●白棚線
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細い道は、周りの集落や地形を無視して一直線に伸びる。乗車しているバス以外に車や人は見当たらず、障害物が無いのでバスは伸び伸び走っているように感じる。かつての国鉄白棚線。廃線跡を利用したバス専用軌道をJRバスは行く。
国鉄白棚線は東北本線の「白河」から「棚倉」を結ぶ23qの路線であった。廃止されたのは1944年(昭和19年)の事である。理由は戦争の激化でレイルの供出によるものである。しかし、戦後は鉄路として復活する事なく、1957年(昭和32年)線路跡をバス専用道路として整備し、高速バスとして復活した。
このバスに乗車した頃、バス専用道路は珍しい存在であった。早く訪問したかったが、併走する国道の整備などで、専用軌道は8q未満になってしまった。いずれ、専用道路は無くなるように感じて、慌てて訪問した。
鹿島鉄道の路線跡の一部は専用道路になった。JR大船渡線の復興は鉄路ではなく専用道路として仮復旧した。鉄道の維持ができずに廃止が止まらない現在、専用道路とバスという組み合わせはこれから増えるかもしれない。しかし、白棚線のように根本的に利用者が少ない場合、専用道路としの維持も難しいのかもしれない。
新白河まで2階建て新幹線のグリーン車の2階で豪華な旅。 | |
起点はJR東北線の白河駅。東北新幹線の駅がある新白河にも停まるが、やはり起点から乗車したかった。バスは普通の車両。かつては専用車両を持っていたのだが・・・。 JRバス関東白河支店には、京成バスから移籍した連接バスを所有しており、この白棚線に使われる噂もあったが、営業路線で使われたという話は聞いていない。 |
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国道289号線を走ってきたが、「関辺」付近から専用道に入る。国道を右手に見て併走しながら次第に別れてゆく。心もち高度も高いような気がする。その雰囲気は鉄道路線そのものである。 | |
退避場は多く設けられているが、運行本数は1時間から30分に1本程度である。かつてはバスが雁行したシーンを見る事が出来たそうだ。また、専用道に踏切もあるが、バス優先で、最高速度も一般道よりも高く設定されている(60q)。 かつては白棚高速線と呼ばれ、専用の高速バスが走っていた。まだ高速道路が無い時代だったので、当時としてはこれが高速道路だったのだろう。 |
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バス停の雰囲気はローカル地方私鉄に通じるものがある。 | |
金山付近で一般道に復帰する。また震災の影響で一部区間も一般道を走っており、残念ながらすれ違いシーンは一般道で行われた。バス専用道の入り口には一般車両が進入しないように看板が出ている。 | |
表郷役場前から再び専用道路を行く。かつては全線に渡って専用道路であったが、現在は専用道路は一部に残っているにすぎない。車窓を見ていると、専用道路付近に民家も少なく、国道を走る方が利便性は高いように思える。ただし、趣味的には専用道路を残してほしいような・・・。ちなみにバスの乗客は私だけになってしまい、それが運転台横の席に座って撮影などしているから運転士はさぞ嫌だったろう。 | |
水郡線の磐城棚倉。白棚線はここで分岐していた。バスはこの先、祖父岡まで行くが私は下車して水郡線に乗り換えた。白河行きのバスを待つ人も多く、ちょっとした賑わいを見せていた。また、この駅にはJRバスの営業所もあり、ターミナルの様相を呈していた。 |