●三角線

・2003年11月30日作成
訪れた日 2003年11月23日
 

未明の熊本駅を出発して、ガラガラのディーゼルカーの客となる。眠って行こうと思ったが、夜が明けるにつれ、闇から茜色に染まる車窓に釘づけになる。島原湾を隔てて、朝日を浴びた雲仙岳が次第に赤く染まってゆく。早起きして良かった・・・。その時は思った。

網田駅の手前で停車、ATCのけたたましい音が非常事態を物語る。列車はポイント故障の影響で動けなくなった。修理まで暫くかかるのとの事。他の交通手段を薦められるが、バスもあるかどうか判らない。三角で乗り継ぐフェリーまで余裕があるので気長に待つしかない。結局、保線の人の尽力でなんとか開通したが、1時間ちかく遅れてしまった。

三角線は鹿児島本線の宇土から宇土半島の先っぽ、三角まで25.6qの盲腸線である。かつては島原へ渡る動脈だったのだろうが、今はワンマンカーのディーゼルカーが行き交うローカル線に落ちぶれてしまった。鹿児島方面から島原に渡るには、天草諸島を渡った方がメジャーだが、あえて三角線経由で渡るために熊本に泊まった。

終点三角駅は島原航路の連絡駅。待合室も大きく、ホームは長大編成が止まれるように長く、機回し用の側線もあった。しかし、今、長いホームに止まるのはせいぜい2両編成のワンマンカー、側線は錆びて朽ち果て、待合室の食堂は閉鎖されていた。島原航路連絡線の役目は終えてしまったらしい。フェリー乗り場が駅と隣接しているのは珍しく、とても便利だが、三角線から乗り換えたのはおそらく私ひとり。急行「火の山」が島原観光客を満載していた時代に来てみたかった。

三角駅は「灯台のある駅」と売り込んでいる。灯台とは屋根の時計台の事らしいが、駅前に鉄骨のテラスを作ってしまったので、折角の美しい駅舎の全容を見る事が出来ない。


夜明けの島原湾に浮かぶ雲仙
列車が止まっている間にすっかり夜が明ける
古い気動車がよく似合う三角駅
長いホームが昔日の賑わいを物語る
洒落た三角駅だが手前のテラスが邪魔
フェリー乗り場から見た三角駅

http://www2s.biglobe.ne.jp/~kurume/my_hp.gif (6911 バイト)


back