●奥羽本線(板谷峠)
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福島と米沢を結ぶ奥羽本線最大の難所である板谷峠。4駅連続スイッチバック(赤岩、板谷、峠、大沢)。 越えるための補機の増結。鉄道ファンの間では有名なスポットであった。90年8月31日ミニ新幹線化とあわせ、性能の良い電車運転に変更されたためにスイッチバックは廃止されてしまった。
このスイッチバック駅だが、特急は本線を直進するので、味わうには各駅停車に乗るしかない。しかし、83年、奥羽本線を鈍行で南下してきた時、列車乗り換えに失敗して特急列車でここを通過してまった。85年、新幹線「上野駅」開業と同時に、ここを走る旧型客車が廃止されると聞き、上野発の東北急行列車の乗車を兼ねて日帰りで奥羽本線の客車鈍行に乗りに出かけた。
福島から乗車した客車は背もたれも木で出来た旧型車であった。そんな戦前製の客車に乗っての4連続スイッチバックは楽しかった。その名も「峠」駅では、名物の力餅の立ち売りがあり、甘いものが嫌いな私も、つい窓を開けて売り子さんを呼び、ひとつ購入してしまった。
私は最後部のデッキから後方展望を眺めていたが、まさに吹き抜け。ドアはおろか転落防止用の鎖も無かった。「落ちないように気をつけてね」と車掌さんに言われていたが、落ちたところで大怪我するような速度ではなかった。スイッチバック時、推進運転中は客車が先頭になる。線路も見えないような新雪の中を踏みしめながら走る。「キュッ、キュッ」と雪を踏みしめる音以外に何も聞こえず、まるで鉄道に乗っている気がしなかった。
板谷峠専用機関車 |
蛍光灯に改造されていたが、背もたれが木の旧型客車 |
赤岩駅停車中に特急「つばさ」を先に通す |
荷物車を連結した客車と何度もすれ違う |
デッキからスイッチバック駅を眺める |