●金刀比羅宮
|
琴平駅で列車を降りて見渡せば、どうやらここは神社の参道であった。折角だからメインの神社に行ってみるか・・・と思って参道の階段を登っても登っても目指す神社にはたどり着かない。琴平駅と金刀比羅宮(こんぴらさん)と頭の中では合致していなかったし、非常識をここで露呈してしまう事になるが、金毘羅山自体をあまり認識していなかった。そんな訳で、非常に不謹慎極まりない状態で金刀比羅宮の長い階段を延々と登る事になった。参拝客も多く、その流れに乗ってしまった。ちょっとの散歩どころではなくなった。
最初は土産物屋が並ぶ、参道を階段を登ってゆく。このあたりはまだ余裕があった。大きな鳥居の大門を通過すると、正式に神社の敷地となり、土産物屋を冷やかす事もできず、黙々と登山する事になる。時々、○○院とか○○社と書かれた大きな社もあり、ここが本殿かと思うが、まだまだ終点ではない。新緑の中を歩き、良い森林浴になるのだが、運動不足と不摂生を続けている身体には少々辛い。
階段を785段登りつめるとようやく本殿に到着する。このような山奥に、これだけの立派な社を作ったのは凄いと思う。讃岐平野を一望できる展望台もあるが、残念ながら曇天の下で、少々暗かった。歴史的建造物である本殿の中で、神官がノートパソコンを開いて何やら入力しているのが可笑しかった。ここで参拝をして戻ろうかと思ったが、奥に続く道があるではないか、本殿までは多くの参拝客で賑わっていたが、奥へ続く道は人も疎らで、ちょっと不安になったが、まだ登るらしい。折角、ここまで登ったのだから、さらに登れるなら登りたい。
本格的ハイキングの様相を呈してきたが、この細道が結構長かった。小さな社が続き、それなりに趣もあるのだが、人が少なく寂しくなってくる。結局、終点の奥社に到着した時に登りきった階段の段数は1368段を数えた。海抜421mとの事である。本殿までの段数のほぼ倍もある。それだけに景色も素晴らしい。周りの木々が少々邪魔ではあるが、山地に囲まれた讃岐平野が一望できる。特徴的なのは、独特の形をした讃岐富士が平野に聳えている事だ。均等のとれた美しい姿という点では本物の富士山よりもバランスがとれているかもしれない。
下山するに従い天候が回復してくる、参道まで降りきったら雲ひとつ無い快晴になった。今頃、展望台から見る景色は素敵だろうと思い、やはり自分は雨男だと思った。美味しい地ビールと本場の讃岐うどんを食べても溜飲を下げるには至らなかった。
|