め尽くされていて、いよいよ命脈が尽きるのを感じる。財政再建を掲げて当選した現市長は、三木鉄道の廃止を公約していたとの話があるが、国鉄から切り離されたところで三木鉄道の運命は決まっていたような気がする。第三セクターという選択は果たして正しかったのだろうか。
折り返し列車で「厄神」駅に戻り、加古川線の下りで「粟生」に向かうとしていた私を待っていたのは加古川線「第四土曜日日中運休」の悪夢。定期運休なのに代替手段も無く、JR西日本に怒りすら感じる。駅員に三木鉄道→神戸電鉄という手段を案内された。再び三木鉄道で「三木」駅を目指して、タクシーで神戸電鉄の「三木」駅に向かう事になった。最後の乗車は時間ばかり気にしていて旅情を味わうどころでは無かったが、365日休む事なく走る三木鉄道が頼もしかった。少なくともJR西日本より真面目に取り組んでいるように思う。
厄神駅に入ってくる三木鉄道 | |
加古川線上りとは同一ホームで接続 | |
かつて有人駅だったであろう | |
情緒ある三木駅 | |
貨物用ホーム跡から | |
車内に貼られた絵画 | |
有人の窓口もある三木駅 |