尾瀬沼

2018年6月9日作成
訪れた日 2016年7月2日
 

東武鉄道の 浅草駅のコンビニで酒を買い、23時55分発の列車に乗り込んだ。乗客は全て本格的登山装備をして乗り込んでおり、いわゆる鉄道だけを目的にしている人は皆無であった。それもそのはず、私鉄唯一の夜行列車「尾瀬夜行23:55」は旅行会社経由で手配した旅行者しか乗車できない。私たちは、鉄道が目的なのか、それとも尾瀬のハイキングが目的なのか、よくわからないまま夜行列車に揺られていた。本当にハイキングが目的ならば水芭蕉の見ごろの6月に旅行すべきなのだが、花もなくなり、どちらかというと見所が少ないこの時期を選んだ。そのせいか、列車は空いていた。

夜行列車は、国鉄時代から何度も乗ったが、この列車も同じような感覚だった。列車の走行音を子守唄にまどろみながら、減光された車内で浅い眠りにつく・・・。しかし、まだ真夜中の感覚の3時18分にドアが開いた。まだ真っ暗だが、終点の会津高原尾瀬口駅である。4時20分、数台のバスに分乗して沼山峠に向かい、6時すぎに到着。すぐにリュックを背負い、尾瀬沼に向かって歩き出した。

同行者は単独行を好む同年代の山好きの男性である。こちらは、山登りは久しぶりであるが、尾瀬は登山というよりも木道を歩きながら散策する感じなので、全く苦にならなかった。肝心の花は殆ど無く、緑の湿地が広がるだけであったが、それは想定内である。午前7時、尾瀬沼湖畔のビジターセンターに到着した。

ここから尾瀬ヶ原に抜けたいところだが、ブランクのある私がいるので、3時間程度で回れる尾瀬沼周遊で留める事を勧められた。ここを巡る人は少ないらしく、木道も無く、荒れた山道のような所を進み予定時間よりも相当早く1週してしまった。木道に戻ると、花の時期ではないとはいえ、それなりに観光客はいて、華やかな雰囲気だった。ビジターセンターに戻り、昼食を摂って、山道経由で戻る事とする。

途中で休憩していると、今流行の若い山ガールたちが写真を撮ってくれとお願いされた。その後、私たちに向かって、
「そちらも撮ってあげましょうか。何なら一緒に写ってあげましょか?」と笑顔で話しかけてきた。私は喜びかけたが、同行者は明らかに嫌悪感を顔に出したので辞退した。考えてみれば、この企画、「尾瀬夜行23:55」に乗る事が目的で、無理やり他人を巻き込んでいた事を思い出した。

沼山峠から再び、延々とバスに乗って会津高原尾瀬口駅を目指した。四方を高い山に囲まれた檜枝岐村を走破する。桃源郷のような雰囲気が神秘的でもあり、面白かったが、道中は殆ど寝てすごしてしまったのが勿体無かった。


夜行列車に使用されるのは古い車両である。リクライニングもしない座席であるが、空いていれば、隣席を使って横になる事も出来て快適であった。

朝はあまりに早い到着、尾瀬口といっても、ここからバスで2時間・・・。駅名に偽り有りと言いたいところであるが、実際にここから大勢の人が尾瀬を目指すので間違いではない。バスを待っているうちに夜が明けてきた。
花が無くて寂しかったが、梅雨のこの時期、雨に降られる事もなく、東北で2番目に標高の高い燧ヶ岳の姿も拝めてそれなりに満足した。

http://www2s.biglobe.ne.jp/~kurume/my_hp.gif (6911 バイト)


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